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トップページ > インタビュー > 『ジャイブ 海風に吹かれて』石黒 賢 単独インタビュー

石黒 賢 単独インタビュー

2009-05-25 更新

自分の人生を切り替えるスイッチは自分の中にある―、自分を見つめなおすことの大切さに気づかせてくれる大人の青春映画。

ジャイブ 海風に吹かれて
(C)2008ドリームワンフィルム/パワーズ
衣裳(C) スタイリスト:寳田マリ/オランジェ 衣装協力:ダンヒル/リシュモンF&Aジャパン(株)

石黒 賢

【石黒 賢】
1966年1月31日生まれ。東京都出身。
映画、ドラマ、舞台、ラジオ、絵本の翻訳など多方面で活躍。ドラマではCX『振り返れば奴がいる』(93)、CX『ショムニ』(98)など数多くの人気ドラマに出演。映画の代表作には、『ホワイトアウト』(2000/若松節郎監督)、『ローレライ』(05/樋口真嗣監督)、『LIMIT OF LOVE 海猿』(06/羽住英一郎監督)、『ミッドナイトイーグル』(07/成島出監督)などがある。今年は映画『旅立ち~足寄より~』(今井和久監督)、『初恋 夏の記憶』(野伏 翔監督)、『60歳のラブレター』(深川栄洋監督)がすでに公開されている。現在、TBS系『ひるおび!』(11:00~水曜担当)でレギュラー司会として出演中。そして昨年に引き続きWOWOW『ウィンブルドンテニス2009』のスペシャルナビゲーターでの出演、NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」(09年9月28日~)の出演が決まっている。
公式サイト:http://www.ken-ishiguro.com/


配給:ドリームワンフィルム
6月6日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラム、銀座シネパトスほかにて全国順次ロードショー

 2008年のモントリオール国際映画祭、2009年上海国際映画祭の正式招待作品となった本作で、主人公の泊哲郎を等身大で演じた石黒 賢が映画について語ってくれた。

本作への出演の決め手となったのはどんなところでしょうか?

 この作品は、ある程度歳を重ねてきた人なら誰もが思うであろう“立ち止まって振り返ったときに、果たして本当に自分がやりたいことをやっているのだろうか?”ということが描かれています。そんな部分に惹かれ、やってみようと思いました。

脚本を読んでどんな感想を持たれましたか?

 ヨットで北海道を1周するというスケールの大きさに魅力を感じました。

名優との共演で、どんなことを学ばれましたか?

 大滝さんとは直接はご一緒できなかったのですが、出演されるシーンを拝見したり、撮影の合い間にいろんなお話を聞かせていただきました。津川さんや加賀さんとは葬式のシーンだけでしたが、現場での居方や、俳優としての佇まいなどを同じ空間で学ばせていただきました。

ヨットを扱う場面が多くありましたが、ヨットの経験は?

 まったく初めてでした。撮影前に2日ほど指導していただいて操船技術のABCからはじめたんですね。学生時代にヨット部の主将を務めた男としてのヨットを扱う手の動きや、目線ひとつにしても何処を見ているものなのか、そんなことも気になってすべて教えてもらいました。撮影しながら会得していったという感じですね。一生懸命やるだけでした(笑)。

危険な目には遭いませんでしたか?

 船の上がかなり揺れたので、“あわや落水?”ということはありましたね。

石黒さんはどんな学生時代を送られたのでしょう?

 毎日テニスの練習をしていましたね(笑)。俳優になっていなければ、優秀な選手をサポートするテニスのアカデミーみたいなものを作りたいと思っていました

清水美沙さん、上原多香子さん、お二人の印象はいかがでしたか?

 二人とも初共演なんですが、清水さんは、お芝居が上手で、とてもプロフェッショナルな方でした。上原さんは、大らかで朗らかな人だったので話していて楽しかったですよ。

2人のヒロインはどちらも控えめな性格でしたが、石黒さんはどんな女性がお好きなのでしょう?

 度胸のある人がいいですね。僕は女の人のほうが男より肝が座っていると思いますし、座っていて欲しいと思います。

祖父や父親のような漁師になるのを嫌い、都会に出て、仕事で成功はするが、挫折して20年ぶりに故郷へ戻ってくる……、そんな哲郎のような生き方をどう思われますか? 役作りではどんな工夫をされましたか?

 哲郎は漁師である祖父や父に反発して都会へ出るのですが、東京のオフィスではエネルギーが生み出すハングリーさみたいなものを出したいと思いました。哲郎は、都会に出て成功はするのですが、妻には逃げられ、友人を失い、手元にはお金しか残らなかったわけで、そんな部分をきちんと演じておかないと北海道に帰ってからの哲郎は生きてこないと思いました。

完成した作品をご覧になって、どのシーンが気に入りましたか?

 じいちゃん(祖父)の位牌代わりの石に向かって、夜にヨットの中で心情を吐露するシーンかな……。

劇中で「江差追分」を歌うシーンが印象的でした。

 あのシーンではフルコーラス歌っているんですが、あまりにひどかったのでカットされてしまったんですね(笑)。ずいぶん練習したんですが、「江差追分」ってほんとに難しいんですよ。後で、車の中で清水さんが歌うシーンがあって、これがすごくうまいんだよね。僕のヘタさ加減がよけい目立ってしまった(笑)。

撮影時の印象的なエピソードを教えてください。

 1ヵ月ほど合宿のような生活を送ったので、スタッフとも連帯感が生まれました。北海道で生まれ育った哲郎の土着性みたいなものを出したくて、撮影中はずっと東京にも戻りませんでした。

エンディング曲に松山千春さんの「ため息つかせてよ」が使われていますね。

 昨年、松山千春さんの自伝映画『旅立ち~足寄より~』に出させていただいたのがご縁で、ライブに行かせていただきました。そのときに、この曲を歌っていただいて嬉しかったですね。

今後はどんな役柄を演じてみたいですか?

 俳優になって20年くらいなんですが、最近、改めて、日本古来の様式美の良さを感じており、日本の伝統を生かした作品に出演したいという思いが強くなりました。

最後に、この作品の見どころとメッセージをお願いします。

 自分の人生、そのまま進むも、別の道を歩むも、自分の人生を切り替えるスイッチは自分の中にあるということを、観ていただいた方が感じてくだされば嬉しいです。美しい北海道の自然が描かれているので、そちらも楽しんでいただければ……。

ファクトリー・ティータイム

「この作品に出演できて良かった」とデビュー以来の変わらない爽やかな笑顔で映画について語ってくれた石黒。順調にキャリアを重ねどんな役柄も演じてきたが、日本の伝統を生かした作品への意欲を見せた。今後も多くの分野で活躍して欲しい。
本作は人生をヨットに例え、進むべき方向に迷ったときの勇気ある舵取りの方法を教えてくれる。自分の新たな可能性に、あらためて気づかせてくれる映画だ
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)


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