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記者会見

トップページ > 記者会見 > 『TETSUO THE BULLET MAN』第66回ヴェネチア国際映画祭記者会見

『TETSUO THE BULLET MAN』
第66回ヴェネチア国際映画祭記者会見

2009-09-27 更新

塚本晋也監督、エリック・ボシック、川原伸一(プロデューサー)、谷島正之(プロデューサー)

TAJOMARU

配給:アスミック・エース
2010年 全国ロードショー
http://www.tetsuo-project.jp(外部リンク)

 海獣シアター/アスミック・エース製作による塚本晋也監督の最新作『TETSUO THE BULLET MAN』が、本年度の第66回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門へ日本唯一の正式出品され、現地時間9/5(土)記者会見及び公式上映が行われた。

 塚本監督は同映画祭にて、2002年『六月の蛇』でコントロ・コレンテ部門審査員特別賞を受賞。1998年『BULLET BALLET バレット・バレエ』、2000年『双生児』、2004年『ヴィタール』を招待作品として上映しており、5度目の正式出品。また、1997年第54回開催時には大島渚以来の審査員も務め、2005年にも2度目の審査員として参加。今回は初めての栄えある“コンペティション部門”への出品となった。(日本映画としては過去、『羅生門』(52)、『無法松の一生』(58)、『HANA-BI』(97)の3作が最高賞となる金獅子賞を受賞している。)

 9月5日(土)PM12:00(現地時間)より行われた記者会見には、塚本監督、主演のエリック・ボシック、川原・谷島両プロデューサーが出席。海外でも名前の通っている塚本監督最新作として、記者会見場は世界中から数多くの報道陣が集まり、多くの質問が飛び交う、熱狂的な会見となった。

 また、同日深夜24:00より行われたレッドカーペット&公式上映には、主演女優の桃生亜希子とステファン・サラザンも加わり、世界各国のマスコミと塚本ファンを中心とした観客で一杯となった会場で上映に臨んた。上映中、その斬新かつ衝撃的な映像に現地の観客たちは驚嘆と感動で大いに盛り上がり、上映終了後には観客によるスタンディング・オベーションが湧き上がるなど、大盛況のうちに終了した。

塚本晋也監督: 『鉄男2』のあとハリウッドから、アメリカで“鉄男”を撮らないかという誘いを受けて、そのときはかなり乗り気になって向こうで打ち合わせもしました。でも“鉄男”は僕にとって、頭のなかにあるぐちゃぐちゃしたものを表現するような映画。向こうの合理的なプロデューサーと作るのは難しいのではないかと思い、結局実現しませんでした。でもそれ以来ずっといつかはやりたいと思い続け、今回昔ながらのやり方で自分の仲間たちと好きなように作る方法でやることにしました。結果的にシンプルで力強く、前二作のままの気持ちに、今の新たな感情をプラスしたものができたと思います。
 また前二作の時代に比べ今日の東京は、戦争体験者も少なくなり、より多くの人が生と死の切実な実感が持てずにいます。それだけに暴力ももっと加速し、より恐ろしい電脳都市になってきたと感じます。サイバーパンクという言葉は、かつて『ブレード・ランナー』や『AKIRA』や『ターミネーター』が出てきた頃に比べると、言葉自体は輝きを失っているかもしれませんが、そのテーマは今も色褪せていないと思います。
 コンペと聞いて一番驚いているのはこの僕です。ニュースを聞いたときは興奮しましたが、ちょっと違うのでは?という不安もありました。でもこれまでコンペを目指して作った作品は違う部門だったりもしたので(笑)、選ばれたのはとても嬉しいですね。

あなたの映画は詩的でありながら暴力的。ニつの要素はかけ離れたものですが、このテーマについてどう思いますか?


塚本晋也監督: 難しい質問ですね(笑)。暴力は自分にとって、ある種ファンタジーでもあります。これまでは東京で悲惨なものを目にする機会もあまりありませんでしたから、ファンタジーとして描いて来ましたが、最近は笑えない事件が多くなってきています。それだけに作り手として慎重にはなっていますが、人間の本能のなかでそういうものを見たいという気持ちもあると思います。実際に暴力を振るわない代わりにそれを映画で観て味わうことがあってもいいのではないかと。ただし描き方はいろいろで、それがファンタジーであってもいいし、嫌なものとして描いてもいい。説明しにくいですが、それが僕の気持ちです。


■公式上映:9月5日(土) 24:00(現地時間) @SALA GRANDE

 塚本晋也監督、エリック・ボシック、桃生亜希子、中村優子、ステファン・サラザン、川原伸一(プロデューサー)、谷島正之(プロデューサー)

 ヴェネチア映画祭のコンペティション作品に選ばれた『TETSUO THE BULLET MAN』が、現地時間の9月5日深夜24時から、メイン会場のサラ・グランデで上映された。真夜中にもかかわらず会場は地元イタリアの熱狂的な塚本ファンをはじめ老若男女あわせた観客で9割がた埋まった。上映前のキャスト・スタッフの紹介から、すでに監督コールで会場から拍手と掛け声があがり、期待の高さを表していた。
 上映後、客電がつくとスタンディング・オベーションが沸き起こり、5分も続く熱狂ぶり。ディレクターのマルコ・ミューラー氏も最後まで付き添うという異例の対応で、会場には他に審査員長のアン・リーと審査員メンバーのサンドリーヌ・ボネールの姿も見られた。
 上映後に行われた囲み取材で、観客の反応に対する感想を聞かれた監督は、「これまでの“鉄男”を海外で上映したときの反応とはかなり違いました。たくさんの観客の拍手を聞けてよかったです」とコメント。日本代表として唯一コンペに入ったことについては、「いまでもなぜコンペに入ったのかよく分かりません(笑)。レッドカーペットをみんなで足並み揃えて結婚式のように歩いたことで、やはりすごいことなんだと実感しました」と語った。
 晴れのレッドカーペットを歩いたキャスト陣のそれぞれの反応は、

エリック・ボシック: とにかく素晴らしい経験でした。レッドカーペットはたしかに結婚式のような晴れ舞台でしたね。
中村優子: 現場で頑張った仲間たちの顔を見ながら歩くことができたのは、本当に幸せでした。
桃生亜希子: 人生で何度あるかという感じ。『(レッドカーペットは)意外と短いよ』と監督に言われていましたけれど、実際は長く感じました。ちょっと寒かったですけど、レッドカーペットの終わりでは、みんなでこの瞬間を噛みしめなきゃね、と話しました。

川原伸一(海獣シアター プロデューサー): 素晴らしい場に招待していただいてとても光栄です。映画で広く見える現場はかなり狭いところで、まさにセットを解体して誇りまみれになっているところからヴェネチアに飛んで来たので、とてもギャップがありました。観客が温かく迎えてくれたことが何よりもうれしかったです。

谷島正之(アスミック・エース プロデューサー): 今年の審査員長は『ハルク』を作ったアン・リー。怒りによって人間が変貌するという物語を作った彼が、『TETSUO THE BULLET MAN』をどう判断するか、とても楽しみです。

(オフィシャル素材提供)


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