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記者会見

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『ウォール・ストリート』来日記者会見

2010-12-09 更新

オリバー・ストーン監督

ウォール・ストリート

配給:20世紀フォックス映画
2月4日(金)、TOHOシネマズ 日劇他 全国ロードショー
(C)2010 TWENTIETH CENTURY FOX

 1987年に公開し、大ヒットした映画『ウォール街』の続編となる『ウォール・ストリート』の公開を前に巨匠・オリバー・ストーン監督が来日し、都内ホテルで行われた記者会見に登壇した。監督の来日は、映画『ワールド・トレード・センター』のプロモーション以来、約4年ぶりとなる。

 前作では、若き証券マン(チャーリー・シーン)とマイケル・ダグラス扮する投資銀行家のゴードン・ゲッコーが、ウォール街でのし上がっていくさまが描かれた。今作ではインサイダー取引の罪で逮捕され、8年後に出所したゲッコーと若き投資家・ジェイコブ、彼の恋人でゲッコーの娘であるウィニーの3人を中心に物語が展開する。
 4年ぶりの日本、監督はその印象を「アメリカでは日本の経済が厳しいと言われているが、日本の経済はまだそれほど悪くなく、豊かに見えるよ」とにこやかに語った。
 前作の『ウォール街』から約23年ぶりに本作をつくろうとしたきっかけは、「2008年に起こったリーマン・ショックだ」という。「前作の1987年当時は、レーガン政権で、金融業界では自由市場と言われ、金融緩和が始まった。そして、2008年にリーマン・ショックで終わりを告げた。まさに、このタイミングだ!と思ったんだ」。

 「『ウォール街』と『ウォール・ストリート』の二つの作品は、本棚の初めと終わりという感じで、前作では、若いチャーリー・シーン演じるバドのモラルや成長を描いたが、今回は年老いたゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)を通して、人間としてのモラルを問い掛ける作品にしたいと思った」。と説明し、映画化を前に、綿密なリサーチをしたことも明かした。

 監督は、「前作で、ゲッコーは個人として投資を行っていたが、いまではそれを中央銀行がとんでもない規模で行っている。さらに悪いことに、その行為に社会的な還元は全くない」と社会派らしい熱い口調でウォール街の現状を批判した。

 そして、今作でのゲッコーの選択については「ゲッコーは刑務所を出てから、賢くなったのか? 反省したのか? それとも彼の選択はエゴなのか? それは映画を観たみなさんが、それぞれに判断してほしい。ゲッコーの微笑みの中に答えがある」と観客に選択をゆだねた。


 本作では、若き投資家・ジェイコブをハリウッのド実力派若手俳優のシャイア・ラブーフが、そして彼の恋人でゲッコーの娘であるウィニーをキャリー・マリガン(『17歳の肖像』)が演じている。「若い二人との仕事は楽しかった」と監督は語る。そして、特にキャリーの演技について「イギリス人の素晴らしい女優だ。イギリス人なので、アメリカ人の発音ができるか気にしていたが、父親に捨てられた娘を見事に演じてくれた」と称賛した。
 「私はこの映画を3世帯に渡って描きたかった。シャイアとキャリーが新しい世代だ。実際に、ウォール街ではシャイアやキャリーのような若い投資家たちに会ったよ。彼らはハングリーで、同時に理想主義的なところがある」と分析した。

 金融は現代社会の中で進行形だが、過去の題材を作るにあたって先を見据えて作ったのかと質問された監督は、「現在を見据えて近未来を描くことは、とてもリスキーなことだし、間違ってしまうと簡単に批判される。『ウォール街』を作った時は、僕の父が仲買人で、ニューヨークもそれなりに知っているし、ブローカーの人も相談にのってくれたりしたので、全く知らない世界ではなかったんだ。だからこそ、とても楽しかった。満足して、誇りに思う作品になった」と答えた。

 この日の監督は、会見中、社会派作品ならではの重厚なコメントを続けたが、終始笑顔を絶やさず柔和に語り続けた。

ファクトリー・ティータイム

 劇中では、前作で登場したチャーリー・シーンやオリバー・ストーン監督のカメオ出演なども楽しめる。
 『ウォール街』の続編となる『ウォール・ストリート』は、マネー・ゲームをめぐる人間模様を描く人間ドラマ。今回は、貫禄のマイケル・ダグラスに加え、若手注目株のシャイア・ラブーフやキャリー・マリガンらが熱演。『プラトーン』『7月4日に生まれて』で2度のアカデミー監督賞などを受賞しているストーン監督ならではの圧倒的な演出力が楽しめる。

(文・写真:Sachiko Fukuzumi)


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