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2016-04-16 更新
アダム・バクリ
アダム・バクリ
1988年、イスラエル・ヤッファ生まれのパレスチナ人。
父親は俳優で映画監督のモハマッド・バクリ。二人の兄とも俳優だったため、自然に俳優の道を志すようになる。
テルアヴィヴ大学で英語と演劇を専攻。その後、ニューヨークのリー・ストラスバーグ劇場研究所で演技のメソッドを学ぶ。研究所の卒業式の翌日に、本作のキャスティング・ディレクターにオーディション・テープを送り、イスラエルで演技テストを幾度も経たのちに合格した。本作が長編映画デビューとなる。
現在はニューヨークを拠点に活動中。第一次世界大戦のアゼルバイジャンを舞台にしたアジフ・カパディア監督の新作『Ali and Nino』(16)で、キリスト教徒の女性と恋に落ちるイスラム系アゼルバイジャン人役で主演を務める。
衝撃のパレスチナ映画『オマールの壁』公開を記念して、主演を務めたアダム・バクリが初来日。イスラエル生まれのパレスチナ人として本作に臨んだアダムの内に秘めたる思いとは?――劇中、丸刈りだった髪を伸ばし、端正なマスクから時折笑顔をのぞかせる27歳の青年が、パレスチナの今を生き抜く若者たちのリアルな心情を語った。
一生、囚われの身になるか。それとも裏切り者として生きるのか。本作は、分離壁で囲まれたパレスチナの危険と背中合わせの現状を、命懸けで生きる若者たちの姿をリアルかつサスペンスフルに描いた衝撃作。カンヌ国際映画祭をはじめ、多数の映画祭で絶賛され、パレスチナ代表として2度目のアカデミー賞®外国語映画賞ノミネート作品に選出された。
本作がパレスチナ初の“純国産”映画であることについてアダムは、「100%パレスチナで資金が調達され、スタッフ・キャストも99.9%がパレスチナ人、つまりオール・パレスチナ人で完成させた最初のパレスチナ映画であることをとても誇りに思っています」と瞳を輝かせ、さらに「その記念碑的作品がアカデミー賞®外国語映画賞のノミネートされたこともとても光栄」と笑顔を見せた。
また、イスラエル・ヤッファ生まれのパレスチナ人であるアダムは、実際には分離壁に囲まれて育った経験がない。本作の撮影で初めて間近で壁を見て、「その緊迫感たるや、物凄くエモーショナルな体験だった。視界からは空が見えなくなり、太陽が隠れてしまう大きさで、そこに立って初めて壁が持つパワーを感じた。それを毎朝起きて、見なければならないフラストレーションとか無力感には耐えられない」と吐露。
さらに、高さ8メートルの壁をよじ登るシーンでは、「かなりトレーニングを積んでトライしたが、半分以下の3.5メートルで力尽きた」と告白。もっとも「全部登り切ったら銃で撃たれちゃうからね。壁をまたぐシーンはセットなんだよ」と、笑うに笑えない裏話を明かしてくれた。
そして気になる衝撃の結末。窮地に追い込まれたオマールが辿り着いた終着点……議論が必ず巻き起こるであろうラストシーンについては、ハニ・アブ=アサド監督から「人生で一番ハッピーな日だと思って演じてほしい」と指示が飛んだという。アダム自身も、「あの時オマールは、自分自身が下した“決断”に心から納得し、そして平和を感じたんだと思う」と噛み締めるように語った。
(オフィシャル素材提供)
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