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2017-10-12 更新
英題:THE OTHER SIDE OF HOPE社会の片隅でひっそりと慎ましやかに生きる庶民の哀歓を独特のミニマリズム的な手法で切り取り、シンプルな寓話として昇華させた数多の名作で知られるフィンランドの巨匠アキ・カウリスマキの最新作『希望のかなた』がいよいよ公開される。
『希望のかなた』は、北欧フィンランドの首都ヘルシンキを舞台に、生き別れの妹を探すシリア難民の青年カーリド(シュルワン・ハジ)が、レストランオーナーのヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)とその仲間と出会い、彼らのちいさな善意に救われる物語だ。
今年のベルリン国際映画祭で上映され、批評家、観客から圧倒的支持を受けて、監督賞を受賞した『希望のかなた』は、『浮き雲』(96)、『過去のない男』(02)、『街のあかり』(06)の〈敗者三部作〉を完成させたカウリスマキにとっては、当初は、続いて撮られた『ル・アーヴルの靴みがき』(11)に始まる〈港町三部作〉の二作目として位置づけられていた。その後、監督自ら〈難民三部作〉と呼称を変えたように、『希望のかなた』は、前作『ル・アーヴルの靴みがき』で大きくクローズ・アップされた、EUにおけるいまだ解決の糸口さえ見えない深刻な難民問題を再び取り上げている。
内戦が激化する故郷シリアを逃れた青年カーリドは、生き別れた妹を探して、偶然にも北欧フィンランドの首都ヘルシンキに流れつく。
空爆で全てを失くした今、彼の唯一の望みは妹を見つけだすこと。ヨーロッパを悩ます難民危機のあおりか、この街でも差別や暴力にさらされるカーリドだったが、レストランのオーナーのヴィクストロムは彼に救いの手を差しのべ、自身のレストランに雇い入れる。そんなヴィクストロムもまた行きづまった過去を捨て、人生をやり直そうとしていた。
それぞれの未来を探す2人はやがて“家族”となり、彼らの人生には希望の光がさし始める……。
(2017年、フィンランド、上映時間:98分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
出演:シェルワン・ハジ、サカリ・クオスマネンほか
配給
ユーロスペース
12月2日(土) 渋谷・ユーロスペース他にて全国順次公開
オフィシャル・サイト
kibou-film.com (外部サイト)