2022-05-21 更新
湯浅政明監督
MC:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
アヴちゃん×森山未來主演によるアニメーション映画『犬王』の公開を記念した、湯浅政明監督&松本大洋特集上映が5月19日(木)に新宿バルト9で行われ、『夜は短し歩けよ乙女』『MIND GAME マインド・ゲーム』上映回の前後に湯浅政明監督が登壇した。
■ 京都からストーリーが生まれる理由
『犬王』同様に『夜は短し歩けよ乙女』の舞台は京都。京都という土地の魅力について湯浅監督は「実際に行くと楽しいし、住みたくなるような場所。京都には変わった人がいそうで変わった出来事も起こりそう。昔ながらの形が残っているところも歴史的背景を感じられていい。夜も薄暗いところが多くて、暗闇に魑魅魍魎がいそうな気がする。『鴨川ホルモー』など京都を舞台にした不思議なストーリーが数多く生まれる理由も分かる気がする」と実感を込めて分析した。
『犬王』制作のためのロケハンでは「平家が敗れた壇之浦から宮島、福山を回りながら京都に行ったりして、室町時代からある焼餅屋さんを作品に入れたりもした。主人公二人が味わったのではないかという雰囲気を追体験する形を意識しました」と臨場感を強調していた。
アニメーター出身の湯浅監督は、監督としてアニメーターに指示を出す際は「キーとなるポイントは指示を与えるけれど、全体的には自分のイメージを押し付けるのではなく、大まかな枠組みを与えるようにしている」という。その理由については「一人だけできっちりと考えたものは面白くないというか、クリエイターたちによるプラスアルファが欲しい。自分よりも良いものが描ける人がいるのならばそうして欲しいと思うし、自分がアニメーター時代にやっていて楽しかったのは自由度のある余裕を持った作り方だったから」と解説した。
■ 自分が素直に描きたいと思ったものを詰め込む
『MIND GAME マインド・ゲーム』については「僕にとってのほぼ長編監督デビュー作。STUDIO 4℃のスタッフもこれから伸びようという若い人がいて、後々『鉄コン筋クリート』でも頑張ってくれました。初めて尽くしの作品でしたが、デジタルを取り入れたことで写真を加工することができたりして、アナログフィルム時代よりも自由度が高かった」と振り返った。
公開当時は斬新なタッチに「賛否両論だった」というも「その後を考えるきっかけになったというか、こういう映画だと世間はこういうふうに受け取るのかと学びました」と、自身にとってのエポックメイキングな作品になったよう。
新作『犬王』には『MIND GAME マインド・ゲーム』のエッセンスがあるようで、「『MIND GAME マインド・ゲーム』のように自分が素直に描きたいと思ったものを入れたのが『犬王』。これまでの経験の蓄積に加えて、アニメを素直に作っていた監督デビュー当時の気持ちをミックスしたような作品」と紹介した。先んじて試写で『犬王』を観たというMCの吉田尚記アナも、「ほんっ……とうにおもしろい作品!」と、興奮を隠せない様子だった。
■ 『犬王』は「ライブを見るように楽しんで」
改めて『犬王』について湯浅監督は「とにかくたくさんの人に観てほしいと思って作った作品であり、大人の事情を考えずに(笑)、一生懸命できるだけのことをした作品です。時代劇ではあるけれど、ストーリーは分かりやすくて楽しい。二人の若者が上り詰めていく物語なので、その二人の活躍を見てほしい。僕自身も生きたいように生きる彼らの姿に勇気をもらいました」と、渾身作であるとアピール。
アヴちゃんと森山未來のパフォーマンス力にも太鼓判を押した。「お二人のパフォーマンスやステージングがキャラクターに乗り移ればいいと思った。『犬王』はライブを観るような感覚で楽しんでほしいし、リズムとノリがいい作品なので座って観るのはきつい作品かもしれない。オールスタンディングでライブを観るように、劇場でも盛り上がってくれたら嬉しいです」と期待を込めていた。
(オフィシャル素材提供)
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