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トップページ > 最新ニュース > 『ざ・鬼太鼓座』第73回ヴェネチア国際映画祭 舞台挨拶

『ざ・鬼太鼓座』
第73回ヴェネチア国際映画祭 舞台挨拶

2016-09-06 更新

ondekoza
© 松竹

 3年もの歳月を経て1981年に完成した加藤 泰監督渾身の遺作でありながら、お蔵入りという数奇な運命を辿ったドキュメンタリー映画『ざ・鬼太鼓座』。このたび、第73回ヴェネチア国際映画祭「ヴェニス・クラシックス」部門にて、本作のデジタル・リマスター版がワールド・プレミア上映を果たした。

ondekoza 鬼太鼓座(おんでこざ)は1969年、佐渡を拠点に結成され、和太鼓を主軸とした舞台表現を追求するパフォーマンス集団。若者たちが集団生活し、心身の鍛錬に励みながら、神々に捧げる頌歌のごとく魂に響く音と神秘的な舞を生み出していくさまが、本作では鮮やかに映し出されている。

 本作の上映前に、配給の松竹株式会社担当者が英語で以下のように挨拶した。

 本日は松竹配給の『ざ・鬼太鼓座』をご覧にいらしてくださいまして、誠にありがとうございます。

ondekoza 本作の監督、加藤 泰は1916年に生まれ、1985年に逝去いたしました。すなわち、今年が生誕100周年となります。監督作は大部分が東映時代に撮影した侍映画でして、松竹では8本の映画を撮りました。その中には現代劇もありますし、1981年の本作『ざ・鬼太鼓座』も含まれております。デジタル・リマスター版は今回がワールド・プレミアとなります。

 加藤 泰監督はロー・アングルからワン・テイクで撮ることで有名でした。11年前の第62回ヴェネチア国際映画祭でも監督作の特別上映(※「日本映画の秘められた歴史」というスペシャル企画内で『明治侠客伝 三代目襲名』『沓掛時次郎 遊侠一匹』『緋牡丹博徒 お竜参上』が上映された)がございました。加藤 泰がドキュメンタリーを創る際に手本としていたのは、アメリカの記録映画作家ロバート・J.フラハティの『アラン』(1934)だということでした。

ondekoza 『ざ・鬼太鼓座』『ざ・鬼太鼓座』は1981年に完成しましたが、様々な理由から公開は限定的なものでした。その35年後となる本日、デジタル・リマスター版がワールド・プレミアを迎えるということを私どもは大変光栄に感じております。

 本作の脚本担当であり助監督でもあった仲倉重郎さんが今回、デジタル・リマスター版のスーパーバイザーを務めました。その仲倉さんから、本日のスピーチで2点触れてほしいことがあると言づかりました。

 まず、『ざ・鬼太鼓座』は日本の太鼓を演奏する男女のパフォーマンス集団に関する「物語るドキュメンタリー」であるということです。この作品は、脚本とストーリー・ボードを元に撮影されました。すでにご存じの方々もいらっしゃるかと思いますが、加藤 泰は第二次世界大戦のさなか、ドキュメンタリー映画でデビューを果たしました。ドキュメンタリーとはいえ、そうした作品の一部は撮影所で撮られ、加藤 泰のディレクションで役者が演じましたので、今の私たちがいうところの典型的なドキュメンタリーとは異なっています。

ondekoza 第二の点は音響です。音響はすべて撮影時に録音されたもので、後に録音編集されたものはありません。加藤監督は映像と完全にシンクロする自然な音を求めました。

 最後に、ヴェネチア国際映画祭ディレクターのアルベルト・バルベーラ氏、「ヴェニス・クラシックス」ディレクターのステファノ・フランチア・ディ・チェッレ、今回の上映を支えてくださいましたスタッフの方々全員、本日いらしてくださいました観客の方々に、松竹株式会社一同を代表いたしまして心より御礼申し上げます。ご来場ありがとうございました。


(取材・文:Maori Matsuura、写真:オフィシャル素材提供 - la Biennale di Venezia©2015)



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