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2018-03-15 更新
6人の死刑囚と対話するひとりの男の姿を描いた映画『教誨師』(きょうかいし)が、10月6日(土)より有楽町スバル座にて公開決定した。
“教誨師(きょうかいし)”とは、受刑者に対して道徳心の育成、心の救済につとめ、彼らが改心できるよう導く人。そして本作の主人公は、死刑囚専門の教誨師である牧師、佐伯。独房で孤独な生活を送る死刑囚にとって、教誨師はよき理解者であり、格好の話し相手。真剣に思いを吐露する者もいれば、くだらない話に終始したり、罪を他人のせいにする者もいる。皆、我々と変わらない人間でありながら、どこかで道を誤ったり、ちょっとしたボタンの掛け違いによって、取り返しのつかない過ちを犯した人々。一方の佐伯は彼らに寄り添いながらも、自分の言葉が本当に届いているのか、死刑囚たちが心安らかに死ねるよう導くのは正しいことなのか苦悩する。その葛藤を通して佐伯もまた、はじめて忘れたい過去と対峙し、自らの人生と向き合うことになる……。
“ほぼ教誨室での会話劇ながら息つく暇もない約2時間、役者たちの緊張感溢れる演技の応酬によって浮かび上がる人間の本質。時にユーモアも交えながら展開される、“死”の側からとらえた強烈な“生”の物語となっている。
主演の佐伯に、先日惜しくも急逝した大杉 漣。その膨大なセリフ量とユニークな内容ゆえ、「役者にケンカを売ってるのかと思った」と評したオリジナル脚本を見事に体現、複雑な人物像を圧倒的な存在感で演じ切っている。大杉にとって最後の主演作であり、また唯一のプロデュース作となった。
死刑囚役に光石 研、烏丸せつこ、古舘寛治といったベテラン俳優や、映画初出演となる劇団“柿喰う客”の玉置玲央。
監督、脚本は死刑に立ち会う刑務官を描いた『休暇』や『アブラクサスの祭』の脚本、監督作『ランニング・オン・エンプティ』の佐向 大。
■ 佐向 大監督のコメント
いい加減で適当で、できるだけ責任から逃れたい。私はそんな人間です。おそらく死刑囚もそうだと思います。じゃあ何故、私は彼らじゃないのか。罪を犯した者と犯さなかった者はどこが違うのか。なんで死ぬのは嫌なのか。何故生きたいのか。そもそも死者と生者の境界は何か。ひょっとしたら何も違いはないし、何の理由もないのかもしれません。だったら自分が日頃大切に思っていることや、しがみついているものは一体何なのだろう?
そんなことを私自身もこの作品を通して知りたいと思いました。
3年前、小さな喫茶店で、この企画を一番最初に話したのが大杉さんでした。
「いいね、やろうよ」。その一言をきっかけにこの作品が生まれました。私にとって主演俳優以上の存在だった大杉さんの訃報を前に、全く心の整理がついていません。ただこれだけは言えるのは、人生は限りがある。だからこそ、かけがえのない時間を、かけがえのない仲間とともに、どんなお仕事でも遊びでも手を抜かず、一瞬一瞬を精いっばい全カでやられていた方だったのではないか。あの優しさ、包容カ、エネルギーはそんなところからきていたのではないか。今はそんな気がしています。
この作品で大杉 漣という役者の凄みを改めて目の当たりにしました。おそらく皆さんも同じ思いを抱くのではないかと思います。
(オフィシャル素材提供)
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