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『ザ・イースト』トークショー付き上映会

2014-02-23 更新

サエキけんぞう

ザ・イーストtheeast

配給:20世紀フォックス映画
提供:FOXサーチライト・ピクチャーズ
TOHOシネマズシャンテ/新宿シネマカリテほか全国ロードショー中
© 2013 Twentieth Century Fox

 映画ファンのための良質な作品を世に送り出してきたFOXサーチライト・ピクチャーズが、2014年に創立20周年を迎えたことを記念し、始動したFOXサーチライトプロジェクト。本プロジェクトの第2弾作品として、環境テロリスト集団に潜入した女性捜査官の葛藤を描く、スーパー・リアル・フィクション『ザ・イースト』が、絶賛公開中だ。

 オスカーノミネートや全米1億ドル突破の超大作がひしめく中、異例のヒットを飛ばし、SNSなどでは「傑作!」との呼び声も高い本作。このヒットを記念してトークイベントが実施され、ミュージシャン・作詞家・プロデューサーとして活躍中のサエキけんぞうが登壇した。

 一般的には「サスペンス映画」と呼ばれる本作を、「スーパー・リアル・フィクション」と評したサエキ。本作を鑑賞し終えたばかり、衝撃の結末に興奮冷めやらぬ観客の前に登場し、本作の魅力を語った。


MC: サエキさんには、試写でご覧いただきましたが、この映画の本質を一番最初に見抜かれた方だな、とその時に思いまして、本日はじっくりお話を伺えればと思います。

サエキけんぞう: ショッキングな映画ですよね。ここにいらっしゃる皆さんは、今ちょうど観終わったところということで、衝撃を受けているのではありませんかね? 僕の場合は、フォックスという映画会社への見方が変わったというのが第一でした。どちらかといえば、国家的な体制を重んじる会社だと思っていましたが、本作については、エンディングもかなり衝撃的ですし、監督が逮捕されてもおかしくないような内容でしたね。そこはやはり自由の国アメリカだな、と。
 あと、これはフォックスの中でもフォックス・サーチライトというところが作っているんですよね?

MC: 20世紀フォックスという会社の中でも、低予算ではあるが自由な発想で映画を作れるという枠組みを担っているのがフォックス・サーチライトです。本作のように、多少政治的であったり、アナーキーな内容でもGOサインを出す懐の深いスタジオです。

サエキけんぞう: 低予算ってちなみにいくらくらいなんですかね? フォックス・サーチライトの上限みたいなものもあると伺いましたが……。

MC: 一説には20ミリオン、日本円でいうと約20億円と言われていますね。

サエキけんぞう: その額でも低予算といわれるんですか?

MC: 日本の感覚からするとそう思いますよね。アメリカでは世界をマーケットとして映画作りが行われているので、大作だと100~200億かけていますし、その中では低予算に入ってしまうようですね。

サエキけんぞう: なるほど。認識が変わりますね。フォックス・サーチライトでは『フル・モンティ』であったり、『トレインスポッティング』のダニー・ボイル監督の作品など、イギリス映画も多いんですよね。あとは、本作でも印象的な役を演じているエレン・ペイジ主演で、アメリカでは社会現象も巻き起こした『JUNO/ジュノ』や、主演のブリット・マーリングの『アナザー プラネット』という作品もありますね。

MC: ブリット・マーリングについては、彼女の次回作もフォックス・サーチライトなんですよ。

サエキけんぞう: ブリット・マーリングの美貌と才能は、これはすごいな、と思いましたね。瑞々しくて。何の予備知識もなしに観始めて、「かわいい子だな」と思って……。同棲している彼氏との日常のシーンが生々しくて、今時のカップルはこんな感じなのかな~と。そのシーンで見せる、綺麗だったりかわいかったりする女優としての顔もよかったんですが、まさかその彼女が脚本まで書いている大物だったとは……! 驚きました。

MC: 実は、証券会社に勤めるはずだったところを映画の道に進んだという、ユニークなキャリアの持ち主でもあります。

サエキけんぞう: つまりは、どこでどう活躍してもおかしくない才媛だったということですね。バイアスのかかっていない目線で、彼女自身の気持ちや考え方が、あの結末にも反映されているというのが伝わってきましたね。

MC: ここでサエキさんには、アメリカのカルチャーとこの映画の関わりについてもお話を聞いてみたいのですが。

サエキけんぞう: おや?と思った踊りのシーンがありましたね。このイーストという集団について、もともとアメリカで何かを志して、若者の共同体を作ろうとしていた人たちの末裔という印象を受けました。そのルーツというのが、60年代のヒッピーコミューンで、それが69年にウッドストックという音楽の祭典が大成功することにより、アメリカ全体に幅広く散って行った。70年代に一度、それもいったん落ち目になったのですが、グレートフル・デッドのように自由な発想のマーケティングとか生き方とかを築いて、経済的にも生きていけるシステムを作り上げちゃったんですよね。それが先鋭化したのが、このザ・イーストという集団だったんじゃないかな、と。
theeast 仲間を見送る儀式とか、食事の儀式とか、ものすごくカルト的でしたよね。カルト的に面白おかしく描こうとしているのか、若者が前向きに世の中を変えようとしている様を描こうとしているのか、果たしてどっちなのかと、途中からずっと頭の中で考えてましたね。それであのエンディングがきたので、びっくりです。
 エレン・ペイジとお父さんとのシーンも、思わず男として泣いちゃいましたが、そういったところで、一筋縄ではいかない情であったりとか、アメリカ的な家族のあり方なんかを踏まえながらも、妥協した表現は一切しない、鬼気迫る情熱というのが伝わります。
 今日も日本の製薬会社が臨床データを操作していたというニュースがありましたが、社会には裏のシステムというのがついてまわっていて、それが目に余るということで、こういった若者の蜂起が起こるわけなんですよね。
 あとは、警察じゃなくて、民間の会社がこんな風に企業をテロから守っているという事実にも驚きました!

MC: 今のアメリカらしいですよね。

サエキけんぞう: 民間会社でそんなことしたら、色々問題が出てくるんじゃないの?という疑問も湧いてくるのですが、そういった視線への応えもしっかりとエンディングで示してくれている、素晴らしい映画です。


(オフィシャル素材提供)



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