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記者会見

トップページ > 記者会見 > 『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』製作報告記者会見

『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』
製作報告記者会見

2010-12-07 更新

竹野内豊、ショーン・マクゴーウァン、井上真央、山田孝之、平山秀行監督、チェリン・グラック監督、奥田誠治(エグゼクティブプロデューサー)、飯沼伸之(プロデューサー)

太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-

配給:東宝
2011年2月11日(金・祝)全国東宝系ロードショー
(C)2011「太平洋の奇跡」製作委員会

 日米開戦70年特別企画として製作される映画『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』の製作報告記者会見が都内某所にて行われ、主演の竹野内豊、ショーン・マクゴーウァン、井上真央、山田孝之、日本人側のエピソードを演出した平山秀行監督、アメリカサイドの演出を務めたチェリン・グラック監督、奥田誠治エグゼクティブプロデューサー、飯沼伸之プロデューサーが登壇した。


 原作は、この戦いに参戦していたドン・ジョーンズによる『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』。太平洋戦争・玉砕の島サイパン島での激戦を、日米双方の視点から描いた真実の感動ストーリー。
 竹野内は太平洋戦争中、激戦地の一つであったサイパン島で、たった47人の兵力で4万5000人もの米軍を翻弄(ほんろう)した実在の人物・大場栄陸軍大尉を演じた。今年5月にタイでクランクインし、日本・アメリカ・タイの3ヵ国混成スタッフ総勢470人が、約2ヵ月に及ぶオール海外ロケを敢行。12月に本編完成を予定している。

 「自決するより生きて戦うことを選べ!」とその信念を貫き続けた大場大尉の生き様に惹かれたという竹野内は、「体感温度は40度を超えていて、その中で走るシーンもありました。ペットボトル10本分の水を飲んでも、全然トイレに行かなかった」と想像を絶する過酷な撮影時を振り返った。
 「僕たちはあくまで撮影であって、実戦ではない。当時の方たちはどのような思いで時を刻んでいたのか? いや、そんなこと考えるような状況ではなかったんだろう……と。最初は大場大尉のどんな小さな手がかりでも掴みたいと思い、(愛知県にある)大場さんの墓参りも行い、残された大場さんのご家族にもお会いしました。大場さんは、とにかく寡黙な方で、行動で全てを示すような人物だったようです」。
 「タイに行って撮影が始まってみたら、平和な時代に生まれた我々に戦地での想いや精神を知り尽くすことはできないと感じました。教科書からは学べないいろいろなことを感じながら、見えない糸をたどって行くような感じでした」と真摯な表情で語った。

 「虫とスコール、暑さとの戦いでした」と撮影時の印象を語った井上は、戦地で負傷者の手当てにあたる少女を体当たりで熱演。竹野内について「(精神的にも)日に日に追い込まれていく表情は怖くもあり、印象的でもありました。大変な環境の中で生まれる“何か”があるのかなと思う一方で、みるみる痩せていく大場大尉が心配でたまりませんでした」と気遣いを見せた。

 大場隊と合流する兵士を演じた山田も竹野内について「どんどんやせて、目がギョロギョロしていって、本当に可哀そうで、心配していました」とコメントした。山田自身は、「毎日ジャングルに行って、逃げて隠れて……。終わってホテルに戻ったら、ポケーッとして。次の日にまたジャングル行って……の繰り返しで、わけが分からなくなってきました。どんどん頭がおかしくなるような感じでした……」と胸の内を吐露し、ジャングルでのシーンで精神的にかなり参ったことを明かした。そして、山田は「戦争映画も兵士役も初めて。見る方の年代によっても感想は違うだろうし、こういう風に見てほしいとは言えないですね」とコメントした。

 全く戦争を経験していないスタッフ、キャストばかりで作り上げた初めての作品だという本作。平山監督は「戦争を知らないスタッフと俳優だけで作られたおそらく初めての戦争映画になるはず。次の世代に戦争を語り継ぐことに意義があると思います」と作品をアピールした。
 日本に留学経験があり、大場大尉率いる日本軍に投降を促す米兵、ハーマン・ルイス大尉を演じたマクゴーウァンは、「65年前にアメリカと日本が戦争していたというのは信じられないようなことで、時の流れ、早さを感じます。いま、こうして日本とアメリカの人間がチームとして、友人としてあの戦争を描くということは意義のあること。(竹野内)豊と撮影現場で互いを見つめ合ったとき、自分がそこにいられることの幸運を感じました。一緒に困難な撮影をやり遂げたことは非常に誇りに思います」と語った。

 グラック監督は「日米の兵士が敵対することで、実は2ヵ国を近づけた。今回、私自身も二つの文化の架け橋として、本当に素晴らしい経験ができました」と感激しきりだった。

 配給の東宝では、大場とその仲間たちの戦いの史実をもとに、戦争そのものを称賛するのではなく、生きて戦後日本の礎を築いた「誇り高き日本人」を描き、日米開戦70年にあたる2011年に多くの現代の日本人に勇気と誇りを取り戻させる意義のある作品を作り上げていくと報告した。

 最後に竹野内が、「戦争を繰り返してはいけないという以上に、当時生きていた方々の存在を忘れてほしくないという気持ちで作った作品。体力的にも精神的にも想像を絶する環境の中、他のキャストやスタッフらに支えられ、協力し合って出来上がった作品だということは、観ていただければ必ず伝わると思います」と熱い思いをこめてメッセージを送り、会見は終了した。

ファクトリー・ティータイム

 日本人側の演出を平山秀幸監督、アメリカサイドの演出を『サイドウェイズ』のチェリン・グラックが監督を務め、さらに戦闘シーンなどVFX・視覚パートを加えた日本映画では異例の3班体制で撮影が進められたという。
 3年ぶりの主演作となる竹野内は大場大尉を全身全霊を懸けて演じた。スタッフ・キャストが、苛酷な撮影に本気で取り組んだ感動の超大作の公開が待たれる。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)


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