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記者会見

2009-02-05 更新

オダギリ ジョー、キム・ギドク監督

エグザイル/絆

配給:スタイルジャム
2月7日、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー!
(C)2008 KIM KI DUK FILM All Rights Reserved

 『サマリア』でベルリン国際映画祭銀熊賞受賞、『うつせみ』でベネチア国際映画祭銀獅子賞受賞している韓国の鬼才キム・ギドク監督の新作映画『非夢』の記者会見が都内ホテルで行われ、主演のオダギリ ジョーとキム・ギドク監督が出席した

まずはご挨拶をお願いいたします。

キム・ギドク監督: 久しぶりの日本です。皆さんにお会いできてうれしいです。
オダギリ ジョー: この映画は1月2日(2008年)に韓国に渡り、1ヵ月くらいかかって撮影しました。国籍の違うスタッフがたくさんいて文化の違いなどありましたが、楽しい現場でした。何よりギドク監督が良い人で、撮影のあとは二人で一緒に飲みました。監督とはほんとに仲良くなって、僕はかってに親友のような感情を持っています。好きな監督の作品に出演するということで、一生懸命頑張りました。面白い作品になっているのでよろしくお願いします。

オダギリさんをキャスティングするのに決め手となったのはどんなところでしょうか?

キム・ギドク監督: 作品を撮ろうと決めたとき、まずオダギリさんが浮かびました。髪も長くしていて、『非夢』のイメージにもあうかな、と思っていたんです。以前からオダギリさんの作品は『血と骨』『ゆれる』『メゾン・ド・ヒミコ』などたくさん観ていて、エネルギー溢れる俳優さんだと思っていましたが、果たして、オダギリさんが自分の撮る映画にでてくれるのか?と心配していました。
現場では監督が2人いるのでは?と思うぐらい、オダギリさんはシナリオを読み込んでいましたね。脚本を細かく把握していて、私が見落としていたところまでちゃんと指摘してくれました。二人で一緒に息を合わせながら撮影していきましたね。現場にノート・パソコンを持ち込んでいた俳優は初めて……かも。一生懸命準備してくれているオダギリさんの姿に感動しました。素晴らしい俳優さんといい作品が撮れたと思います。
オダギリ ジョー: パソコンを持っていった理由は、企業秘密なのに……(笑)。パソコンには台本の構成や流れを自分が分かるように組み立てて書き込んでいるんです。でもいつも持ち歩いているわけじゃないですよ……。もともと監督の大ファンだったので、オファーが来たときは迷いもなくOKの返事を出しました。

オダギリサンは撮影に入る頃に入籍されましたが、離れ離れになって“悲しい夢”を見ることにはなりませんでしたか? 海外作品への出演は今後も続けるのでしょうか?

オダギリ ジョー: うまいこと、聞きますねえ~(苦笑)。海外ロケで遠く離れると、そのぶんお互いのことを気遣えるから“悲しい夢”にはなりません。何事も思いやりの気持ちが大切だと思いますね。
海外では日本ではあり得ないことがたびたび起こるんです。そのたびに日本の良さが分かりますし、日本に対する愛情が深まります(笑)。海外での撮影は精神的にも肉体的にもかなりやられるし、ぶちキレそうになることもたびたびですが、この作品の現場はとても楽しかったし、ここまで監督と親しくなったのも初めて。出来上がった作品も大好きですね。自分の中でも大切な作品になりました。
キム・ギドク監督: 私が出来ることは(オダギリさんに悪い虫がつかないように)監視することぐらいでしたが(笑)、その心配もイラらないほどオダギリサンは芝居に打ち込んでくれていましたね。
私には時計というニックネームがあります。時計を見なくても時間が分かるんですね。1日5~6シーンを撮影して、いつも15日くらいで撮り終えます。
今回オダギリさんとはゆっくりお酒を飲んだり、食事をしました。何を食べても美味しいといってくれて、そんな時に人間らしさを感じることができました。

タイトルにちなんで“夢”にちなんだお話を聞かせてください。

オダギリ ジョー: 中学生のころ「夢日記」というのをつけていたんです。目覚めた瞬間に覚えている夢の場面や言葉を書いていました。後で読み返すとぶっ飛んだ内容で、面白いんですよ。一番笑ったのが、“アもたれ”って書いてあって、“アントニオ猪木の食べすぎで胃がもたれる”って書いてあったんです。どんな猪木だよって……(笑)。
キム・ギドク監督: 私も「夢日記」を書いていました。寝起きの瞬間って、幻想的なひとつの世界があるんですね。

ヒロインを演じたイ・ナヨンさんの印象を聞かせてください。

キム・ギドク監督: 二人の雰囲気がピッタリあっていましたね。私の撮る映画は残忍なシーンや激しいシーンが多いために出演を断る俳優が多いのですが、オダギリさんの出演が決まってからは相手役として出演したいという女優さんが殺到したんです(笑)。名前は言えませんが、トップ女優もいました(笑)。オダギリさんの人気はすごいですよ。
オダギリ ジョー: 僕は人見知りが激しくて打ち解けるのに時間がかかるタイプなんです。イ・ナヨンさんも同じで、二人で人見知りし合ってるわけですよ(笑)。撮影中も何か話しかけたほうがいいんだろうな、天気の話でもしたほうがいいんだろうなと思いながら出来ないんですよ。でも、芝居の時にその距離を縮めるのが気持ちよくて……。お互い信頼できましたね。イ・ナヨンさんは繊細な部分と大胆な部分を持ち合わせていて、素敵な女優さんでした。それからスタッフからは二人の顔、似てるねって言われていたんですよ。

作品の魅力について教えてください。

オダギリ ジョー: “これは本格的にオダギリがラブ・ストーリーを撮った作品です”と宣伝の方から言って欲しいといわれています(笑)。人間のどろどろした惨めさや残忍さ、人には見せたくないような部分をさらけ出して、それを美しく魅せる監督はギドク監督しかいないと思います。
キム・ギドク監督: この映画は100%ラブ・ストーリーというのではなくて、愛というのはたんに美しいだけのものなのか、結局は悲劇しかないのか、愛というものの限界、人の意識の限界を描いてみたいと思いました。それと、葦の草原での4分間のシーンにはたくさんの意味が込められているので要チェックして欲しいですね。

ファクトリー・ティータイム

オダギリ ジョーがこんなに笑顔を見せた会見は初めてだった。ギドク監督とのコラボがよっぽど楽しかったようだ。撮影が行われた約1ヵ月の間、二人は毎日のように酒を酌み交わし、親交を深めたという。“愛”の限界を描いた本作で、本格的なラブ・ストーリーへの出演ははじめてというオダギリの渾身の演技と、伝統的な韓国家屋や寺院を舞台に描かれた幻想的で美しいギドクの独特な世界を楽しんで欲しい。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)


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