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記者会見

トップページ > 記者会見 > 『Sweet Rain 死神の精度』完成記者会見

完成記者会見

2008-03-12 更新

金城 武、小西真奈美、富司純子、筧 昌也監督

Sweet Rain 死神の精度

配給:ワーナー・ブラザーズ映画
3月22日(土)、丸の内プラゼールほか全国ロードショー
(C)日本テレビ、ROBOT、ワーナー・ブラザーズ、バップ、読売テレビ、三井物産、ソニー・ミュージックエンタテインメント

 金城 武が6年ぶりに出演した日本映画ということでも注目されている『死神の精度』が完成した。人気作家・伊坂幸太郎の原作による本作で金城が演じるのは“らしくない”死神。人の生死を判定する音楽好きの死神と、3世代に渡る人との関わりの物語だ。スタイリッシュな死神を演じた金城を初めとする出演者と監督が、撮影の苦労話や作品の魅力について語ってくれた。

-----では、ご挨拶をお願いします。

金城 武:皆さんこんにちは、死神の千葉です(笑)。今日は記者会見に来て下さって、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
小西真奈美:藤木一恵役の小西真奈美です。今日はたくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございます。撮影はだいぶ前に終わりました。芝居の上ですが、初日に撮ったシーンが金城さんと全くかみ合わず、そのかみ合っていない具合がとても絶妙にこの作品を希望的な方向に持っていってくれました。観ていただいた後には爽やかな気持ちになっていただける作品だと思っています。ぜひよろしくお願いします。
富司純子:皆様こんにちは、富司純子です。(小西真奈美が演じた)若い一恵さんから、ずいぶん年をとった美容師の一恵をやらせていただきました。とても楽しい撮影の時間を過ごさせていただいた作品です。どうぞよろしくお願いします。
筧 昌也監督:皆さん初めまして、この映画の監督をさせていただ頂きました筧です。初めての長編映画ということだけではなく、公開規模を含め、これだけの大きな規模の映画を監督させていただき、非常に光栄に思っています。このような記者会見の経験も全く初めてですが、“世の中にこんなにたくさんのカメラがあるのか?”と思うぐらいフラッシュがすごく、ただでさえ眼が細いのにもっと眼が小さくなってしまい、(写真を)使いづらいと思いますが、よろしくお願いします。

-----昨年の5月から7月にかけて行われた撮影時の、思い出に残っているエピソードはありますか?

金城 武:伊坂幸太郎さんが書かれた『死神の精度』の死神・千葉は、登場すると必ず雨が降ります。ですから、映画のシーンでも常に雨が降っているので、たぶん梅雨狙いだと思いますが5月から7月に撮りました。ところが、あいにく雨が降らなかったので、常に、雨を降らすための機械が準備されていました。毎日現場に行き、“今日は雨が降らないな”と思ったら、急いで雨を降らせるための仕込みを始める。雨を降らせるまでにとても時間がかかったというのが一番のエピソードです。
小西真奈美:私も雨のシーンがとても印象的でしたが、撮影に加わるとほとんど晴れるという晴れ女の要素を持っているので、現場に行く度に申し訳ないなと思いました。こんなにも雨を願うシーンを日々撮らせていただくのは初めてのことでしたが、どうしても雨が降らない時にはスタッフの皆さんが用意した雨を降らせたことも何度かありました。作品の中ではとても印象的に雨が描かれていますが、とてもすばらしいシーンが撮れたと思います。
富司純子:ロケセットの美容室を撮影の前日に下見に行きましたが、セットの一軒家が本当に素晴らしくて、後ろの方の写らないであろうという部分までキチっと出来上がっていました。その時何かに心をつかまれたというか、こんな素敵なセットを作って下さるすごいスタッフが集合したのだから良い映画になるなという予感がありました。翌日からとても幸福な日々を過ごすことが出来たので、ぜひ楽しんで観ていただきたいなと思います。
筧 昌也監督:この映画は3章構成で、小西さんは第1章のみ、富司さんは第3章のみ、全編に関わっているのは僕と金城さんです。初めて本格的な映画を撮りましたが、3人の皆さんのキャラクター作りに対する考え方の深さに日々感動していました。富司さんとお話した中で印象的だったのは、衣装あわせの時にどんな髪型にしようかということになり、僕の考えていたイメージをいい意味で覆していただく髪型を考えていただき、とても良かったなと感動しました。小西さんは、撮影初日から藤木一恵像をしっかりと造られてきていて、自分で書いたにもかかわらず僕ですら読み込めていない部分まで考えていらっしゃることに、自らの力不足を感じつつも感動したことを覚えています。金城さんとは、毎日毎日、全シーンに関してどういう芝居をしてどう撮ろうかということを話し合いました。金城さんは主演俳優であると共に、クリエーターとして作り手の立場に立たれた視点で僕へのアドバイスをいただきました。毎日毎日が非常に刺激的で、全てが印象的で非常に密度の濃い2ヵ月を過ごさせていただいたと思います。

-----金城さんが今まで死神に持っていたイメージは? 今回の映画で死神・千葉役を演じるにあたり、どんな役作りをしましたか?

金城 武:う~ん……、そうですね、死神を演じてほしいと言われる前に、まず原作の小説を読んでもらえないかといわれました。伊坂さんの小説を読んだ後では、死神・千葉役に対して、いわゆる一般的に漫画で書かれるように鎌を持った骸骨というイメージはありませんでした。伊坂さんが描いている千葉という死神はユニークですが、原作を読んだ後にはそういうイメージだったので、台本にはあまりギャップ感はなかったですね。“これは違うんじゃないか?”という気持ちではなく、“台本はどのように書かれているのかな?”という気持ちでした。

-----全編に“ミュージック”が溢れている映画ですが、撮影現場ではどんな音楽を聴いていましたか?

金城 武:ここが日本映画の素晴らしいところだと思いますが、映画の中でヘッドフォンをつけているシーンでは、あの時代の音楽が流れていました。僕も聞いたことがないような曲ですが(笑)、その時代の曲はこんな感じだったからということで聴かせてもらいました。でも、本番では音が漏れてしまうので、「音は消して下さい」と言われましたけれど(笑)。そこまで気を遣って物を作っているのは、すごいなと思います。
筧 昌也監督:あれはコンピレーションみたいな、80年代後半セレクションのようなアルバムを使用していたと思います。
金城 武:聞いたことはないけれど、懐かしい感じです。
筧 昌也監督:荒井由実や尾崎豊が入っていたような気がします。ジャンルは関係ない設定ですが、芝居のノリというか、少なくてもバラードなのかロックなのか、ここはこういうノリでというのがあるので、一応それは伝えました。
小西真奈美:私も80年代の曲を聴かせていただきましたが、ヘアメイクさんやスタイリストさんが当時聴いていらっしゃった曲を、洋楽を含めて現場に持ってきて下さいました。それを聴かせていただき、とても新鮮な気持ちで撮影をしました。
富司純子:私の撮影には音楽はありません。現場では、ただカットの練習、ハサミの練習を(笑)。

-----今回の映画で、小西さんは特別な声の持ち主という設定上、気をつけて演じられたことはありますか?

小西真奈美:声を重視して演じてしまい、声だけで芝居をしているようになるのは避けたかったので、なるべく感情ありきでという気持ちでやらせていただきました。「あなたの声が欲しい」と言われたシーンで「声」と言う台詞がありますが、そこでは現場で監督と何回も話しながら、いろいろなパターンでやりました。例えば、少し「声」に対して重きを置くような言い方にしてみたり、少しフラットに言ってみたり、そういうこともやりました。雨音があることもありますし、監督の中にこだわりがあったこともありますが、何回も声を換えて撮ってみました。

-----金城さんは抜群のユーモアセンスの持ち主ですが、今回の現場で、共演されたお二人が金城さんのお茶目な一面を感じたエピソードはありましたか?

小西真奈美:先ほども少しお話させていただきましたが、金城さんとたくさん会話を交わす場面が少ない中、最初に出会った時、割と長めに会話を交わすシーンがあります。お互いの撮影初日にそのシーンを撮りましたが、脚本を見せていただいた時に、このシーンでは、良い意味で微妙にかみ合っていない感じがこの二人の雰囲気を作っていくと感じました。作品全体のテーマからすればとても不幸である状況が、死神の視点から見れば不幸ではなかったり、くすっと笑えたりするということが、この作品ではとても大切だなと思いました。でも、それを狙って演じるのは、なかなか難しいことだなと思いましたが。何の話し合いもせずに、このシーンでいきなり初めて言葉を発した時に、本当に絶妙に上手い具合にかみ合っていない、それが本当に面白くて、これはきっと良い作品になるなという気持ちがありました。それ以降も、二人で会話をするシーンでは、「じゃあ、こう動いてみる」とか「こういうことを言ってみる」とか、金城さんが現場でいろいろなアイデアを出して下さいました。それに対して私もお答えしながら、コインランドリーのシーンなど一緒に作らせていただいた経験は、とても面白かったです。本当にそういったユーモアをたくさん持っていらっしゃる、いろいろなアイデアをもっていらっしゃる方だということは、現場に行く度に感じました。
富司純子:この映画に入る前に、金城さんの映画を観せていただき、自分が持っていたイメージがありましたが、ご一緒させていただいて、「あぁ、やはり素敵な人だな」と思いました。美容院で金城さんの髪をシャンプーするシーンがありましたが、嘘でも「気持ちいい」と言って下さったので(笑)、すごく良い人だなと思いました。

-----今のお二人の発言を聞いていかがですか?

金城 武:抜群のユーモアはいないと思います。僕自身は、面白いシーンがあれば、“どうやったらもっと面白くすることが出来るかな?”といつも考えています。誰かが止めてくれないと、どんどんあちこちのシーンで考えてしまう、そういう意味では嫌いではないですね。逆に、全く台本と違うことを考えるほうが楽しい。そういうサプライズがある方が面白いのではないかな? という気持ちがあるので、現場でもアイデアを出しましたが、見事に使わなくて(笑)。そういうこともあるので、そんなに抜群のユーモアセンスはないです(笑)。

-----その使われなかったアイデアは、どんな内容でしたか?

金城 武:あぁ、だいじょうぶです(笑)。

-----富司さんが髪の毛をカットするシーンではプロ並みの腕前でしたが、どのようにして技術を習得されましたか?

富司純子:最初は美容学校でシャンプーの仕方とカットを1回教わったのですが、その後は私が行きつけの六本木のお店に何回も通い教わりました。親指しか動かしてはいけないんですね、しかも、腕の角度もぴしっとタンゴを踊るような格好で。どうすれば格好良くハサミを持つことが出来るのか教わったり、他の人がカットしている姿勢を見せていただいたり、腱鞘炎になるぐらい練習しましたが、その結果が画面に出ていればうれしいですね。

-----もし7日後に自分が死ぬことを知ってしまったら、どんな毎日を過ごしますか?

富司純子:そうですね……普通が良い。あるがまま、今の毎日毎日が幸福だったら、特別に何かをとは思わないですね。ただ、金城さんのように素敵な死神が来てくれたら、いつでも(笑)。
金城 武:今だったら映画の撮影に入っているので、ちょっと困るかな。交渉してみます。それでも駄目だったら、とりあえず関係者、プロデューサーさんたちを呼んで、迷惑をかけないように「こういうことだから、早く代役を捜した方が良い」とちゃんと伝えて、残った時間には友達と食事をしたり、親の側に帰ってごろごろしているかな?
小西真奈美:私も、自分のために何かをするというよりも、たぶん、仕事の仲間や友達、家族のところに、ちょっと事情があってもう会えないということで、「今までありがとう」と何か手みやげを持ってお礼にいこうかなと思います。

ファクトリー・ティータイム

久々に日本映画に復帰した金城 武が演じたのは、なんと死神! だが、おしゃれで人が良く、ちょっと天然のところもあるキャラクターは、まさにピッタリの役どころだ。香港ノワールや中国の時代劇では見ることの出来ない彼の魅力がいっぱい、ファンならずとも見逃せないだろう。
(文・写真:Kei Hirai)


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