2020-06-10 更新
その衝撃的なタイトルと内容により物議を醸した監督作『先生を流産させる会』(11)で長編デビューを果たした内藤瑛亮が、再び自主映画のフィールドで世に放つ待望の新作。
近年は『ライチ☆光クラブ』(15)や『ミスミソウ』(17)といった原作物の商業映画でメガホンを取ってきた内藤監督が「“撮りたいから撮る”という映画作りの原点に立ち返った」と語る本作は実際に起きた複数の少年事件に着想を得て、いじめによる死亡事件を起こした加害少年とその家族、そして被害者家族の姿を描いたオリジナル作品である。
『先生を流産させる会』と同時期から長年温め続け、ようやく実現にこぎつけた内藤監督渾身の一作は、我々に様々な問いを投げかける。果たして子どもを殺した子どもは罪とどう向き合うのか。周りの大人たちはそんな子どもをどう受け止めていくのか。いじめや少年事件という社会問題を通じて、現代に蔓延する生きづらさを鋭く切り取った本作は、観る者の価値観や倫理観を激しく揺さぶるに違いない。
今、内藤監督による“教育映画”2時間目が開始を告げる。
とある地方都市。中学一年生で不良少年グループのリーダー・市川絆星(いちかわきら)は、同級生の倉持樹(くらもちいつき)を日常的にいじめていた。いじめはエスカレートしていき、絆星は樹を殺してしまう。
警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親の真理の説得によって否認に転じる。そして少年審判は無罪に相当する「不処分」を決定する。
絆星は自由を得るが、決定に対し世間から激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は民事訴訟により、絆星ら不良少年グループの罪を問うことを決意する。
果たして、罪を犯したにも関わらず許されてしまった子どもはその罪をどう受け止め、生きていくのか。大人は罪を許された子どもと、どう向き合うのか。
信じることが愛なのか、守ることが罪なのか。倫理観が試される――。
(2020年、日本、上映時間:131分、PG12)
キャスト&スタッフ
監督:内藤瑛亮
脚本:内藤瑛亮、山形哲生
出演:上村侑、黒岩よし、名倉雪乃ほか
配給
SPACE SHOWER FILMS
ユーロスペース、テアトル梅田にて公開中ほか 全国順次公開
■ オフィシャル・サイト: yurusaretakodomotachi.com (外部サイト)
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