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『顔たち、ところどころ』公開初日イベント

2018-09-16 更新

松尾貴史

顔たち、ところどころkaotachi 配給:アップリンク
シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開中
© Agnès Varda - JR - Ciné-Tamaris - Social Animals 2016.

 第90回アカデミー賞®ドキュメンタリー部門ノミネート、第70回カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞など、世界中の映画賞を席巻した映画『顔たち、ところどころ』の公開初日を記念して、9月15日(土)、都内・シネスイッチ銀座にてタレントの松尾貴史をゲストに迎えトークイベントが開催された。本作のテーマとなっている「顔」の魅力、フランスの田舎町の美しさ、さらには劇中に飛び出す名言など、作品に散りばめられた魅力について思いの丈を語った。


 「ヌーヴェルヴァーグの祖母」とも呼ばれる女性映画監督の先駆者アニエス・ヴァルダと、人々の大きなポートレイトを街に貼るプロジェクトで知られるアーティスト・JR。本作は、年の差54歳のふたりがフランスの田舎町を旅しながら、人々とのふれあいを通して共に作品を作り、残していくロード・ムービースタイルのドキュメンタリー。「とても癒された」という松尾は、「心が浄化される映画ですね。普段、ストレスで悩んでいることが、だんだん小さく思えてくるような素敵な世界観がある」と絶賛。

 特に、JRのシンプルだけれど大胆なアプローチに驚かされたという松尾は、「世界中に何十億と人がいますが、“顔がみんな違う”ということをパブリックな場所に写真として張り出すことによって、改めて気付かされるんですよね。顔の中に“宇宙”があって、それぞれの気持ちやプライド、人生が全てこの中に詰まっている。それを眺めるだけで、心の荷物をちょっと降ろしてリフレッシュできるというか。顔が持っている力って不思議な感じがしましたね」と感嘆する。

 また、劇中、アニエスからさまざまな名言が飛び出し、心を何度も動かされたという松尾は、「例えば、“偶然こそいつも最良の助監督である”という言葉がありましたね。助監督の部分は、パートナーでも、親でも、友人でもいいんですが、“偶然”というのは、クリエイティブの手助けをしてくれる最良のものだと。今日雨が降っているとか、隣の席が空いているとか、そんな小さなことも含めて、全ての偶然は、いい発想に繋がり、やがて力をもたらしてくれる、ということも教えられた気がします」とニッコリ。

 今回、アニエスは、その偶然の旅を54歳年下のJRと共に体験しているが、これに対して松尾は、「アニエスが一人で発想すると、自分だけにラインが出来上がってしまうけれど、JRのように方向も違う、曲がり方も違う人のラインと交わると、“面積”ができますよね。つまり、掛け算になるので、より面白いものが見つかることは確か」と持論を展開。さらに、年の差旅行についても、「あの気難しそうなおばあちゃんと、サングラスを掛けた怪しいお兄さんが、気まずくなりながらも、偶然出会った人、動物、建物などとコラボしながら、何かを生み出していく姿は、凸凹な感じだけれど、“表現することを尊ぶ”という共通の世界があるから、心を潤すものになったと思いますね」と目を細める。「ただ、うちの母が同じくらいなんですが、親子旅行のいいシミュレーションになりました」と苦笑いを浮かべた。


kaotachi

 フランスの田舎町が美しい映像と共に映し出される本作。『東京くねくね』(東京新聞出版局)という町歩き本を出すほど、散策をこよなく愛する松尾は、「僕は外国旅行へ行っても、観光スポットには全く興味がない。たまたま人の家の台所が見えたりとか、お母さんに怒られている子供がいたり、とか、そういうものを観て、日本と“違うなぁ”あるいは“同じだなぁ”という相違点と共通点を見出すのが旅の面白さだと思っているんです。だから、この映画を観たときは心から共感した」と振り返る。「ご自身の安全を担保した上で、イメージの冒険ができる素敵な映画。ぜひ、劇場に足を運んで、この美しい風景と、この個性的な“顔”たちを大きなスクリーンで楽しんでほしい」と最後は、これから劇場へ足を運ぶ観客に力強く呼びかけた。


松尾貴史

 1960年、神戸市生まれ。
 84年からタレント活動を開始。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、折り紙作家等幅広く活躍。『NumeroTOKYO』(扶桑社)にて「松尾貴史が選ぶ今月のシネマ」を連載中。
 2019年1月上演の「音楽活劇 SHIRANAMI」(G2演出)に出演予定。著書に『東京くねくね』(東京新聞出版局)などがある。



(オフィシャル素材提供)




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