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記者会見

トップページ > 記者会見 > 『冷たい熱帯魚』第67回ヴェネチア国際映画祭公式記者会見

『冷たい熱帯魚』第67回ヴェネチア国際映画祭公式記者会見

2010-09-14 更新

吹越 満、でんでん、黒沢あすか、千葉善紀(プロデューサー)、園 子温監督

SOMEWHERE
(C)Kazuko WAKAYAMA
(C)NIKKATSU

配給:日活
2011年 正月第二弾 テアトル新宿ほか全国順次ロードショー

 世界の映画ファンが注目している日本人監督のひとりとなった園 子温監督最新作『冷たい熱帯魚』が第67回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ部門に出品され、公式記者会見が行われた。前夜のワールド・プレミア上映の大きな反響により数多くの海外マスコミが集まり、登壇者には様々な質問が投げかけられた。

この作品のテーマは?

園 子温監督: これはある有名な事件を詳しく調査して、比較的に忠実に再現しながらも、そこに本来の自分のテーマをブレンドしました。実のところ、この映画は基本ファンタジー作品です。

この映画祭で世界初の上映が行われたことに関して。

園 子温監督: 素晴らしい経験ではありましたが、まだ評価が出て来ないのでなんとも言えないところではありますが、それをさておいても素晴らしい体験でした。
千葉善紀: ワールド・プレミアで初めての一般の上映でもありましたが、実際、この映画の残虐性からもっと途中退場が多いのかな?と思いました。しかしそれもほとんど無く、逆に多くの方に笑っていただき、最後には拍手をも頂き感謝感激です。
でんでん: 海外の映画祭に始めて参加しました。昨日の上映が良かったのか悪かったのかは分かりません。観てくれた方が良かったと思ってくれたら自分は嬉しいです。
黒沢あすか: 映画に参加しているときは、私が私ではなく園監督が与えてくれた“愛子”という役で存在できるかどうかだけが私の目標でした。そして撮影中も“愛子”が全てにおいてどう生きていられるか、そのことだけを考え集中していました。それが昨日の上映時に、私が考えもしなかった部分で、笑ったり、驚きの声の様々な反応があり、その瞬間にこの映画は一人歩きをし始めたのだな。映画はこういう風にして世界に広がっていくのだなという感動をいただきました。
吹越 満: 昨日の上映が終了し、どういう評価なのかは、分かりませんが、俳優という仕事をしていますと、完成した映画を共演者や関係者と一緒に観ることはあっても、一般の、それもまだ内容を知らない観客と世界で初めて一緒に観るという素晴らしい体験はそうありません。観終わった観客の反応がどうかは分かりませんが、上映後、自分の部屋に戻って飲んだビールが最高に美味しかったことは確かです。

主人公の“社本”はどのようにしてつくられた人物なのですか?

園 子温監督: 現実の事件に基づいて、忠実に作られたこの作品にとって、一番鍵となる人物が、主人公・社本です。彼の存在こそがこの作品にとってのファンタジーであり、本当の事件では存在していませんが、実際彼を描くことによって今まで自分が作ってきた映画のテーマを彼の役の中に託しました。この作品では「家族」もテーマにしました。通常ですと家族の崩壊、解体、そしてもう一度家族が再生していく作り方なのですが、今回は完全に崩壊していく家族というものを描きました。

自分のキャラクターをどのように演じきろうと思いましたか。

でんでん: 普通、自分のキャラクター的に、「おひとよしの八百屋のおやじ」役などのオファーがであるとかそういった役しか演じてきませんでしたが、実は自分の性格はそんな良い人間ではないんですよね。そんな中この極悪非道の村田の役を頂いた時は、正直どうこの悪を演じてやろうかと撮影前から胸がわくわくしました。この作品はこれからの自分の自信になっていくと確信しています。
黒沢あすか: 30代の終わりに、なにかもうひとつ女優として残していければと思っていたところに、この作品のオファーをいただきました。私の役は殺人鬼・村田の妻“愛子”という極妻役で、いろいろな男を虜にしていく役なのですが、私の実生活では3人の子供の母親で、ボディ・ラインもかなりひどいことになっていたので「ビリーズ・ブート・キャンプ」を観ながらエクササイズに取り組み体を絞りました。
 実生活では幸福ですが、不思議なもので、幸せであればあるほど、この世界で描かれている人間の残虐性や狂気の世界に魅かれている自分があり、その部分を園監督に引き出していただきながら全身全霊でこの役に挑みました。
吹越 満: この脚本を頂いた時は、自分の周りのスタッフは強烈過ぎる役でかなり困惑していましたが、自分は直感的にやりたいと思いお引き受けしました。さらに村田役がでんでんさんだと聞いたとき、凄くセンスが良いキャスティングだなと思い、この自分の直感が確信に変わり、これは絶対凄くて面白い作品になると思っていました。感慨深いです。

 当日、2回目の公式上映が行われ、昨日の評判を聞きつけた若者を中心に多くが集まり、昨日の上映を上回る歓声や笑いに包まれていた。この日園監督の海外メディアの取材以来が殺到し、スタッフは対応に追われたという。


(オフィシャル素材提供)


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