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『もみの家』囲み取材

2019-04-04 更新

南 沙良、緒方直人、田中美里、坂本欣弘監督

もみの家mominoie 配給:ビターズ・エンド
2020年春、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー! 富山県で先行ロードショー! <TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡、JMAXシアターとやま>
© 「もみの家」製作委員会

 ブルーリボン賞新人賞他数々の新人賞を受賞した、若手実力派女優・南 沙良を主演に迎えた、坂本欣弘監督(『真白の恋』)最新作『もみの家』(2020年春 新宿武蔵野館他全国順次ロードショー! 富山県で先行ロードショー!)。新元号“令和”が発表されて間も無く、『もみの家』もクランクアップし、出演の南 沙良、緒方直人、田中美里と坂本欣弘監督がロケ地富山県砺波市で、情報解禁後初の囲み取材に挑んだ。

 主演の南 沙良は、今年一番活躍が期待される若手女優。本作では、南の実年齢と同じ16歳の、心に悩みを抱え不登校になってしまう主人公、本田彩花を体当たりで演じる。“もみの家”での出会いや経験をとおし、めぐる季節と共に成長していく等身大の姿が描かれる。そして彩花のように不登校、問題を抱えた若者を受け入れ自立を支援する施設“もみの家”の経営者であり大黒柱の佐藤泰利を名優・緒形直人が熱演。さらに泰利の妻・恵を田中美里が演じる。佐藤夫婦は優しさと大きな愛で彩花をはじめとした“もみの家”の寮生たちを見守り続ける。メガホンをとるのは、富山出身、今注目の坂本欣弘監督。『真白の恋』で鮮烈なデビューを果たし第32 回高崎映画祭 新進監督グランプリ、なら国際映画祭や福井映画祭で観客賞を受賞など、国内映画祭、映画ファンの心を鷲掴みにした。本作で再び富山を舞台に温かな物語を紡ぎ出す。


《囲み取材内容》

 4月1日(月)、砺波市は天候不安からうって変わって快晴に恵まれた。一年間に渡る長い撮影を終えた“もみの家”。クランクイン前は室内に蜘蛛の巣が張る空き家だった場所は、スタッフや、寮生、そして緒形と中が演じた佐藤夫婦の手によって愛情あふれる場所になっていた。そんな“もみの家”の居間で行われた囲み取材では、出演者と監督それぞれの作品への温かい思いを語った。


南「最初の頃は出口のないトンネルを歩いている心境だった」

 それぞれクランクアップの心境を聞かれると、南は「最初の頃は出口のないトンネルを歩いている心境でした。自分に重なる部分もあって、近親憎悪に似た感情も持ちました。いろいろなことが重なって、自分の中で気持ちの整理がつかなくなっている時もありましたし、足並みを揃えるのに苦戦した時期もありました。でも彩花の気持ちになって、何かが変わっていくことを感じることができました」と彩花と言う役柄と自分と重なりに苦戦したことを明らかにした。
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 それぞれの四季に合わせた撮影が行われ、その都度側で南を見守っていた坂本監督も「みるからに成長していました。役としても成長しているのを感じることが出来ましたね」と南の苦戦の中でも成長した姿に手応えを感じているようだった。
 緒形は「富山の四季を足掛け一年かけて撮影するというのはなかなか贅沢なことで、映画で一年かけるのはデビュー作以来だった。監督のこだわりや情熱、細やかさがあって、いい緊張感のある状態で芝居ができた」と語り、田中は「経験したことないような、昔ながらの時間をかけて丁寧に撮っていく工程が、幸せでした。カレンダーを見なくても四季を感じることはできる、当たり前のようでいて、そうでない贅沢な経験でした」とそれぞれに、時間をかけた分だけ込み上げてくる思いを丁寧に口にしていた。


緒形「大事な場所になった」

 さらにロケ地富山の印象について聞かれると、「一番最初に台本を読んだときに、文字から美しい景色がなんの苦もなく見えて来ました。撮影がすごく楽しみだったことを覚えています。神奈川出身なので、自然に触れ合う機会が少なく、恵まれた毎日空気が違う新鮮な環境の中で、一日一日を丁寧に重ねることが出来たんじゃないかなと思います」と南。
 さらに緒形は「2年前に『散り椿』で初めて富山で撮影しました。あまりの空の美しい青さに感動して、水がうまくて、そこで四季を通し撮影できる喜びを感じました。大事な場所になった」と静かな中にも熱い思いをのぞかせた。
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 富山の隣県、石川県出身の田中は「母が富山出身で、親戚もいて毎年来ていました。ここ(もみの家の周りと同じように)畑に囲まれた家があって、タクシーに乗って「~~さん家」といえばば、そこに連れていってもらえた、そういう温かい思い出があります。あとは、夜真っ暗になって、その分、星が綺麗だと思って感動したり、雪の日のしんとした空気が、雪が降って寒いという感覚じゃなく逆に暖かみを感じた、不思議な感じがありました。子供の頃と同じ感覚に呼び戻された気がしました」と昔も今も変わらない富山の温かみを実感たっぷりに話した。


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坂本監督の長年の温めてきた題材

 本作は、坂本監督たっての希望で富山・散居村の美しい景色の中での撮影に挑んだ。さらに前作製作の前から長年温めて来た題材ということで、クランクイン前には実際にある自立支援施設にも取材に行ったという。「15、6歳の少女の成長を描いた作品が作りたいとずっと思っていました。実際の施設にも取材に行きましたが、それをイメージして“もみの家”を作ったわけではないんです。場所や人が変われば話も変わる、特別なことじゃなくこの世の中そう言うことはたくさんあると思うので、あくまでも自分の考える、この場所での、今の子供の問題について物語にしたいという思いがありました。不登校、引き込もりだったり、その当人や親や友達たち、この映画を観た人たちが一歩を踏み出せるための作品になるように取材をさせていただきました。あと、いざロケ地や場所決めになった時、地域の方々に多大なる協力を頂き、その温かさもまた映画の中に反映されていると思います」と語った。


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公開に向けて

 監督の熱い思いを聞き、緒形も自身の気持ちを述べた。「この場所で農業をやり、みんなで協力して生活しながら、自立を促すのはとてもいいと思いました。場所や人が変われば話も変わる、監督の言う通りで今回の舞台は富山だけれども、こういう物語を描く上で、あえて特定の場所に限定することもないとも思いました。僕は子どもたちを留学させていたので、あっちでの環境はどうだったのかとか、この映画を通してよく家族で話すことが多くなりました。人はだんだん強くなっていきますけれども、ガラスのような繊細な心だったときは誰にでもあると思います。どういう作品になるのか、来年公開を楽しみに待ち続けたい」。
 田中は自身の役を振り返り「わたしはみんなの母親のような役割だったので、それぞれの子がいろいろな問題を抱える中で、どのくらいの優しさで接すればいいか、一人ひとりへの距離感が難しいと思う時もありました。子どもたちは個性がバラバラで、それこそ良いとこもあって悪いとこもあって、認め合い支え合い、子どもたちを焦せらせることなく、じっくり向き合う時間が大切なんだなと強く感じました。生き急いだりしんどいと思った方、この映画を観て見つめ直して、自分を可愛がってもらえたらいいなと思います」と述べた。
 南は「私自身1年通して、出会いと別れの眩しさだったり、たくさんの刹那を強く感じることが出来ました。生活の中で、少しでも息苦しさだったり閉塞感を感じたことのある人の心の中に、何かを残せる作品になっているんじゃないかと思っています」と、たくさんの経験と、それにより生まれ気持ちを丁寧に笑顔で話した。それぞれ来春公開への期待を胸に、温かな囲み取材となった。


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 坂本監督の前作『真白の恋』と同様に、今作もまた監督の生まれ育った富山でのオールロケを敢行し、春夏秋冬それぞれの季節と人間模様を実際に一年間掛けて丁寧に撮影した。



(オフィシャル素材提供)



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