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『KOKORO』ベルギー王国大使館 記者会見

2017-10-21 更新

國村 隼、ヴァンニャ・ダルカンタラ監督

KOKOROkokoro

配給・宣伝:ブースタープロジェクト
11月4日(土) ユーロスペースほか全国順次公開
© Need Productions/Blue Monday Productions

 10月19日(木)、都内にあるベルギー王国大使館にて記者会見が開かれ、11月4日(土)より公開される映画『KOKORO』に出演している國村 隼と監督を務めたヴァンニャ・ダルカンタラ監督が登壇した。

 本作はベルギー出身のダルカンタラ監督がベルギー・フランス・カナダ・日本の4ヵ国、3大陸の混成スタッフと共に作り上げた作品。ポスタービジュアル、物語のキーとなる場所には、島根県・隠岐諸島、最南端に位置する知夫村の赤壁が撮影として使用されている。

 國村は「通常の映画とは違い、大使館でお話をさせていただけるのはとても光栄なことです」と言い、ダルカンタラ監督は「こうしてプロモーションで日本に戻り、記者会見に臨めることはとても嬉しいです」と語った。

 ギュンテル・スレーワーゲン駐日ベルギー王国大使は「本日ここにゲストを迎えられたことをとても嬉しく思います。京都、ゆうばり国際映画祭でも高く評価をしていただいたと伺っております。ご存知の通り、ヨーロッパは映画産業が盛んです。ベルギーもその一国でございます。同じく映画の歴史があり、映画産業が盛んな日本とこうして一緒に作品を作り上げたことをとても嬉しく思います」と挨拶した。


この映画を作ったきっかけは?

ヴァンニャ・ダルカンタラ監督: 10代の頃から日本の文学や映画に影響を受けていました。『荒野の彼方へ』(2010年)で長編監督デビューをして、それを観た方から「この作品は日本の漢字、書道を感じる」とおっしゃっていただきました。日本にはいつか来たいと思っていましたが、それは観光ではなく自分のプロジェクトを持って来たいと思っていました。
 そんな時、この作品の原作のモデルとなった人物・茂 幸雄氏についての本を読みました。実際に自殺防止のパトロールをしていて、命を救っているという方です。とても感動してこの方の話を作品にしたいと思いました。しかし、西洋人の自分に日本人のキャラクターを主人公に話が書けるのか……歪みが起きてしまうのではないかと感じてしまいました。そんな時フランス人の作家が実際に茂氏のお話を小説にしている本に出合いました。フランス人の女性の視点で日本を描いているということから、私も「この映画を作ろう!」と思いました。そこからいろいろな問題が始まりましたが。


國村さんの魅力とは?

ヴァンニャ・ダルカンタラ監督: 國村さんは私だけでなく、国内外の監督を魅了する方です。スクリーンで演技を見ていると、ヤクザ役の演技をしているときは恐怖にも似たような感情を覚えます。一方で笑っている時は子供のような笑顔も見ることができます。
 本作品の中のダイスケはヒーローではないです。“光”と“影”の部分を持ち合わせています。両方の部分を演じられる國村さんは俳優として素晴らしいですし、ぜひダイスケを演じていただきたかったです。私は一緒に仕事をする方には“流れ”、“雰囲気”をとても大切にしています。本作品の主演女優、イザベル・カレさんとお会いした時にも、國村さんにも同じ“流れ”を感じ、とても合っているなと思いましたので、嬉しかったです。


監督とお会いしてみていかがでしたか?

國村 隼: 初めてお会いしたときから、この人とだったら“モノ”を作れる、この人だから優しい物語を創るんだと思いました。


全編英語のセリフについては?

國村 隼: 普段英語は聞きますが、話すことはないですかね。今回は全編英語となると、何を言っているのか分からないといけませんので、英語のイントネーションやアクセントには気をつけました。


監督は冒頭で、「いろいろな問題が始まりました」と述べましたが、具体的に問題はなんだったのでしょうか?

ヴァンニャ・ダルカンタラ監督: ジョークだったのですが(笑)。でも実際は問題=チャレンジだと感じています。まずは資金集めです。こういった映画はハリウッドの大作でもなければ、アクション映画のようにアクションもありません。1年単位で撮影していき、セリフが多いわけでもないので、雰囲気や感情で伝えていく作品です。こういった映画は資金集めで苦労します。
 そして、4ヵ国・3大陸を股にかけ(スタッフを集結させ)て撮影したことは今思うと無謀だったのかもしれません。初めて赤壁に行き、「ここで撮影したい!」と思った時は、1年後にキャスト・スタッフ・カメラの機材等を引き連れて戻ってくることを考えていませんでした。しかし撮影に入ると全てはスムーズにいったのです。地元の方々のご協力もあり無事にプロジェクトがマジックのように仕上がりました。とても素敵なことでした。


本作品に出演して日本映画と海外映画の違いを感じることはありましたか?

國村 隼: 日本の映画も海外の映画も違いはないと思います。人種や言葉の違いは壁にはならないですね。監督の個性が違いになるのだと思います。そういった点では、監督の方法、セリフで伝えるのではなく、画として見せる・伝えるという映画の手法はぴったりと合っていました。


10代のころ日本の映画や文化に影響を受けたと仰っていましたが、具体的にどういった作品でしょうか? また画で見せる手法も日本から影響を受けたのですか?

ヴァンニャ・ダルカンタラ監督: 日本の文化が全てではなく、自身の経験も大きく影響しています。サイレンスは美しい価値です。居心地が良いです。西洋の文化とは違いますね。日本独特の、焦りを感じさせない心地良さです。本作品でも主人公のアリスとジロウが無言で過ごす場面も心地の良い感じがしました。そこに言葉はいらないと。


どういった方に観ていただきたいですか?

ヴァンニャ・ダルカンタラ監督: 監督は皆、ナイーブな心を持ち、皆に観てもらいたいと思うでしょう。いろいろな人に観てもらうために世界共通語で作品を撮ったり。しかし、私が心がけたことは西洋の方、日本の観客の方、こういう言い方はおかしいと思いますが“大人の方”が解っていただけると思います。これはあり得ないなと思うシーンもあるかと思いますが、映画の中のファンタジーとして捉えていただきたいです。


最後にこの映画を御覧になる方へのメッセージをお願いします。

國村 隼: この作品は、日本という文化にリスペクトを持っています。そこに僕は参加させていただけてとても光栄です。タイトルも『KOKORO』。心は日本語では抽象的な言葉ではありますが、それをアルファベット表記でタイトルにしている。一目でこの作品を物語っているタイトルだと思います。何気なく思っている私たちの文化が、特別な視点で(海外の方に)作られ、こんな見方もあるんだなと感じていただければと思います。そして、ベルギー等に興味を持っていただける作品ともなっています。

ヴァンニャ・ダルカンタラ監督: この原作となった本のタイトルは日本語に訳すと『常に鼓動を続ける心臓』です。私はこのタイトルを映画にする時は変えたいと思っていました。翻訳をいろいろ使って調べたら『心』が出てきて、とても合っているなと思いました。オープンなタイトルでとても日本に合っているなと。國村さんが仰ったように『KOKORO』というタイトルはこの作品のシンボルだと思いました。



(オフィシャル素材提供)



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