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2018-11-03 更新
斎藤 工、エリック・クー監督
第31回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門特別上映作品『家族のレシピ』の記者会見に、斎藤 工とエリック・クー監督が出席してクロストークを繰り広げた。
シンガポール・日本・フランス合作映画『ラーメン・テー』が、『家族のレシピ』の邦題で2019年3月に劇場公開される。「美味しい」その一言が、時と国境を越え、家族をつなぐ。シンガポールと日本の外交関係樹立50周年(2016年)をきっかけに製作された、ラーメンとバクテー(肉骨茶)、両国ソウルフードの「美味しい」がつなぐ家族愛を描いた感動作。
漫画家・辰巳ヨシヒロのアニメドキュメンタリー『TATSUMI マンガ革命を起こした男』(11)を手掛けたこともあるクー監督は、「ずっと日本の国や人々、食に魅せられてきた」と話す。また「日本で映画を撮影したいというのが夢だった」と明かしたクー監督は、2、3年前に友人でもあるプロデューサーから「日本とシンガポールの外交樹立50周年にあたって何か作ってくれないか」とオファーを受けたのがきっかけで今作を手掛けることになったという。ラーメンを素材にしたのは、「何よりも食をテーマにしたいと思ったから。ラーメンはシンガポールではストリートフードであり、日本では国民的なソウルフードであるということなので、テーマにしました」と説明した。
『TATSUMI マンガ革命を起こした男』を観て、クー監督の大ファンになったという斎藤は、本作について、「現在進行形の自分自身が映り込んだ作品で、演じたという感覚も記憶もありません。エリック・クー監督の魔法にかかって、俳優業の表現の神髄というか、新しい扉を開いたような体験をしました」と撮影を振り返る。
さらに、斎藤は「この映画はフランス・パリのオペラ座の近くの映画館で上映しているのですが、そこは僕が20年前にバックパッカーでパリを訪れた時に映画を観たことがある劇場だったんです。そこで自分の主演作が上映されているということ、想像すらできなかった未来を、エリックに出会うことで味わうことが出来ました」と感無量の面持ち。
斎藤は「福山雅治さんが劇場の外からの写真を撮って、『上映してるよ!』って写メを送ってきてくれたんです。こんな奇跡のような出来事も、全部クー監督のおかげだと思っています。食の力は言語を超えるものです。美味しいものを自分だけで留めるのでなく、人と共有する。食は国境や文化を超える、最大の言語だと思います」と熱く語った。
劇中、ラーメン職人という役柄の斎藤は、自宅でもラーメン作りに挑戦したという。「ラーメンは大好き。自宅で作るときは、ぼくはスープから。シジミベースのショーユスープで麺は後から入れます。何度も失敗したのでキッチン周りの臭いがとんでもないことになりました」と苦笑い。
最後に斎藤は、「シンガポールの景色がとても深く入りました」と語り、「多くの日本の方に知って、体験していただきたい作品です」とメッセージを伝えた。
過去に、映画『二郎は鮨の夢を見る』『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』などが上映されたベルリン国際映画祭(2月開催)やサン・セバスチャン国際映画祭(9月開催)の食をテーマに秀逸な作品を選出する「Culinary Cinema(キュリナリー・シネマ)」部門でワールドプレミアを行った今作。クー監督、斎藤、松田聖子も出席した食事会付きの上映会は大盛況だったそうだ。
(取材・文・写真:Sachiko Fukuzumi)
映画『家族のレシピ』
(原題:RAMEN TEH、2017年、シンガポール・日本・フランス合作、上映時間:89分)
■監督:エリック・クー
■出演:斎藤 工、松田聖子、伊原剛志、別所哲也、マーク・リー、ジネット・アウほか
■公開表記:配給 エレファントハウス
2019年3月9日(土)より シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
■物語:
群馬県高崎市ののどかな田園地帯に佇む一軒のラーメン店。さまざまな世代の客がひっきりなしに訪れる中、カウンターの奥で黙々とラーメンを作る3人の男たちがいる。店主の和男(伊原剛志)とその弟の明男(別所哲也)、そして和夫の一人息子の真人(斎藤 工)。
店が終わると、和男は一人で飲み屋に向かい、真人は自宅の台所でシンガポールから取り寄せた食材を使ってある味を再現しようと試みる。
同じ家に暮らし、同じ職場で働きながらも、父子の間に会話はほとんどなく、そのような生活が長年続いていた。しかし翌日、和男は急死する……。
オフィシャル・サイト
https://www.ramenteh.com/ (外部サイト)
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