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『奇跡のクリスマス』『虹の橋をかけぬけて』
月元映里 単独インタビュー

2019-01-19 更新

月元映里監督


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 初長編監督作三部作の2作品『奇跡のクリスマス』と『虹の橋をかけぬけて』が海外各地の映画祭で受賞・ノミネートを果たしている期待の新鋭・月元映里監督。2018年ミラノ国際映画祭(Milan International Filmmaker Festival 2018)で同2作が複数部門にノミネートされた際に来伊した監督から、映画に懸ける熱い想いを聞いた。


今回は、ノミネートを果たしたインド→モナコ→ミラノの映画祭を一気に回る弾丸ツアーを決行されたようですね。1ヵ所目のインドはいかがでしたか?

月元映里: インドには2日間居たんですけど、1日目は少しだけ観光しました。街中を歩いて、インドの方々の生活や街並みを見つつ、物を売っている方々などとちょっと触れ合ったり(笑)、一緒に写真を撮ったりしました。ガンジーの映画を日本で観たことがありましたが、差別を受けながらもがんばって生きて、歴史を変えてこられた方々がいたことに心打たれて、いつか行ってみたいなとは思っていたんです。自分の心の革命になったらいいなと考えて、この機会に行く決心をしました。


一番最初に映画賞をとられたのは、インドではなかったですか?

月元映里: 以前、どちらが先だったか失念しましたが、インドとニースで賞を頂いたのが最初でした。その当時は行けなかったんですが、今回はついに叶いまして、2日目のオープニングに参加させていただきました。
 今回は4人で参加させていただき、今もまだ音声のMAと音楽担当の者2名があちらにおります。想像以上に大規模な映画祭でした。インドでも1、2を争う規模だそうです。オープニングも何千人が入るような会場で開催されて、マスコミの方々も大勢いらしていて、他ではあまり経験できないようなスケールで驚きました。そんななかでスピーチをさせていただきました。会場自体がものすごい広さで、広大な敷地に大きなホテルも入っていました。すごい量のご馳走も毎日出ていましたね(笑)。マーケティング会場や別のフェスティバルも絡んでいたりとか、勉強会やセッションの会場もあって、私も本当に参加したかったんですけど、1日しか居られませんでしたのでそれが叶わず、残念でした。


その後はモナコに行かれたんですね?

月元映里: そうなんです。明け方にモナコに向かって……。弾丸ツアーで、乗り換えが多くバタバタでしたが、楽しい旅でした。


今年は月元さんにとって、素晴らしい年になったのではないでしょうか?

月元映里: ありがとうございます。そうですね、2018年2月くらいから海外の映画祭に出し始めたんですけど、次々と受け入れていただいて、まだまだ大きな映画祭ではないんですけど、出だしで世界の皆さんに観ていただけるというのがすごく嬉しくて、本当によかったなと思っています。


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映画を観た海外の方々からは、どのような反応がありましたか?

月元映里: 日本の方々と海外の方々では結構、映画の観方が違うような気がしているんですが、海外の方々はありがたいことに、全般的に褒めてくださいました。どちらの映画も「エモーショナルで、いろいろな要素がつまっていてハートが素晴らしい」と言ってくださったり、脚本や台詞も褒めていただきました。もしかしたら台詞は異国風で、海外のほうが受けが良く(笑)、日本ではストレートすぎると思われるかもしれません。あと、ビジュアルやカメラワークがよかったと言ってくださった方や、ここ最近ご覧になった日本映画では東京のイメージが暗かったらしく、「東京がこんなに綺麗だなんて知らなかった!」なんて感動してくださった方もいて、嬉しいな~と思いましたね。


実際、脚本賞にもノミネートされていましたね?

月元映里: あ、そうですね。でも、私はずっと独学で脚本を書いていますので、もっともっと実力を高めて、がんばっていきたいなと思っています。今回映画が出来上がってから、改善点など気づいたこともいろいろありますので。


長編三部作ということで、あと1本あるんですよね?

月元映里: そうなんです。『ダンシング・エンジェル』というタイトルで、今もまだ編集中です。監督としてはまだまだですから予算もなくて、仕事をしながらですので時間がかかっています。その一方で映画祭参加の機会もたくさん入ってきて、そちらの手続きなども全て独りでやっていますし、エントリー費用、渡航費用もかかりますから、その準備のほうでバタバタで、なかなか作品の完成までには至らないですが、後は、微調整や音MA、カラー、音楽、英文字幕などですので、最大限にレベルを高めて完成させたいです。


インディペンデントですと、何よりも資金繰りにとても苦労されるでしょうね。

月元映里: そうですね。女優やシンガーソングライターを長くやってきましたし、イギリスの大学に行っていたときは演劇や監督もやったりしていましたが、映画専門の学校に行ったわけではなく、あくまで独学で勉強してきましたから、さまざまな面で、まだまだ今から更に高められる部分が多いんですが、とにかくいいものを創りたいという一心でやっています。資金も含めて困難はたくさんありますが、皆さんからポジティブな反応を頂いたり、「感動した」などと喜んで言っていただけると心の支えになりますね。私も子どものときに映画から感動をもらいましたから、今度は自分が人々の心に触れるような感動的で独創的な作品を創りたいと願っています。表現者としての資質を高められるよう、これからもがんばりたいですね。


どういう映画に影響を受けましたか?

月元映里: 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)が大好きなんです。子どものときに観て、初めて「監督っていいな」と思った記憶があります。冒険あり、ラブ・ロマンスあり、正義や友情などさまざまなテーマも含まれていて、生きる人たちに力を与えてくれる映画って、本当にすごいなと思いました。あと、『ムーラン・ルージュ』(01)や『アニー』(82)とか、ミュージカル系も結構好きです。特に『ムーラン・ルージュ』はビジュアル的にも美しく、カメラワークがダイナミックで魅せられましたね。とにかく、いろいろなことを乗り越えて世界を切り開いていく……みたいなお話が好きなんです。ファンタジーも大好きですし。


邦画で影響を受けた監督はいますか?

月元映里: 黒澤 明監督です。モノクロが美しく、アーティスティックで印象的なシーンが多くて衝撃を受けました。アニメでは、新海 誠監督です。『君の名は。』のストーリーやビジュアルが好きですね。私も、映像の美しさ、色にこだわりたいと思っています。演出家の蜷川幸雄さんは舞台ですが、舞台を観て、独特の演出や美術効果に衝撃や感銘を受けました。あとは宮崎 駿監督の在り方といいますか、発言も素晴らしいと、共感や影響を受けています。


様々な分野で活動されていることに感服いたしますが、その尽きないエネルギーの原動力となっているのは?

月元映里: ただただ芸術が大好きなんです。子どもの頃から小説を書いたり、ピアノを弾いたり、映画も大好きでした。芸術、創造の世界を深く追求するのが楽しくてしかたないんです。表現することで自分を磨いていきたいですし、私の作品で皆さんに感動やプラスのメッセージを与えられたら……と常に願っています。


皆さんに伝えたい、大きなテーマがおありなのですか?

月元映里: そうですね、いろいろあります。あくまで自分の嗜好で芸術的なものを創りたいというものはありますが、それに加えて、世の中にプラスになるメッセージを伝えたいとは昔からずっと思っていました。それは、平和や人種・男女平等といったテーマですね。もっと世界が良くなり、芸術も豊かになっていけばいいなと願っています。その他にも、愛や友情なども描きたいですね。


映画でしたら、ご自身のそうした想いを伝えることも可能かもしれませんね。

月元映里: そうなんです。映画を観ていただき、何かを感じとってくださる方たちがいたら、心に響いたことを大切にし、できれば外側に向けて発信していただけたらと思います。一人ひとりの力は小さくとも、何かがちょっとずつでも動いていけば、やがては大きな力になっていく……という希望をもっています。


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監督作品の日本公開予定は?

月元映里: いま、世界の映画祭に出している段階ですので、日本ではちゃんとした公開の前に、1~2日間のお披露目公開をやろうとしています。
 とにかく、予算面で格闘しています。脚本も何本か出来ており、他にアイデアも生まれていますので、新たな脚本にも取り掛かりたいですし、長編3本目の編集も早く終わらせたいのですが……。ウェブ動画の短い撮影もやっていまして、そちらも早く完成させたいと思っています。やりたいことばかりですが、資金も必要ですし、いつも時間に追われている感じです(笑)。


プロデュースしてくれるところがあるといいですね。

月元映里: はい。今回の3部作はモデル事務所から頼まれましたので、キャスティングもその意向に沿う形で、モデルさんを6人ほど起用させていただき、後は私の友人で脇を固めて……という形ですが、とにかく予算がとても低いので、私も半分ほど出資しています。初めて監督をやりましたから、それは仕方がありません。今回は一気に撮影してから、3作品として編集しています。本来はスタッフがやってくれるようなことも制作も、全て独りでやってきましたので、1本ずつじっくり集中し時間をかけて創り上げて完成させることは、監督だけに集中するよりは充分にはできませんでしたが、今回出来るだけレベルを高めつつ、やり遂げることで次に繋げていきたいなと思っています。もっと予算があれば、短い時間で集中して創ることもできるのですが……。でも、芸術に対する情熱は尽きませんので、あとは更にクルーを集めて、みんなで自分の描く理想の作品へ向かい、スキルを上げていくことを今後の目標にしています。


『奇跡のクリスマス』で主演されて、2018年ニース国際映画祭 外国語映画 最優秀主演男優賞を受賞したSADAさんも、その後ずいぶんご活躍されているようですね?

月元映里: そうなんです! Cinema Factoryさんとの出会いも、SADAさんのファンの方がきっかけでしたね。本当にありがとうございます。SADAさんも今回の受賞によって、ご出身である大阪の2025年エキスポのお仕事の話が動いてきたりですとか、台湾政府に招聘されたり、さまざまなお仕事につながっているそうで、嬉しい限りです。


月元監督の今度のご活躍を期待しています。

月元映里: ありがとうございます! 新たに出来上がっていたり、アイデアを構想中の様々な脚本を、早く形に出来るようにがんばりたいと思います!


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『奇跡のクリスマス』『虹の橋をかけぬけて』日本初御披露目上映special live歌つきイベント

 日時: 1月21日(月) 17時30分開場
 会場: Galaxy(旧under2.5、埼玉県川口市西川口1-22-7 上新ハイツ西川口B1)
 出席者: 月元映里、SADA、森田朋依、高橋嘉子ほか(予定)
 料金: 歌ライブのみ(17時50分~) 1000円+ワンドリンク500円
     歌ライブ(17時50分~)+『虹の橋をかけぬけて』(18時50分~) 1200円+ワンドリンク 500円
     『奇跡のクリスマス』(20時~) 1300円+ワンドリンク500円
     歌ライブ(17時50分~)+『虹の橋をかけぬけて』(18時50分~)+『奇跡のクリスマス』(20時~) 2300円 +ワンドリンク500円


『奇跡のクリスマス』
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『虹の橋をかけぬけて』
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月元映里

 イギリスの大学で演劇・音楽を卒業。NYで映画出演。イギリス・カナダ・メキシコにて、自作曲ライブや、脚本監督した舞台と映像の融合作品を披露。
 女優・シンガーソングライター・モデル・脚本・映画監督・撮影・油絵・舞台演出等、芸術全般で活動中。

 自身で、監督脚本・撮影編集・音楽監督・主題歌・制作や油絵・英文字幕を手掛ける、3本の長編映画のうち、今回一番最初に編集が完成し、映画祭に出し始めた初監督映画『奇跡のクリスマス』が、インドの月間映画祭 culcutta international cult film festivalの3月部門にて outstanding achievement awardを受賞。
 フランスのニース国際映画祭2018では、『奇跡のクリスマス』(以降『奇跡~』)が最優秀主演俳優賞(SADA)を受賞。マドリード国際映画祭2018では、『虹の橋をかけぬけて』(以降『虹~』)が最優秀外国語映画助演女優賞(月元映里)を受賞、モナコ国際映画祭では『虹の橋をかけぬけて』がindependent spirits awardを受賞、New York Film Awardsではベスト新人監督賞を受賞した。

 アムステルダム国際映画祭2018、ミラノ国際映画祭2018でも、同2作が多数部門でノミネート。

 2019年は、ロンドン国際映画祭で『虹~』が最優秀外国語映画撮影賞と編集賞、『奇跡~』が最優秀外国語映画サウンド・デザイン賞とコスチューム賞にノミネート、インドのGolden Fox Awardで両作品がノミネートされている。


ファクトリー・ティータイム

 映画サイトをやっていると、たまに稀な出会いがある。2018年ニース国際映画祭で受賞した他作品関連の紹介をした際に、やはり同映画祭で外国語映画 最優秀主演男優賞を受賞したSADAさんの大ファンの方からニュース紹介依頼を受けたことがきっかけで、SADAさんに賞をもたらした作品『奇跡のクリスマス』の月元映里監督とのご縁が生まれた。
 それから数ヵ月、月元監督から12月開催のミラノ国際映画祭に来場されると伺い、ついに直接お会いできる機会に恵まれた。授賞式の行われるミラノ市内のホテル・ロビーでお待ちしていると、駆け足のミラノ観光を済ませてきたばかりの監督が、輝くような笑顔でやって来た。メールでやりとりしていたときの印象と全く変わらず、優しくたおやかな物腰の、少女のような佇まいの女性で、さまざまな困難を乗り越えて映画制作を実現し、多方面の分野で精力的に活動を続ける情熱とエネルギーを、一体どこに秘めているのだろうと、お話を伺いながらひたすら感嘆するばかりだった。
 監督の、自ら目指すものへの尽きない想いに触れ、自分の中に眠るちいさな情熱を揺り起こされたような高揚感を覚えながら、ミラノの冬の街をのんびりと走るトラムで帰路についた。
 非力ながら、この若き映画監督の今後の活躍を心から応援していきたい。

(取材・文・写真:Maori Matsuura)




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