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2018-03-10 更新
黒沢 清監督
黒沢 清監督
1955年生まれ、兵庫県出身。
大学時代から8ミリ映画を撮り始め、1983年、『神田川淫乱戦争』で商業映画デビュー。
その後、『CURE』(97)で世界的な注目を集め、『ニンゲン合格』(98)、『大いなる幻影』(99)、『カリスマ』(99)と話題作が続き、『回路』(00)では、第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
以降も、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『アカルイミライ』(02)、『ドッペルゲンガー』(02)、『LOFT ロフト』(05)、第64回ヴェネチア国際映画祭に正式出品された『叫』(06)など国内外から高い評価を受ける。また、『トウキョウソナタ』(08)では、第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞と第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞。テレビドラマ「贖罪」(11/WOWOW)では、第69回ヴェネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門にテレビドラマとして異例の出品を果たしたほか、多くの国際映画祭で上映された。
近年の作品に、『リアル~完全なる首長竜の日~』(13)、第8回ローマ映画祭最優秀監督賞を受賞した『Seventh Code』(13)、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞、第33回川喜多賞を受賞した『岸辺の旅』(14)、第66回ベルリン国際映画祭に正式出品された『クリーピー 偽りの隣人』(16)、オールフランスロケ、外国人キャスト、全編フランス語による海外初進出作品『ダゲレオタイプの女』(16)がある。
黒沢 清監督の最新作『散歩する侵略者』と、そのスピンオフ『予兆 散歩する侵略者 劇場版』の勢いが止まらない。『散歩する侵略者』は、行方不明の後に夫が侵略者に乗っ取られて帰ってくるという大胆なアイデアが国内外で絶賛を受け、北米、フランスなど全世界31の国と地域で上映が決定している話題作。第70回カンヌ国際映画祭での「ある視点」部門正式出品を皮切りに、第41回日本アカデミー賞における黒沢 清監督の優秀監督賞、長澤まさみの優秀主演女優賞をはじめとした国内での受賞も相次ぐなど、まさに国内外の映画祭・映画賞を席巻している。
『予兆 散歩する侵略者 劇場版』は、黒沢 清が引き続き監督を務め、不穏な空気が渦巻く恐怖と驚愕の世界をアナザーストーリーとして別の視点で描き、第68回ベルリン国際映画祭でのパノラマ部門へ正式出品され現地でも絶賛された注目作だ。
今回、ベルリン国際映画祭から帰国したばかりの黒沢 清監督に、この2作品に対しての国内外での評価への実感を含め、改めて話を聞いた。
公開時、僕の想像以上に「感動した」という感想をいただいきました。それは狙っていたことでもありますが、夫婦のラブストーリー、愛の物語が強烈に伝わったのだなと思いました。いわゆる「分かりやすい」ラブストーリーではありませんが、夫婦役の長澤まさみさん、松田龍平さんのお芝居もあって、予想以上に一般の方々に届いた。一方で、自分としてはハリウッド超大作ではないですが、宇宙人侵略SFとして侵略の描写もこだわったので、そこにももっと注目してもらえたら嬉しいのですが(笑)。
作った僕が言うのもなんですが、長澤さん、松田さん演じる夫婦のパートと別のもう一方のパート、長谷川さん演じるジャーナリスト・桜井と高杉くん演じる侵略者・天野、恒松さん演じる立花あきらのパートも最終的にすごく感動すると思います。特に長谷川さんと高杉くんの、最初は反目していた宇宙人と人間が、ひとつの目的に向かって協力していくという展開は、なかなか日本映画ではない。おふたりの力は大きかったのでそれが評価にもつながったのだと思います。高杉くん演じる天野という役はものすごく難しかったので、最初の頃は「そこまで感情を込めなくてもいい」と話した記憶はあります。でも、彼は二日目くらいには感触をつかんで、あとはもう完ぺきでした。
長谷川さんが演じるジャーナリストというキャラクターは、いままでの僕の映画には登場しなかった、一種のアウトローです。仕事ではあるけれども、自分の欲望で動いている。仕事と欲望が一致しています。今回やってみて、そういうキャラクターって物語を進めて行くと、あれよあれよと言う間に世界からはみ出してしまうことを発見しました。それは初めての経験でした。観ていても気持ちのいいぐらい思い切った反体制の存在になっていきます。長谷川さんに演じてもらわなければ、彼がこうなるとは想像もつきませんでした。
皆さん緊張する場面では緊張し、驚くところでは驚いていましたよ。ストレートに笑いも起こっていて、いい反応がありました。熱狂的な僕の映画のファンも何人かいて、質疑応答では作品の気に入った点を話してくれて、とても気持ちのいい映画祭でした。『予兆』の音楽がラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』(11)に似ているという思わぬ意見もあって、どこに影響を受けたのかというマニアックな質問も飛び出すほどで、さすがドイツだなと思いました。
『予兆』が、大杉さんとは最後の作品になってしまいました。本当に長いお付き合いで、僕のデビューに近い頃からテレビドラマも入れると、20本以上ご一緒しました。ここ最近の大杉さんは人気者でお忙しく、久しぶりにご一緒することに興奮しましたが、現場に行ってみると昔とまったく変わらないんですよ。それは、お互いに感じていたことだと思います。現場では大杉さんが意表を突くことを試されるので、こっちも負けずに脚本にないことを当日お願いする。おたがいに「そうきましたか」という感じが何とも言えず気持ちがいいものなんですね。
『予兆』でもまさにそういう関係で、とっても楽しかった。ただ、これまでは本筋に関係のないアドリブなどはカットになってしまうことも度々だったのですが、今回の『予兆』では大杉さんが試されたことを、全部使いました。こういうケースは稀で、ヘンな言い方ですが、『予兆』で大杉さんのアドリブをいっさいカットしなかったということは、僕にとってある種の救いみたいなところが正直、ありますね。
『散歩する侵略者』は、メインとなる5人の俳優それぞれが、これまでにない思い切った演技をしています。ごく普通の日常の、そのへんにいる人間から一歩、二歩、もっとはみ出しているかもしれない、そういう存在を演じ切っているので、5人の人間ぶりと非人間ぶりを楽しんでいただきたい。
『予兆』も『散歩する侵略者』も、ジャンルで言えば宇宙人侵略SFに分類されるわけですが、そういうジャンル映画として考えると『予兆』のほうがより明確にそのスタイルを持っています。ですから、そうとう怖いです。世界が、とりかえしがつかないことになっていくさまを、心して観てほしいです。
『散歩する侵略者』<DVD>
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●発売日:2018年3月7日(水) Blu-ray&DVD発売/レンタル開始
●収録時間:本編129分+特典映像
●セルBlu-ray&DVD 特別版 共通映像特典
映像特典:メイキング/ナビ番組/長澤まさみ×松田龍平×長谷川博己 3ショットインタビュー完全版/イベント映像集/カンヌ映画祭映像集/予告編集
●映画公式サイト: http://sanpo-movie.jp/ (外部サイト)
【ストーリー】:
「なるほど。それ、もらうよ」
「家族」「仕事」「所有」「自分」彼らは私たちの大切な<概念>を奪っていく――。
数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。
急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。
夫・真治(松田龍平)は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか……?
その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。
ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中、天野(高杉真宙)という謎の若者に出会い、二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきら(恒松祐里)の行方を探し始める。
やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。
「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。
当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる。
【出演者】:
長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、恒松祐里、前田敦子、満島真之介、児嶋一哉、光石 研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史、長谷川博己ほか
【スタッフ】:
原作:前川知大「散歩する侵略者」
脚本:田中幸子、黒沢 清
音楽:林 祐介
監督:黒沢 清
『予兆 散歩する侵略者 劇場版』<DVD>
■■商品情報■■
『予兆 散歩する侵略者 劇場版』 Blu-ray
(PCXP-50552)/¥5,200+税/【本編ブルーレイ】 1枚組
☆特製アウタースリーヴ付
『散歩する侵略者』DVD
(PCBP-53697)/¥4,200+税/【本編DVD】 1枚組
☆特製アウタースリーヴ付
●発売日:2018年3月7日(水) Blu-ray&DVD発売/レンタル開始
●収録時間:本編140分+特典映像
●セルBlu-ray&DVD 共通映像特典
映像特典:メイキング/初日舞台あいさつ/予告編集
●映画公式サイト: http://yocho-movie.jp/ (外部サイト)
【ストーリー】:
「もうすぐ世界が終わるとしたらどうする?」
山際悦子(夏帆)は、同僚の浅川みゆき(岸井ゆきの)から、「家に幽霊がいる」と告白される。みゆきの自宅に行くとそこには実の父親がいるだけだった。
みゆきの精神状態を心配した悦子は、夫・辰雄(染谷将太)の勤める病院の心療内科へみゆきを連れていく。診察の結果、みゆきは「家族」という《概念》が欠落していることが分かる。
帰宅した悦子は、辰雄に病院で紹介された新任の外科医・真壁司郎(東出昌大)に違和感を抱いたことを話すが、辰雄からは素っ気ない返事のみ。
常に真壁と行動をともにする辰雄が精神的に追い詰められていく様子に、悦子は得体の知れない不安を抱くようになる。
ある日、悦子は病院で辰雄と一緒にいた真壁から「地球を侵略しに来た」と告げられる。冗談とも本気ともつかない告白に、悦子は自分の身の周りで次々に起こる異変に、真壁が関与しているのではないかと疑い始める――。
【出演者】:
夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの、安井順平、石橋けい、吉岡睦雄、大塚ヒロタ、千葉哲也、諏訪太朗、渡辺真起子、中村まこと、大杉 漣ほか
【スタッフ】:
原作:前川知大「散歩する侵略者」
脚本:高橋 洋、黒沢 清
音楽:林 祐介
監督:黒沢 清
●発売/販売元:ポニーキャニオン
●商品サイト: https://sanpo-movie.ponycanyon.co.jp/ (外部サイト)
(オフィシャル素材提供)
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