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2017-10-19 更新
吉田大八監督
配給:アスミック・エース
2018年2月3日(土) 全国ロードショー
© 2018「羊の木」製作委員会
© 山上たつひこ いがらしみきお/講談社
『桐島、部活やめるってよ』、『紙の月』で人間の光と闇を描き続ける俊英・吉田大八監督の最新映画『羊の木』が、2018年2月3日(土)より全国公開となる。この度、韓国・釜山で12日から開幕した第22回釜山国際映画祭で「アジア映画の窓」部門に正式招待され、10月15日(日)にワールドプレミアを実施。釜山国際映画祭に初参加となった吉田大八監督が登壇し、観客からのQ&Aに応えた。
400人もの観客で満席となった会場で、上映後拍手が巻き起こるなか、登壇した吉田監督は、「『羊の木』は日本でもまだ一般のお客さまにはご覧いただいていないので、一番最初にここ韓国の皆さんにご覧いただけることを光栄に思います」と挨拶。熱狂的な支持を集め続ける山上たつひこ×いがらしみきおの巨匠タッグが産み出した同名原作を、センセーショナルな問題作のテーマをそのままに、吉田監督により誰も想像し得ない全く新しい衝撃と希望の結末を作り上げた本作。主演を務めるのは錦戸 亮。「錦戸さんとはこの映画で初めて会いました。彼はミュージシャンでもありますが、すごく良い意味で普通の人というか、普通の雰囲気を持っていると思いました。映画の中では個性溢れる人物に囲まれて、その真ん中でほぼ普通の人としてひたすらいろんな状況に対応し続ける。彼の表情の一つひとつに観客が気持ちをのせていくような映画になっていますし、撮影しながら現場では飄々とリラックスしてカメラの前で演技をしていて、普通の人を演じる天才的な能力がある人であり、フラットなままで状況に対応する月末という人物をすごく上手に演じてくれました。音楽をやっていることもあり、すごく感覚的にその場に一番フィットする演技を理解してくれ、スムーズな現場でした」と、錦戸の魅力を語った。
舞台は、ある寂れた港町“魚深“。月末(錦戸 亮)は、男女6人(北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中 泯、松田龍平)の受け入れを担当するが、移住してきた彼らは、どこかおかしい。魚深の町が抱える過疎問題を解決するために、元受刑者を受け入れるという“国家の極秘プロジェクト”であることを告げられた月末が知った、さらなる衝撃。“彼らは全員元殺人犯”だった。
公式上映中、前半は会場から笑いもおきており、「6名が町にやってきた時に、出迎える月末が毎回同じセリフをいうのが面白かった」という声に対して、「最初、迎えに行った時に、月末は、市役所の職員として決まった手続きに乗っ取って、皆を同じように迎え入れたい、彼の仕事である新しい居住者を迎え入れるセクションでのルーティンの仕事と同じように受け入れたいと思ったんですが、今までの彼のルーティンの仕事とちょっと何かが違うなということを月末自身と観客に知らしめたいという狙いがありました」とコメント。しかし、後半にかけてサスペンス要素が深まる展開では、小さな音もしないくらい、観客は映画にくぎ付けになった様子だった。
多様なキャラクターが出てくる本作で、「監督にとって特に愛着があるキャラクターは?」という質問には、「もちろん全員に思い入れがあって、分け隔てなく撮影から仕上げまでそれぞれのキャラクターを愛してきましたが、自分でも見直す度に興味がわくキャラクターが変わることがありまして、今日の上映では大野さんを受けいれたクリーニング屋さんのおばさんと、福元さんを受けいれた理髪店の店主のことを考えることが多かったです」と、観る度にそれぞれのキャラクターに愛着をもつこと作品であることを明かした。
6名の元殺人犯のそれぞれの犯した罪の設定については、「この物語には原作があって、原作ではもっと新住民の数も多いし、殺人だけじゃなく窃盗や性犯罪、詐欺などもあります。今回、殺人だけに絞ったのは、2時間の映画の中で一つ自分がこだわって考えたのは、人を殺したことがある人と無い人の間の境目がどう見えてくるかに興味があって、それを念頭において話を作りました。人を殺すことについても、弾みで殺したのか、計画的に殺したのか、あるいは残酷な殺し方なのか、運悪く相手は死んでしまったのか……その経緯によって、目の前に人を殺したことがある人がいたとしても、相手にどういう感情も持てるのか、どう付き合っていけるのか、いけないのかを細かくやりたかったので、全員殺人犯として一人ひとり変化をつけました。自分も撮影しながら、何が見えてくるか考えながら撮っていました」と語った。
上映後、吉田監督は「映画祭のお客さんが皆、とても集中してご覧になっており、そのことを感じながら一緒に上映を観ることが出来ました。最初にお披露目する機会として、とても良い経験をさせてもらいました」と、ワールドプレミアとなった映画祭への参加、そして、釜山国際映画祭の初参加への喜びを言葉にした。
(オフィシャル素材提供)