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『護られなかった者たちへ』
石巻凱旋舞台挨拶

2021-09-15 更新

佐藤 健、瀬々敬久監督

護られなかった者たちへmamorare ©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会
配給:松竹
10月1日(金) 魂が、泣く。

 「このミステリーがすごい!」受賞作家・中山七里の傑作小説を映画化した『護られなかった者たちへ』が、10月1日(金)より全国公開となる。公開を前にした9月13日(月)、撮影地である石巻に佐藤 健、瀬々敬久監督が駆けつけ、舞台挨拶に登壇した。


 映画のロケ地ともなった石巻南浜津波復興祈念公園を訪れた佐藤 健と瀬々敬久監督。「がんばろう!石巻の会」事務局長・黒澤健一氏の案内のもと、かつての南浜地区の街並みについての話を聞きながら園内をめぐり、「祈りの場」にて献花、被災地へ想いを馳せた。

 「一丁目の丘」からは、佐藤と阿部がラスト・シーンを演じた防潮堤も見え、佐藤は「撮影をしたときは、(公園から見える)道路の向こう側の景色は今とあんまり変わらず、僕と阿部さんで防潮堤を登って、公園側の景色を二人で見るというお芝居だったのですが、その時はほとんど更地で何もないような状況でした。今日こうして訪れ、こんなにも美しい公園になったのを見て、震災から10年経ち、ゆっくりではありますけど前に進んでいるんだなと感じました」と語り、瀬々監督は「人々が生きていた記憶というのが、そのままここに根付いているというか、ここへ来て、みんながその記憶をひと通りより戻す拠点になっていると思うし、ここに住んでいた方々だけでなく、日本中の人たちがここへ来て、あの当時のこと、街の記憶など、そういう日々の生活の記録っていうものがここにあるんだという、そういうことを感じる場所になっているんじゃないかと思います」と涙ぐみながら語った。


mamorare


 観客の温かな拍手に迎えられ、イオンシネマ石巻に登場した佐藤 健と監督。連続殺人事件の容疑者として追われる主人公・利根泰久を演じた佐藤が「撮影したのは1年ほど前だと思うのですが、当時既にコロナ禍で、そんな中迎えてくださって、撮影に協力していただいた石巻の皆様に非常に感謝しております。皆様のご協力があったから、我々は最後まで撮影を終えることができ、映画が完成して、皆さんに届けることができました。皆さんが映画を観て感じたことを教えていただきたいですし、周りの方々に広めていただけたら幸いです」と述べると、瀬々監督は「ちょうど震災の年は僕の友人が石巻の小学校でドキュメンタリーを撮影していまして、その手伝いで8月くらいに来ました。まだ復興途中で信号も止まっているような状態でしたが、その時の印象がすごく鮮明に残っていて、今回、石巻で撮影させていただきました。ここにいらっしゃる方、石巻の方々に非常に感謝しています。この映画が皆様の心に届けば良いなと思って今日を迎えました」と、それぞれ舞台となった石巻の皆さんに感謝の気持ちを伝えた。

 撮影地の宮城で作品が上映されることについて佐藤は「今日、監督と一緒に石巻南浜津波復興祈念公園に行かせていただいて、その場所は撮影の時に阿部さんとロケでも行かせていただいたのですが、撮影の時点では更地だったのが、今日は非常に美しい公園が完成していました。すごく広いので、その広さの分当時の被害の大きさも感じたのですが、立ち上がって前を向いた人たちがいたから、復興に辿り着いたということに胸を打たれました。すごく力をもらって、そんな東北の皆様にこの映画を届けることが感謝の気持ちを表すことになるかどうか分からないですが、少なくとも、我々は、祈りやあらゆる願いを込めて作ったので、それが届いたら嬉しいです。もちろん、日本全国の皆様に観ていただきたいですが、東北の皆様には特に届いたら嬉しいなと思います」と観客へ思いの丈を述べた。

 瀬々監督も、「この映画を作るにあたって原作を読んだ時に、最初にこの“護られなかった者たちへ”というタイトルにすごく惹かれました。(震災後)そういう状況があったと思いますし、そういう思いをして生きてこられた方もたくさんいらっしゃったかと思うのですが、そういう思いに僕たちが共感して、作ることができればと思い、作った映画です。10年経って、今でもコロナによって、また違った問題で残念ながら“護られなかった者たちへ”のような状況があったりしますが、石巻に来るたびに、徐々に風景も変わってきて感じることも大きいので、一緒に未来へこの映画を通して考えていければと思います」と未来へ向けたメッセージを語った。

 撮影での印象的なエピソードを尋ねられると、「石巻で撮影させていただいた最後のシーン、先ほどもお話に出た祈念公園から道ひとつ隔てたところにある防潮堤を超えた海がラスト・シーンだったんですが、そこがすごく印象に残っています。今回、監督が水にこだわって演出されてるなと感じていたのですが、今回ラスト・シーンで、芝居の上で初めての感覚があって、“海を見る”感覚が変わったというか。ここは非常に複雑な気持ちで撮影させていただいたのですが、映画としても意味のあるシーンになっているんじゃないかなと思います」と佐藤が振り返り、監督も「映画は架空の都市という設定にして、石巻や気仙沼、塩釜などいろいろなところで撮影しているのですが、印象的だったのは佐藤くん演じる利根が途中でフェリーに乗って、浦戸諸島に行くところ。風景的にほっとするような部分で、印象に残っています」とロケ地トークが繰り広げられた。

 宮城で、地元の空気を感じながら撮影をしたことについて佐藤は、「非常に助けられたところがあります。東京で撮影しても絶対に撮れない景色が撮れますし、芝居をする上でも実際に震災のあったその場所に身を置くことで、感じることがありますし、そういった空気というものが映画には映るんですよね。そういった空気感に身を任せながら撮影できたのは、芝居をする上で助けられました」。

 最後に佐藤が「本当に今日はありがとうございました。この映画に描かれていることが全てだとは思いませんし、きっと観る角度から、観る目線によって、その数だけ正義があって、その数だけ真実があるんだと思います。ただ、自分の大切な人を護れる社会であって欲しいし、そういった社会を作るために、一人ひとりが声をあげるんだとか、どうやって生きていくんだと考えることが重要なんじゃないかと思いますし、そんな願いをこめて作られた作品です。皆さんに届きましたら嬉しいです」と、瀬々監督が「今回の映画では、大変な状況でも人々は日常の生活を営み、そこには美しい瞬間や、楽しい瞬間があったりする、そういう小さな日常の大切さも描いています。そういったものが覆され壊れされていくことに対して、なんとかしたいという思いを持って撮った映画です。今後も未来へ希望が持てればと思っておりますので、皆さんとこの場で出会えて嬉しく思います。ぜひ気に入ったら、また映画館に来てください。ありがとうございました」と話し、温かな拍手に包まれ、舞台挨拶は幕を閉じた。



(オフィシャル素材提供)



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