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2019-06-20 更新
中村倫也、中野量太監督
映画『長いお別れ』の公開記念舞台挨拶が都内で行われ、俳優の中村倫也と中野量太監督が登壇して本作について語った。
本作は、直木賞作家・中島京子の同名小説を、『湯を沸かすほどの熱い愛』で知られる中野監督が映画化。認知症の影響で徐々に記憶を失っていく父と、彼と向き合うなかで自分自身を見つめ直していく家族との7年間が描かれる。認知症になった父・東昇平を山崎 努、長女・麻里を竹内結子、次女・芙美を蒼井 優、母親・曜子を松原千恵子、麻里の夫・今村 新を北村有起哉が演じている。
中村は、蒼井が演じる東家の次女・芙美の恋人、磐田道彦役を務めた。本作について聞かれると、中村は「脚本を読みながらニヤニヤしていました」とコメント。続けて、幼い頃に一緒に暮らしていたという自身の曽祖母について話した。「認知症だった曽祖母を見て、愛くるしいなという感情があったんですね。老いていくことや忘れていくことは、(自分にとって)そういうイメージなんです。そんな思いで参加していたので、作品自体の完成が楽しみでした」と語った。また、自身が演じた道彦については「等身大の人間にしたかった。『なんかこういう人いるよね』って感じてもらえればいいなという思いで演じていました」と語った。
中村と中野監督の出会いは、5、6年ほど前に開かれた品川の高層マンションで開催されたというパーティだったと語った中野監督。中野監督は「中村くんは、ヒザを抱えて、『俺に触ったらやけどするぞ!』という感じで座っていました。まだ存在を知らなかったのですが、とても印象に残りました。その後ブレイクして、『あの時の!』とびっくりしました」と振り返った。一方、中村は中野監督との出会いを全く覚えていないようで、「僕、キラキラしたものに抗うタイプなので、パーティに慣れないんです!」とコメントして会場を沸かせた。
そんな出会いがあった中村を今作でオファーした理由を聞かれると、中野監督は、「俳優って佇まいなんですよね。中村さんのお芝居は、何が出てくるか分からない。中村さんのしゃべるタイミングとか間とか独特なんですよ。どう来るのかっていうのが楽しみ」と絶賛。さらに、中野監督は「僕はそういう俳優さんと仕事がしたいんです!」と満面の笑みで答え、中村を照れさせていた。
2人のお気に入りのシーンは「(芙美と道彦が)つき合って1年半の記念日」の場面だという。中野監督は「あの場面の『1年半』という中村さんの間や言い方が面白いんですよ」と話し、観客にその場面は特に注目して欲しいと呼びかけていた。
同作に出演している蒼井 優が山里亮太と結婚したことを受け、理想の夫婦像を聞かれた中村は「やっぱり、グリーンカレーを作ってもらって……」と、結婚会見で明かされた蒼井の得意料理を上げ、会場に笑いを誘う。「真面目な父親とちょっと天然な母親を見ていて、そういうのが理想なのかな」と笑顔を見せた。
中野監督が「蒼井 優さんとか宮沢りえ(『湯を沸かすほどの熱い愛』で主演)さんとか、僕の作品に出て結婚する人が何人もいて、『キューピット監督』と呼ばれている」と話すと、中村は「僕にも誰かいい人いないですかね?」と中野監督にキューピット役をリクエストする場面もあった。
最後に中村は「認知症というものが作品のテーマにありますが、クスクス笑えて、泣いて、感動する映画です。自分と同世代や若い世代の方たちにこそ観てもらいたい」と呼びかけた。
(取材・文・写真:Sachiko Fukuzumi)