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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『やじきた道中 てれすこ』完成披露試写舞台挨拶

完成披露試写舞台挨拶

2007-11-15 更新

中村勘三郎、柄本 明 、小泉今日子、間 寛平、松重 豊、山本浩司、笹野高史、平山秀幸監督

やじきた道中 てれすこ

配給:松竹
11月10日より全国公開
(C)2007「てれすこ」講中

  『しゃべれども しゃべれども』で落語家の世界を見事に映像化した平山秀幸監督が、古典落語のネタをふんだんに取り入れた弥次喜多道中記『やじきた道中 てれすこ』が完成し、お披露目の試写会が行われた。江戸情緒豊かな演出で始まったイベントでは主要キャストと監督が登場、意外な撮影秘話まで飛び出した満員の場内は興奮と笑いに包まれた。
 会場となった東京・恵比寿のガーデンホール前では、江戸時代の町人に扮した役者による寸劇に続き、出演者たちが次々とかごに乗って登場。レッドカーペットの上を歩いて場内に入るというパフォーマンスを行い、入場前の観客たちから歓声が上がった。

 試写会場での舞台挨拶には、笹野高史と平山秀幸監督も参加。登壇者それぞれが、「もう7年か8年前になりますが、下北沢の飲み屋で僕と中村勘三郎さんと、当時は勘九郎さんでしたが、柄本さんで、何となく焼酎を飲みながらダラダラしゃべっている中で出てきたのが、この弥次喜多です。それからすごく時間が経って、今日、この完成披露を迎えられて、本当にありがたいと思います」(平山監督)
 「そのとおりです。8年か9年も前の話でしたが、やっと撮影が終わり、今日こうやって皆様の前に立たせていただくことができ、うれしいです。8年、9年経ってしまったのは、(次男の中村七之助が出演した)『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005)に先を越されたから……(笑)。そんなことは言えませんが、でも、この時期で良かったような気がします」(勘三郎)
 「こんなにたくさんの方にいらっしゃっていただき、本当にありがとうございます。11月10日公開です。今日はたくさんの方に来ていただきましたが、映画館にもたくさんの方が来るよう、ひとつ宣伝のほうを皆さんでよろしくお願いいたします」(柄本)
 「ちょうど1年ぐらい前に、全国の時代劇に写ってもおかしくないような綺麗な場所を、全国で探して撮影しました。この映画を観て感じたのは、日本はすごく綺麗な国だなということです。それがとてもうれしかったので、そんなところも今日は観ていただけたらと思います」(小泉)
 「実は私、代理でございます。この映画の中に小さな狸が出て参りますが、この狸が私の四男坊で、その代理でございます。私も出演してはいるのですが、どこにいるのか判らない感じなので、非常に気が楽でございます。私の申し上げたいことは、柄本さん同様どうぞご吹聴くださいますように。今日来ていただいた皆様方、ひとことでもふたことでも“面白かったよ、面白かったよ”と言っていただくよう、よろしくお願いいたします」(笹野)
 「平山監督の作品は、『しゃべれども しゃべれども』に続いてしかも今回も落語もの、1年で2回もこういう場に立たせていただき光栄です。試写の時には関係者ばかりでしたが、爆笑の嵐だったので、本当に面白くなっています。どうぞ宣伝をよろしくお願いいたします」(松重)
 「この舞台で一緒に立っていることに、ひとりで感激しています。こういう華々しい舞台にはあまり慣れていないのですが、明日の(朝刊やワイドショーの)写真が、ここ(隣の松重豊まで)で切れていないことをですね……(笑)。まずはとりあえず、映画の方を楽しんでいただければと思います。よろしくお願いします」(山本)
 「題名が『てれすこ』となっていますが、どういう意味なのか全く判らないでやっていました。自分の想像では“アメマ”という意味かなと思ったのですが。そんな雰囲気でやっていましたが、意味判ります? 判らないでしょ? とりあえず僕はお笑いですが、監督から“しっかりしゃべってくれ、一字一句間違えるな”と厳しく言われていましたので、本当は笑いを取りたかったのですが、一字一句間違わずにしゃべりました。奉行の役なのですが、出てきて早々“あへあへうひはお”と言いましたら、“ちゃんとやってくれ!”と怒られたので、笑いなしでやりました。まぁ、観て下さい。よろしくお願いいたします」(間)と挨拶する。

 タイトルでもある『てれすこ』の意味を平山監督に尋ねると、「何なのでしょうかね。答えようがないですね。観ていただいた方の気持ちの中に答えがあるというと言い過ぎかもしれませんが、如何ように取ってもらってもかまわない正体不明の気持ちとかです。映画の中ではてれすこを食べるシーンがありますが、悪いものではなく、弥次さんはすごく良い夢を見ることが出来ました。なんだか判らないですが悪いものではないです」と、やはり曖昧な答え。
 久々の主演映画となるという中村勘三郎は、「これだけ長くスクリーンの中で顔をさらすのは『アッちゃんのベビーギャング』(1961)以来ですね」と、意外にも長いブランクが。今回の演技を客観的に見ると?という質問には、「ダメですね。でも、映画的に全体を通して観ると、まぁ、良いんじゃないですかね」と謙遜した答えが返ってきた。
 一方、次々と映画に出演している柄本明には、大変な舞台裏が。「役どころを深く掘り下げることはありませんでしたが、ただ、腰を悪くしまして。この映画は去年の10月3日にクランクインしましたが、10月2日まで舞台をやっていまして、10月2日に入院し、10月3日のクランクインには病院から撮影現場に行き、10月5日も病院から撮影現場に行って、6日に手術をしました。脊柱管狭窄症でしたが、今日は手術をしていただいた先生も来られています。撮影でも迷惑を掛けてしまいましたが、12日に退院し、病院から撮影所に直行していきなり撮影したのが、これから観ていただく首つりのシーンです。この話を聞いておけば、たぶん笑うと思いますよ。それからしばらく撮影を続けましたが、やはり手術というのは大変ですね。体力が落ちていたのに毎日撮影を続けていたら、今度は発熱して、38度、39度が3日ぐらい続き、朝、撮影所でメイク中に倒れ、救急車で運ばれて5日間入院しました。その5日間で結構休めましたが、病院から撮影現場に戻って最初に撮ったのが酒乱のシーンです。ですから、今日は皆さん、その首つりと酒乱を楽しみに観ていただければ大変に良いのではないかと思います」と、真剣な話ながら場内は大爆笑となった。
 こういった一筋縄ではいかない個性派2人の間に入ったのが小泉今日子。「とても楽しい現場でしたね。勘三郎さんは弥次さんでしたし、柄本さんは喜多さんでした。ですから、そのままの私たちでもあるし、ちゃんとそれぞれの役もあります。3人が道を歩いている感覚もあるし、江戸時代の私たちが歩いている感覚もあるし、両方持てるような不思議な気分でしたね」とうれしそうに語る。ちなみに、将来添い遂げるとしたらどちらのタイプの男性が良いか?という質問には、「両方相手に出来るような、大きな女になりたいと思います」とにこやかに答え、再び場内は大爆笑に。

 ここで登場したのが、島根県松江市にある郷土料理店㈲てれすこによる、「てれすこなだ!」なる弁当。島根沖でとれた脂ののった寒鰤を使った実在する寿司弁当なのだが、これを中村勘三郎と間寛平が試食。最初は「ちょっとこれ、映画で食べたのと似ているけれど、大丈夫かな?」(勘三郎)と不安げな二人だったが、「大丈夫、美味いですよ」(間)と、舞台の上であることも忘れ(?)、食が進む。なお、この日の観客全員には、同社による蟹いなり寿司2個がおみやげとして進呈された。

 最後にひとことずつ求められた登壇者は、「頑張ります。観て下さい。よろしくお願いします」(間)、「正直、私もまだ観ておりませんで、公開してから友達と皆で観に行こうと思いますが、皆さんもこぞって映画館のほうによろしくお願いします」(山本)、「実は、僕ら(山本と)複線でコンビをやっておりますので、こちらのほうもよろしくお願い致します」(松重)、「私はニューヨークで観させていただきましたが、わさびの効いた美味しいお茶漬けを食べたような気分になりました。今日は、お茶漬けの味を楽しんで下さい」(笹野)、「出てくる人、出てくるもの、景色、全てがチャーミングで愛せる映画になったと思うので、ぜひ観て下さい。そして、ちょっと疲れている人は心を癒されるような映画だと思うので、今夜は良い夢を見ていただけると思います」(小泉)、「平山監督は第1作の『マリアの胃袋』から出させていただきましたが、平(ひら)さんは、平さんなんて監督に失礼ですが、平さん大好きなんです。現代の速度よりちょっとゆっくりめのスピードですが、そんな速度を楽しんでみていただけたらなと思います。それと、とにかく皆さん、ここに来た以上は責任として、1人で最低10人ぐらいは親戚・ご近所に吹聴して下さい。映画というものは非常にお金がかかるのですが、これは2作、3作と続編を作っていくつもりなので、今回お客さんが入ってくれないと、会社のほうも具合が悪いとうことになりまして……。ひとつ、本当に助けると思ってよろしくお願いします(笑)」(柄本)、「友達の大竹しのぶという女優から電話がかかってきて、“私も出たい”と言っていました。“皆と旅がしたい”と言ってくれたのがうれしかったのですが、皆さんも弥次喜多の僕らと一緒に旅をするような感じで観ていただけたらうれしいと思います」(勘三郎)、「これだけのメンバーに出演していただいたので、撮影現場もお祭りでした。出来上がった映画もお祭りのような映画なので、難しいことは考えずに、“てれすこって何だろう?”って眉間にしわを寄せて考えられても困る映画なので、そのお祭りにぜひ皆さんも参加していただければと思います」(平山監督)と語り、会場を後にした。

ファクトリー・ティータイム

古典落語や江戸文化から選りすぐった笑いのネタが次々と飛び出す脚本は見事、芸達者な3人が絡む演技が何とも楽しい。大人も安心して楽しめる上質の正統派喜劇となった本作、これを観て損をしたと思う人はいないだろう。
(文・写真:Kei Hirai)


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