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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『人のセックスを笑うな』完成披露試写舞台挨拶

完成披露試写舞台挨拶

2008-01-22 更新

永作博美、松山ケンイチ、蒼井 優、忍成修吾、井口奈己監督

人のセックスを笑うな

配給:東京テアトル
1月19日(土)よりシネセゾン渋谷ほかにて全国順次ロードショー
(C)2008「人のセックスを笑うな」製作委員会

 山崎ナオコーラの文芸賞受賞作「人のセックスを笑うな」を『犬猫』が絶賛された井口奈己が映画化し、完成披露試写が行われた。舞台挨拶に駆けつけた永作博美、松山ケンイチ、蒼井 優、忍成修吾ら出演者からはただならぬ入れ込みぶりが感じられ、熱かった現場の空気が伝わるひとときとなった。

 「今日は外部の方に観ていただく初めての大きな試写会です。これから観ていただきますが、どうか気に入っていただけたらいいなと思っています。よろしくお願いいたします」(井口監督)、「監督が言われるままに、監督の手のひらで遊ばせていただいたような、踊らせていただいたような。監督から“力を抜いてどんどんやって下さい”と言われたので、そういう風にやってみました。皆さんが気に入って下さったらいいなと思います」(永作)、「今までは、自分が演じる役にどれだけ近づけられるかということをすごく意識してやってきましたが、今回は全く逆で、役を自分に近いところに寄せてやりました。ですから、今からご覧になる磯貝みるめという役は僕自身といっても過言ではなく、“松山みるめ”とも言えるような、中途半端で僕と半分半分のキャラクターになってしまいました。本当はそうするつもりはなかったのですが、監督の勢いというか力というか、そういうものに僕が思いっきり負けてしまい、自分自身を出さざるを得なかったところがあります。永作さんが演じたユイにはすごく恋愛感情を持ちましたし、正直に言って、今でも永作さんに会った瞬間に幸福な気持ちになってしまい、まだまだ自分の中にみるめがいるんだなと思い、少し焦っています」(松山)、「この作品の撮影の前はずっとドラマをやっていたので、8ヵ月ぶりの映画となり、現場に入る時には緊張してしまいました。監督からは“とにかく自然にリラックスして演じて下さい”と言われましたが、なかなかそれが上手くできませんでした。皆さんが楽しそうにやっているのを横で見ながら、いつも力を抜き切れない自分がいて、すごく焦っていたのを覚えています。そんな状態で演じたえんちゃんですが、監督の手のひらで転がしていただき、それがすごく気持ちよかったことも覚えています。ひとりの人物として映画の中で生きていればいいな、この作品を皆さんに気に入っていただけたらなと思います」(蒼井)、「ちょっと遅刻をしてしまい、今、髭を剃ってきたので、顔がびしょぬれですが(笑)。僕が演じた堂本役ですが、すごく飄々とした子で、ほのぼのとやらせていただきました。一番大変だったのは、現場に入る前に練習したのですが車でバックをしながらやる芝居です。カメラ位置とえんちゃんの写り具合が合わず何回もNGを出してしまいましたが、その部分も観ていただけたらなと思います」(忍成)と、それぞれ今の気持ちを語る。

 永作と松山の間に本物の愛を感じた井口監督は現場ではなかなかカットをかけなかったそうだが、その点について永作に聞くと、「監督は本当にカットをかけてくれず、現場の一番の特等席、カメラの横でニコニコしながらずっと見ていました。台本に書かれている台詞が終わっても、私たちはそのまま演技を続けなければならず、自分の中から生まれてくる言葉や動きをやらないといけませんでした。その内、自分たちが監督の手の中にいることに気づきましたが、いつの間にかそのような状態が心地よくなっていました。先ほども、松山さんと一緒に取材を受けながら“カメラの前が一番楽だったよね”と話をしていたのですが、そんな感じです」と答える。

 そんな主役の二人に改めてお互いの印象を聞くと、「撮影前に松山さんが出演されている作品を拝見しましたが、素直にお芝居をされる方だなという印象を持ちました。今回ご一緒させていただきましたが、素直なだけでなく、正直で、大きなうねりを持ち、きちんと芝居の隙間を埋めていかれる方だと思いました。判らないことは思い切り悩み、本当に(自分が演じた)ユリに翻弄されている感じがしました」(永作)、「僕は、ただただ幸せでした(笑)。現場ではカメラの前が一番安心できる場所でしたが、それが毎日続き、“今の自分にとって現実はカメラの前なのだ”と思えるまでになりました。そうさせてくれたのも、(永作の演じた)ユリさんのおかげです。ユリとみるめには、似ているところがあると思います。自分が演じた分だけ、自分自身が一番楽しめる作品になり、もしかしたらこの映画は僕のためにあるんじゃないかと思えるくらい幸せになれる作品でした」(松山)と、役者としてお互いを高く評価していたことが判る。

 一方、みるめに好意を持ちながら、ユリとみるめの恋愛模様を見守るしかないえんちゃん役の蒼井 優に本作の感想を聞くと、「私自身はあまり恋愛映画を観ませんが、この作品はとても面白く観ることができました。自分が出ているシーンでは自分の芝居が気になってしまいますが、(永作と松山)お二人の出ているシーンでは、なんとも言えない気持ちにさせてもらい、見ていても、見たいのに直視できないウウッとなるような感覚で……。これからご覧になってそういう感じになる方が多いと思いますが、初めてそんな感覚になりました。それは、ほんとうにリアルだからと思います。すごく甘い恋愛ですが、だたそれだけではなく、人の可笑しさや、完璧ではなく美化されていない部分も描かれているので、客観的に見ても面白いなと思いました」と、彼女ならではの分析を披露。
 井口監督とはこれが2回目となる忍成には、現場の空気を聞くと、「前回と変わらずボッ~とやらせてもらったのですが(笑)、面白いなと思ったのは、最初に“朝シャンをしないで来てくれ”と言われたことです。そういうところにも演出があるのは、井口さんらしいなと思いました。僕が演じた堂本には、若干、蚊帳の外みたいな雰囲気があったのですが(笑)、永作さんがとてもかわいらしく、みるめ君がそれにどんどんはまっていくところがすごく良くて、そこに優ちゃんが演じるえんちゃんが関わってくる、いいなと思いました」と、その魅力を語る。

 このような豪華キャストによる愛らしくて愛おしい作品が完成したわけだが、役者の口から何回か聞かれた“監督の手のひらに転がっていた”という点について井口監督に聞くと、「“やって下さい”と言うと役者の皆さんがやってくれるので、カメラの後ろで、ニコニコというよりはニヤニヤしながら見ていただけです。出演者の皆さんが素晴らしいので、私は何もしていません。私だけがニヤニヤしていたのではなく、カメラマンもニヤニヤしていましたし、皆がニヤニヤしてました。ニヤニヤした現場でしたね(笑)」と、余裕の笑顔。 原作となった山崎ナオコーラによる小説を映像化にするにあたっては、「言語芸術にこだわって書かれている小説ということなので、初めに読んだ時にはどうしたらいいかな? と思いましたが、映画には映画ならではの骨子を作りやっていくつもりでした」と、その才能の片鱗を感じさせる発言も。
 最後に、誕生日が間近に迫った永作に、松山から花束のプレゼントが。クランクアップの日には、松山に元気がなかったことに話が及ぶと、「だってそうじゃないですか、(永作が演じるユリが)いなくなっちゃうんですから! ほんとうにそのくらい、僕だけじゃなくて皆さんが入り込んだ作品です。観ていただくとそのことが判るので楽しんでください。あ、あらかじめ言っておきますが、僕、ちょっと訛ってるんで(笑)、よろしくお願いします」(松山)、「(花束をもらうと)うれしいですね。もう、うれしくないくらい(の年齢)にはなってるのですが(笑)。皆さんに祝ってもらえるのはうれしいですが、誕生日よりもこの作品を覚えていただければ。ほんとうにほんとうに甘いSo sweetな作品なので、ちょっとムカツクかもしれませんが(笑)。生々しく露骨だし、言葉ではなく表情や動きや体で、体当たりでやっている感じがありますが、なぜかそこから、甘いけれど底力というか力強さというか、人が生きているのだなと思いました。こんな映画は初めて観ました。皆ふらふらしているのに地に足のついた作品なので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います」と語り、最後まで皆の本作への入れ込みぶりを感じさせるひとときとなった。

 文芸賞の選考委員たちがその才能に嫉妬したという山崎ナオコーラのデビュー作を、その才能が国内のみならず各国の映画祭で絶賛された井口奈己が満を持して映画化しただけに、期待が高まる本作だが、この日登場した出演者たちの入れ込みぶりからも出来上がりについては言うまでもない。公開日が待たれる。

(文・写真:Kei Hirai)


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