2020-07-19 更新
山﨑賢人、行定 勲監督
お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹の爆発的な大ベストセラー「火花」に続く、第2作目である小説「劇場」が遂に実写映画化。新型コロナウィルスの影響で公開延期となっていた本作だが、遂に全国のミニシアターを中心に公開となった。また、Amazon Prime Video(以下Prime Video)にて全世界独占配信も開始している。作家・又吉直樹が芥川賞受賞作品となった「火花」より前に書き始めていた、作家の原点とも言える恋愛小説「劇場」。“恋愛が分からないからこそ、書きたかった”と又吉が語る2作目は、劇作家を目指す主人公・永田と、彼に恋をして必死に支えようとする沙希の、生涯忘れることができない恋を描いた恋愛小説。監督を務めるのは、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『ナラタージュ』(17)等、時代ごとに新たな恋愛映画のマスターピースを贈り続けてきた行定 勲監督。恋愛における幸せと背中合わせのどうしようもない葛藤や矛盾を真っ向から描いており、令和の時代に新たな恋愛映画の傑作の誕生を感じさせる。
この度、7月17日(金)に初日舞台挨拶がリモートで実施され、主演の山﨑賢人、メガホンをとった行定 勲監督が登壇。また舞台挨拶の様子は別会場にいる観客へも同時中継された。
映画が遂に公開となった気持ちを聞かれた山﨑は「この映画は劇場で観て欲しい作品なので、こういうふうに初日をやっと迎えられて本当に嬉しく思います」とコメント。行定監督も「4月に公開を予定していた時よりちょっと公開規模は縮小したんですが、映画館で上映できる喜びをすごく噛みしめております。ここまで楽しみにして下さった皆様、応援して下さった皆様、本当にありがとうございます。僕はこの2020年7月17日に自分の新作が公開されたということを一生忘れないんじゃないかと思います」と挨拶。
演劇に没頭しながらもうまくいかない現実に悩むシーンが多く、時には唯一の理解者でありひたむきに応援してくれている恋人の沙希にも当たってしまうこともある永田というキャラクターに、様々なインタビューで“共感できる部分もあった”と語っていた山﨑。どのような部分に共感したのかという質問に「永田の人間としての弱さとか、愚かさとか、嫉妬心だったり。永田は劇作家で僕も俳優という仕事をやらせてもらっている中で、表現するという意味では近いところもあって、普段自分が抱えているような感情が一杯ありましたし、台本を初めて読ませていただいたときに演じてみたいシーンが一杯ありました。人間って愚かな部分がたくさんあると思うんですけど、ここまで愚かな部分を出せる役が初めてだったので、本当に永田が演じられて嬉しかったです」と永田に巡り合えたことへの感謝を語った。
永田は山﨑がこれまでに演じられてきた役とかなり違っており、実際にスクリーンには今まで見たことのない山﨑の顔が映し出されている。永田役に山﨑を選んだ理由を聞かれた監督は、「誰が永田をやればいいのか原作を読んで思いつかなったんですよね。俳優で誰なんだろうと思った時に、プロデューサーからの提案で山﨑賢人は、と。思いもしないですよね。というのは山﨑賢人がこれまでそういう役をあまりやってきていないから。それを聞いてこれは良いと思って(笑)。やっていない人間がやるのが一番僕の気持ちを凌駕してくるんですよね。それで山﨑くんに来てもらったんですけど、まぁ綺麗な顔をしていて(笑)。その瞬間に先ず汚したい!と思ったんです(笑)。汚すために『髭とか生える?」とか『髪の毛ボサボサにしてさ!」とかって言うと、結構本人がノっていて。素直で、いい意味でちょっといかれてるんです。無自覚にいろいろな表情するし、やっていてすごく楽しかったですね。得体が知れない山﨑賢人が現場にいて、その場その場の衝動を撮るのに必死だったんです。それを皆さんに披露できるのが嬉しいですね」と嬉しそうに語った。
これを聞いた山﨑も「本当に行定さんと映画を作っていく過程は最初に出会った時から楽しくて(笑)。永田を作っていく上で、普段舞台の演出もされている行定さんのエッセンスを現場で感じながら永田に入れてみたり。仕草一つひとつ一緒に作っていくのが楽しかったですね」とコメント、監督と主演の相思相愛ぶりを見せた。
ここで、スケジュールの都合で舞台挨拶に来られなかった松岡茉優よりビデオメッセージが! 松岡は「公開おめでとうございます! 今回の新しい試みに対して、海外にいる山﨑くんや私や行定監督のファンの方が同時に観られるのが嬉しい!という感想を頂いて嬉しかったですし、すごく良いことなんじゃないかなと思いました。舞台挨拶に行けなくてとても残念ですが、私と山﨑くんが演じた永田と沙希ちゃんの7年間の恋の物語、そして夢の物語。恋をしたことがある人、夢を追いかけたことがある人、そして忘れられない人がいる人が、過去と向き合うのも悪くないんじゃないかなって思える映画じゃないかな思います。楽しんでください!」とコメント。
松岡からのメッセージを聞いた山﨑は「すごい茉優ちゃんの魅力たっぷりなメッセージでしたね(笑)。茉優ちゃんとは同い年で、撮影に入る前に共通認識で『劇場』はこういう作品で、こういう結末があるから、どの時期にどういう想いを持っていたかを話そうって言って下さったりして。本当に頼もしい女優さんだなと思いますね。ほぼ二人芝居だったので、お芝居できてすごく嬉しかったです」と話し、「こういう時期だからこその試みだと思いますし、だからこその伝わり方があると思うので、本当に全世界の皆さんに同時に『劇場』を観ていただいて、伝わっていけばいいなと思います」と語った。監督も「松岡茉優という女優はいろいろなことを察してくれて頼もしいですね(笑)。僕の想いとかを察してコメントをくれたんだと思うんですが、僕は今回のような取り組みになったのは良かったと思うんですね。コロナ禍の中で外に出にくい方もいらっしゃると思うので、そういう方たちも観られるという。またこの映画は観るとある仕掛けがありまして、最後にこれは劇場で観たかったなって思ったら観に行くという経験も出来ます」とコメントした。
また、劇中で沙希が永田に対して優しく語りかける「ここが一番安全な場所だよ」という台詞に因んで、2人にとって「一番心地いい場所」はという質問に対しては、山﨑は《家》、監督は《映画館》と回答。
山﨑は「家ですね(笑)。自粛期間もあったりして、家が居心地よくなるように努力しましたし。掃除して部屋が広くなるようにしたり、カーテンの色を変えたり、植物を置いたりして。場所で言うと家になっちゃうんですけど、居心地が良い人とか大事な人がいる場所が全部安全ないい場所になればと思いますね。外へ出られない分、2パターンあります」、監督は「映画館ですね。やっぱり映画館は居心地いいですよ。例えば映画館でつい寝ちゃう体験をしたことがあると思うんですけど、それもある種映像や音に没入しているってことだし、逆に暗闇の中で1つの作品を観ている、他者と共有する瞬間っていうのもあるんですよね。そういうものがある映画館っていうのはいいですよね」と語った。
最後に監督は「今日映画館の入り口に『劇場』の大きな看板がかかっていて、鳥肌が立つ、感じたことのない感動を覚えました。当たり前のようにスクリーンで上映して舞台挨拶をして、というのが今となっては奇跡的な素晴らしい出来事だったんだと感じられる初日を迎えられました。この映画は一人で向き合ってもいいし、いろいろな人たちと観終わった後に語り合ってもいい映画です。この映画を堪能していただければと思います」とリモート先の観客へ熱く語りかけ、山﨑は「劇場公開と同時配信という形になったんですけど、こういう時期だからこそポジティブに考えていければと思っています。この映画の永田と沙希ちゃんも、どうしようもない時間とか苦しかった時間とか自分の愚かさだったり、そういうものがあるからこそ、人とは違う景色が見られていると思いますので、そんなどうしようもなかった時間も自分の中で肯定できるようなきっかけにこの映画がなってくれたらと思いますし、大切な人に対して普段の自分はどうなのかなと振り返るきっかけにもなると思います。この映画を観てくれた全ての人が、いい未来に向かっていけるようになってくれれば嬉しいなと思います。ありがとうございました」と挨拶し、イベントは終了した。
上映終了後には監督によりティーチインが行われ、「スクリーンでかけられたこと、皆様に観ていただけたことが何よりも嬉しく思います。最近スクリーンで観るっていう行為が特別なものに思えてきていて、大きいスクリーンにかけられるものっていうのは簡単にできないっていう時代がもしかしたら来るかもしれないですね。それでもスクリーンにかかる絶対的な映画を目指そうと思います。配信も観てみたんですけど、結構よかったですけどね(笑)」と語りかけた。
更に裏話として、自転車の二人乗りシーンは東京都内での撮影が交通法によりNGだったため、撮影可能な別場所を探して撮影したという話が飛び出した。このシーンでは桜が咲いているのだが、キャストが撮影した時期には桜は咲いておらず、桜の時期に全く同じカットを撮影して合成したという話も飛び出し、観客を驚かせていた。
(オフィシャル素材提供)
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