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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『アフタースクール』完成披露試写舞台挨拶

完成披露試写舞台挨拶

2008-05-23 更新

大泉 洋、佐々木蔵之介、堺 雅人、常盤貴子、田畑智子、内田けんじ監督

砂時計

配給:クロックワークス
5月24日(土)よりシネクイント他にて全国ロードショー
(C)2008「アフタスクール」製作委員会

 デビュー作『運命じゃない人』で、その力量が国内のみならず海外でも高く評価された内田けんじ監督の最新作『アフタースクール』が公開される。母校で働く中学教師とエリートサラリーマン、そして学生時代にマドンナだった女性という3人の同級生を巡るストーリーは、あっと驚く展開を見せ、前作を上回る想定外の展開で見る者を魅了する。一足先に行われた完成披露試写の席上では、出演者達が口々に内田ワールドの魅力について語ってくれた。

 この日、会場となった東京FMホールに登壇したのは、大泉 洋、佐々木蔵之介、堺 雅人、常盤貴子、田畑智子、そして内田けんじ監の6人。 まず、挨拶を求められ、「台本が非常に複雑ですが、そこがこの映画の魅力でもあるわけです。中身についてはあまり話すことが出来ないので、何を話せばいいのか、さっき舞台裏でけんかになったほどです。ただし、ご覧になっても、とても判りやすいので、どうか楽しんで見て下さい」(大泉)、「(内田監督の前作)『運命じゃない人』を劇場で観ましたが、とても面白かったのでシナリオを買って読んだほどだったので、この映画から出演のオファーを頂き、本当にうれしかったです。とても巧妙な出来上がりなので、ニュートラルな気持ちでご覧になっていただければ気持ち良く裏切られます。どうか楽しんで下さい」(佐々木)、「内田監督ならではの先の読めない展開とどんでん返しがありますが、“同級生”5人の青春と友情がほろりと感じられる部分も丁寧に描かれているので、ぜひ楽しんで下さい」(堺)、「この映画に参加することが決まってから、とても多くの人から“すごく良かったね”と言われました。こんなにたくさんリアクションのあるほど、日本で一番役者さんたちが一緒に仕事をしたがっている監督だと思いますが、皆さんもそれを体験していただきたいと思います」(常盤)、「台本を一度読んだだけでは判らず、何回も監督に確認して撮影に臨みました。出来上がった映画も、2、3回観たいような作品になりました」(田畑)、「ミーハーな映画ファンとしても、この5人を見ているだけで面白そうな映画だなと思います。普通の映画ファンとして、自分自身も観たくなるような映画です(笑)。どうか楽しんでいって下さい」(内田監督)と、それぞれ自信に満ちた語り口だ。

 劇中で主人公の杏が、出雲大社の絵馬に大悟への想いを込めたことにちなみ、今叶えたい夢を訊かれると、「やはり杏のように素敵な出会いをしたいので、杏と同じことを出雲大社の絵馬に書くと思います」(松下)、「先日この映画のイベントで出雲大社に行かせていただきましたが、なかなかゆっくりする時間がなかったので、また島根に行って好きな場所をまわりたいと思います」(夏帆)、「(自分が演じた)大悟のように、純粋な男になりたいと思います」(井坂)、「1人だけ違うのですが、高3なので、早く大学が決まったらいいなと思います」(池松)、「この映画の撮影がスタートする前、島根の琴ヶ浜に1人で行き、泳ぎながら構想を練りましたが、公開を終えたので、夏になったらまた1人で行き、泳ぎたいと思います。その時には、見かけても声をかけないで下さい(笑)」(佐藤)と、それぞれの夢を語ってくれた。

 撮影当時の思い出を聞くと、「一緒にワイワイやっていた常盤さんや田畑さんとのシーンは、最初のほうで撮り終えてしまいました。その間ずっと気になっていたのが佐々木蔵之介さんの姿を現場で目にしないことでしたが、後半はずっと佐々木さんと2人だけでした。いけどもいけども佐々木蔵之介、ずっと大ファンでしたが、さすがに男だけの濃厚な時間でした。内田監督の演出には、繊細で息詰まるものがありましたが、その分、待っている時間の佐々木さんとのお馬鹿な話が楽しかったです」(大泉)、「僕は現場に入ってからずっと大泉さんと一緒、女優さんとは全く絡まない悲しい思い出だけです。監督は何テイクも撮り直しましたが、もう1回! の理由が明白なので、ストレスを全く感じさせず芝居に集中出来る環境を作ってくれました」(佐々木)、「この映画では、たぶん僕が女優さんを独り占めしていると思います。全体のスケジュールの最初と最後に僕がらみの撮影が多かったので、出番は少ししかないのにずっと現場にいることが出来たので得をした気分です。同世代の人が集まり、同世代の人しか判らない話題で盛り上がりながら皆で作っていく映画の現場は初めてでした。すごく楽しかったですし、そういう雰囲気が映画にも出ていると思います」(堺)、「大泉さんも堺さんも内田監督も穏やかだから、大変だった現場もありますが、良かった思い出しかありません。台本が本当に難しいので、役者同士で“あのシーンは、これで良いんだよね?”とコソコソ相談していました。監督に聞くのは、役者としてのプライドが許さないので(笑)。その輪の中にスタッフも加わり、水面下で繋がっていく。本当に楽しかったです」(常盤)、「出番はそれほど多くないとはいえ、需要なシーンが多かったのですが、大変だったという気持ちはありませんでした。毎回、現場に行くのが楽しかったです」(田畑)と、内田組の現場の結束とテンションの高さが感じられる。

 そんな現場を率いた内田監督。今回の脚本も、かなり入り組んだストーリーが魅力だが、どのようにしてストーリーを考えたのかを聞くと、「最初に役者さんたちにやってもらった時にも、全く違っているといったようなことはなく、モニターを見ながらニヤニヤしてしまうほどでした。初心者マークを付けたベンツを運転しているような気持ちでしたね。ただ、撮影が梅雨時だったので、大泉さんのヘアメイクに異常に時間がかかりました。監督しては大泉さんの髪型には何もこだわりがないのですが、次のカットと繋がらないので……」と、話は意外な方向に。

 「梅雨の時期は北海道にいろと? これを皆さんの前で言うと梅雨時の仕事のオファーが無くなりますからね。ズラという手もあるし、今回は伸ばし気味のスタイリングに問題があったので、例えばパンチパーマにすれば何の問題もないわけですから、“梅雨だから大泉は出せない”というのは無しだと、記者の皆さんに言っておかないと」とさっそく突っ込んだ大泉も楽しそうだ。

 更に、今回のストーリーのコアとなった同級生が大人になった話を書こうと思ったきっかけを監督に聞くと、「何が原点だったのか忘れてしまいましたが、同級生ではないパターンのシナリオも書きましたし、本筋は人がいなくなることです。親しい友人がいなくなった時に、第三者が調査した際と、自分が主観的に持っている情報が全く異なった際、どちらが正しいのか? 誰もがネットで拾えるような情報よりも自分の経験を大切にしますし、無意識に信じてしまいますが、ほんとにそうなのか? 自分の考えていることの方にこそノイズが含まれているのではないか? そんなことを、『運命じゃない人』の脚本を書いている時に考えていました。情報を中心に置けば何が出来るのか? というのがこの映画の最初のスタートラインです」と、内田ワールドの最深部を垣間見るような発言も飛び出し、上映を前にした会場は大いに盛り上がった。

 前作を上回るスケールと豪華な役者陣で楽しませてくれた内田監督。本作でも息をのむような展開が続き、ラストシーンまでスクリーンから目が離せない。改めてその才能のすばらしさを感じさせる1級の娯楽作品だ。

(文・写真:Kei Hirai)


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