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2008-06-21 更新
新藤兼人監督、柄本 明、豊川悦司、六平直政、川上麻衣子、大竹しのぶ
配給:シネカノン
2008年9月下旬 シネカノン有楽町ほか全国ロードショー
(C)2008年「石内尋常高等小学校 花は散れども」製作委員会
日本最高齢の現役監督、今年96歳の新藤兼人の自伝的映画ともいえる『石内尋常高等小学校 花は散れども』の完成披露試写会が5月21日(水)に某ホールで行われ、新藤兼人監督、柄本 明、豊川悦司、六平直政、川上麻衣子、大竹しのぶが舞台挨拶に登壇した。
70年にも渡る作家生活を続けてきた新藤監督、本作では故郷広島での少年時代から恩師や同窓生との交流を中心にシナリオライターとして自立するまでを描いている。
まず、最初に監督、キャスト全員で石内尋常高等小学校の校歌が歌われた。新藤監督が自ら作詞したこの校歌は歌い易く、おぼえ易い。何度か繰り返し聞くうちに一緒に口ずさんでしまうほどの出来ばえ。
新藤監督の小学校時代の恩師、市川義男役を熱演した柄本 明は「日本映画史を代表する新藤監督の47本目の作品に出演できて、感動です!」と挨拶。撮影時に大変だったのは「黒髪のかつらをかぶって演技することだった」と語った柄本。今は渋い銀髪。
若き日の新藤監督(山崎良人役)を監督自らのリクエストで出演し、新藤組初参加となった豊川悦司は「僕が何で新藤組に呼ばれたかはよく分かりませんが、光栄です。他の共演者の方々もよく知っている先輩俳優たちだったので、広島ロケは気持ちよい緊張感で楽しめました。それが画面にも表れていると思いますので、楽しんでください」と語ったあと、「新藤監督が歩まれてきた人生を僕が演じてしまっていいのかな?と思いました」と謙虚にコメントをした。
それを聞いていた六平(豊川の親友役)が「新藤監督は“若い日の自分を演じる人は、背が高くてカッコいい人がいい!”とおっしゃっていて、それで豊川さんになったんですよ(笑)」とキャスティングのいきさつを教えてくれた。
六平自身は新藤組への参加は4作目で「新藤監督は、会うたびにどんどん若返っている気がします」と語った。「豊川さんは今まで出演した作品の中でいちばん楽しかったといっていましたよね」と六平に念を押され、豊川は戸惑っていたが、大竹から「そんなこと言ったら、今まで出た作品はどうなっちゃうのよ(笑)!」と突っ込まれ、よけいに戸惑い、汗だくのトヨエツ。
豊川の小学校時代の同級生役(若き日の新藤監督の恋する相手)を演じた大竹は「楽しい撮影でした。撮影中は、監督が撮りやすい状況を作るように皆が頑張っていました。映画を創るって、こういうことなんだなあと思ったと同時に、そこに“愛”を感じましたね。貴重な体験が出来た現場でした。監督との会話が楽しかった……」と撮影時を振り返った。
柄本の妻、道子役の川上麻衣子は「初めて新藤監督と一緒にお仕事したのは、私がまだ10代の頃です。あれから30年近くが経っていますが、またご一緒することができてうれしかったです。毎日が本当に貴重な時間でした。それと毎日が宴会で、本当の同窓会のようで楽しい撮影でした」と楽しそうに語った。
皆のコメントを静かに聞いていた監督だが、大竹がひざまづいて監督にマイクを向けると、「僕は老人なので、マイクが重くて持てないので、大竹さんにマイクを持っていただいてお話したいと思います」と言ったあと、「広島で去年、65日間ほどかけて撮影しました。足腰が弱くなっているので、現場では車椅子で向かいましたが、カメラの横に立つと、活力が戻り、スタッフやキャストたちに助けられながら隅々まで撮ることが出来たと思います。これが最後の作品……と思いながら撮っていましたが、撮り終えるとまた何か撮りなくなってしまうんですが……」と語った。まだまだ映画への意欲が感じられるコメントだった。
「監督のタフさにびっくりした」というキャストたちは、年齢に関係なく現場への意欲を見せる監督に尊敬の眼差しを向けていた。
「車椅子に乗ってまで何で撮る必要があるのか?と思う方もいるかもしれませんが、這いずり回ってでも映画を撮りたい」と語った新藤監督の映画への熱く、強い思いが感じられる会見だった。
すでに何本かの脚本を準備中という新藤監督。是非、次の作品も撮っていただきたい。
本作は新藤監督の自伝ともいえるヒューマン・エンターテインメント作品。ひとりの偉大な監督の人生をしっかりと受け止めて欲しい。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)
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