インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート!

Cinema Factory

Cinema Flash





広告募集中

このサイトをご覧になるには、Windows Media Playerが必要です。
Windows Madia Player ダウンロード
Windows Media Playerをダウンロードする

記者会見

トップページ > 記者会見 > 『サウスバウンド』完成披露記者会見

完成披露記者会見

2007-10-05 更新

豊川悦司、天海祐希、田辺修斗、松本梨菜、北川景子、森田芳光監督

サウスバウンド

配給:角川映画
10月6日(土)全国ロードショー
(C)2007「サウスバウンド」製作委員会

 直木賞作家・奥田英朗のベストセラー小説を森田芳光監督が映画化した『サウスバウンド』の完成披露記者会見が9月11日、都内ホテルにて行われた。沖縄での撮影で真っ黒に日焼けした、一本気で破天荒な父親役の豊川悦司をはじめ、主要キャストと監督が揃い、リラックスした雰囲気の中でさまざまな話が飛び出す会見だった。

-----まずは、ご挨拶をお願いいたします。

豊川悦司:皆さんは国民年金を払っていらっしゃるでしょうか(笑)? 私は一芸能人として、速やかに払っています。この映画は今あるいろいろなしきたり、社会の構造みたいなものに対して、全てに疑問をぶつけていく家族の話です。本当に面白い映画になっていると思いますので、ぜひ応援のほどよろしくお願いいたします。
天海祐希:皆さんに来ていただけて幸せに思っています。真っ直ぐな故に周りとの摩擦もある、でも心はすごく優しくて温かくて正直、素直でとても素敵な夫を見守りつつ、家族をまとめ、働くしっかり者の母役なんですが、でも実はこの母も意外な過去があり、夫と同じような良さを持っている強い女性でした。とても楽しい現場で、みんなと疑似家族を作ることができて本当に幸せに思っています。とても楽しく面白い映画になっています。ぜひ応援よろしくお願いいたします。
田辺修斗:楽しく撮影ができたので良かったです。ありがとうございました。
松本梨菜:撮影は沖縄でも東京でも、ものすごく楽しくやらせていただき、とっても良い映画を撮っていただいたので、皆さんもぜひこの映画を観て楽しんでください。
北川景子:今回は長女の役でしっかり者のお姉ちゃんという、私の中でも初めての挑戦だったんですけど、キャストの皆さんにも監督にも恵まれて、とても楽しい撮影でした。社会生活の中では協調性が必要とされていたり、ついつい人の言うことを聞かなければいけないという世の中で、この映画はとても気持の良いストーリーになっていると思います。普段の疲れなどを忘れて観ていただける映画ですので、皆さんぜひ楽しんでご覧になってください。
森田芳光監督:僕は人見知りなほうなので、撮影のとき、役者さんたちとあまりプライベートな話は出来ないんですが、スタッフには「とにかく、役者さんたちがベストを尽くせるような雰囲気を作り出してほしい。声を荒立てたりせず、役者さんに対しては常に優しくユーモアを持って接してほしい」と言ってまして、それがある種チームワークとなり、役者さんたちも暑い沖縄の撮影にもめげず、ベストを尽くして良い演技を見せてくださることになったと思います。もちろん、僕もこの映画は監督として頑張りましたが、スタッフが僕の言うことに耳を傾けてくれて、上原家を盛り立てたということで彼らにも感謝したいし、またその環境の中で本当にベストを尽くしてこの映画に向かってくれた上原家にも感謝したいと思います。ありがとうございます。

-----森田監督、灼熱の沖縄での撮影ではいろいろなことがあったと思いますが、完成披露記者会見の日を迎えた今、どんなお気持ちですか?

森田芳光監督:本当に厳しい暑さだったんですけど、その暑さのおかげで青空とか緑の美しさなどが画に出たと思うんですよね。自然の力と言いますか。ただ、その間に台風もありまして、それがすごい台風だったんですよ。それで、役者さんたちの泊まっているホテルが停電になっちゃいまして、それでも不満をおっしゃったりすることもなく、ロウソクを取りに行ったりして過ごされたらしいです。本当に沖縄のすごいところを見たというか、その中で撮影したわけです。また、撮影に使われた家はこのために作ったんですが、沖縄の大工さんのおかげで台風も考えた建築だったので崩れることもなく、こうして予定どおりに完成披露記者会見が出来たわけでして、そういうことにも感謝したいですね。

-----豊川さん、これまで演じられた役どころとは全く違っていたと思いますが、この一本気なキャラクターを演じられていかがでしたか?

豊川悦司:僕自身は常に長いものに巻かれているんで、とても難しかったです(笑)。ただ、今回監督からお話をいただいたときに“あれ~、これって、俺とどう結びつくんだろう?”という印象がありまして、でも監督のイメージの中で“豊川ならきっといいんじゃないか”というのがあったのだろうと思いますし、それを信じてぶつかっていったという感じでしたね。この一郎さんというのは大好きな役なんですけど、あんまり自分とは似ていないんじゃないかという気がしてまして、でも、もしかしたら似ているところもあるのかなとか、未だにちょっと分からない感じなんですよね。

-----麦わら帽子と手拭いはお似合いでした(笑)。

豊川悦司:家が農家だったので、子供の頃から麦わら帽子と手拭いにはなじんでました(笑)。

-----天海さんはタフな女性のイメージがあるのですが、今回の役柄とご自身との共通点はありましたか?

天海祐希:私自身というよりも、私の母を彷彿とさせるような女性でしたね。芯が強くてどこか楽天的で明るいですし、私の父をすごく信頼していて、何をするにも父が一番みたいな感じがあるので、やっていて母を思い出しました。父はこんなに突拍子もない人じゃなかったですけど(笑)。

-----豊川さんとは久しぶりの共演ですね?

天海祐希:はい。一郎さんと豊川さんは本質的には、ご自身がおっしゃるようにそんなには似てないのかもしれませんけど、存在感と言いますか、存在の大きさという意味ではものすごくイコールだったと思います。一家の中でも映画の中でもそうですけど、そこにいるだけで締めてくれるというか、「お父さんがいれば大丈夫」というような気にさせてくれる……(豊川のほうを向いて)このくらいでいいですか(笑)? はい、とっても素敵なお父さんでしたよ。

-----田辺くん、オーディションを経験して、とても大きなお仕事を終えたわけですが、撮影の間に周りの先輩たちはいろいろとサポートしてくださいましたか?

田辺修斗:はい。どうやるのか分からないところなんか、教えてくれたりしました。豊川さんと天海さんに教えてもらいました。

-----大変だったことは?

田辺修斗:とても暑かったので、喉がすごく渇きました(笑)。

-----梨菜ちゃんは上原家の最年少ですが、実はたくさんのドラマに出演しているベテラン女優さんです。今回はどのように役作りをしましたか?

松本梨菜:あたしと桃子ちゃんはほぼ性格が同じだったので、役作りとかはしてないんですけど、でもやっぱり、はしゃいだりするところがあたしのほうがもっとはしゃぐから、桃子ちゃんみたいに抑えてはしゃぐのが難しかったです(笑)。

-----北川さん、『間宮兄弟』に続いての森田監督作品ですが、今回は非常に長く監督とお仕事をされたということで、現場での監督はいかがでしたか?

北川景子:『間宮兄弟』のときには全部で5日間しかなかったんですよ。でも、そのときから監督はすごく優しくて、今回1年半ぶり位にお会いしたんですけど、全く変わっていないなという印象で、久しぶりという感じでもなかったんですけど、もう一度仕事がしたいということをずっと熱望していましたので、今回呼んでくださってすごくうれしかったです。今回は20日間一緒にいましたが、まだ物足りないという感じでして、もう一度仕事がしたいと思わせてくださる監督だなと思いました。

-----監督はこれまで、『家族ゲーム』や『阿修羅のごとく』『間宮兄弟』ですとか、時代時代を切り取りつつ、家族の形を描いてこられましたが、今作は両親が生き生きとしています。今の時代を監督なりに意識していらっしゃったのですか?

森田芳光監督:意識はしてましたね。ただ、それをメッセージとして映画にするとお客さんもつまらなくなるので、娯楽映画として笑いながら泣きながら、感じるものがメッセージとしてあればいいなと思うんですね。

-----子供たちを甘やかす親が多い昨今ですが……。

森田芳光監督:この親は子供にこびないですよね。それが一番良いところだと思います。

-----豊川さん、最近はCMも含めて役柄の振り幅がものすごく大きいですが、出演を決めるときの判断の決め手となることはなんですか?

豊川悦司:本当に、最近はすごく幅広いと言いますか、振り幅の大きいお仕事をいただいていて、それは自分にとってものすごく光栄なことですし、実際仕事をするのがすごく楽しくなってきましたし、そういう意味では大変うれしいんですが、ただ、“こういう役って、俺に出来るのかな……”というのがすごく多くて、やっているときは結構、戦々恐々としていたりします。 でも俳優として、そういう風にいろいろなタイプのキャラクターを演じられるということは、本当にうれしいことですね。基本的には今回の森田監督のように、自分自身のイメージとはちょっと違うというか、自分とは遠いキャラクターの役で冒険させてくれる、チャレンジさせてくれるというのは本当にやり甲斐のある仕事なので、今回にしろ、キンチョーのCMもそうなんですが、そういう役を出来るだけ受けるようにしています。

-----豊川さんと天海さん、この映画は破天荒な家族がテーマですが、撮影をされていて、こんな家族が理想だと思われましたか?

豊川悦司:この上原家は社会的な理想じゃないかもしれませんけど、人間共同体としてはすごく理想的な家族なんじゃないかなという気がします。もちろん、親子の関係ですが、そのベースにあるのが人対人という感じが上原家にはあって、それぞれがすごく独立心を持ってストレートに意見をぶつけていく家族です。現代は割と家族の形態として、誰かをサポートしてあげるとか、誰かが誰かを守らなければならないとか、例えば子供だからみんなで守らなければいけないとか、そういうことを声を大にして言うわけですが、それ以前に当り前のことなんですよね。それがだんだん崩壊しつつあるから、みんなが声に出して言うみたいな風潮があると思います。でも、それはあまりにも当たり前のことでして、つまり子供を大切にするということは子供と対等に向き合うということで、この父母はそれを徹底してやっているわけで、そういう意味では理想的な家族だと思いますね。
天海祐希:この上原家が素敵だからと言って、自分にとって理想な家族かどうかということはあまり考えたりしませんね。自分の育ってきた家族がやっぱり理想なのかなとは思います。でも、豊川さんがおっしゃったみたいに、社会的にはあまり理想的な家族ではないかもしれないですけど、ここの一員になって、もちろん良いことも悪いことも子供たちは経験しつつ、その中ででも人と人との結びつき、出会い、家族関係のあり方というものを考えてみたとき、上原家というのはやはりとても理想的なのかもしれないなとは私も思いました。

-----豊川さん、決め台詞で「ナンセンス!」というのがありますが、昨今の社会や政治でナンセンスと思われることを教えてください。

豊川悦司:何故、俺は今日アロハ・シャツを着て来てしまったんだ……と(笑)。かなり場違いな気が……。でも、“この『サウスバウンド』という映画の色からしていいかな”なんて思ったんですが、ちょっとハズしてるんじゃないかっていう。俺ってナンセンスだなという感じがします(笑)。
天海祐希:私も自分自身に言い聞かせているような部分でもありますが、他人のせいにする人が最近多く目につきますね、いろいろな事件にしても。自分できちんと責任をとれるような人間になりたいと、常日頃思っているわけですが、そういった中でもこの上原一郎さんというのは決して他人のせいにせず、自分の思いを真っ直ぐに叫ぶんだけれども、それについて誰かのせいには決してしないというところがとても素敵だなと思いました。私自身もそうですが、自分できちんと責任のとれる大人になっていきたいなと思っております。以上です!

-----監督、豊川さんも含め意外なキャスティングでしたが、キャスティングの決め手をお伺いしたいのと、キャストの皆さんは監督のお言葉を聞いてどう思われたか、お聞かせください。

森田芳光監督:豊川さんは、俳優としても人間としても芯があります。怒ったら怖いぞみたいな感じがありますね。天海さんに関しては、宝塚時代も含めてリーダーというか、後輩たちを可愛がり先輩を敬うという組織の中で育ってきたという強さがあって、それは普通の女優さんたちには絶対に出来ない経験だと思うので、そういうリーダーとしての経験は貴重ですね。それから、二郎(田辺修斗)に関しては、やはり目です。確かにしゃべりは下手ですけど(笑)、その目を見ていると許しちゃうみたいな。桃子(松本梨菜)に関しては、この役にピッタリでしたね。オーディションからそう思いました。北川は『間宮~』で僕がオーディションで選んだ子ですけど、すぐに主役をやれたりとか活躍していますし、もう本当にうれしいですよ。その点で、今までの北川とは違った、ちょっとダサい役をやらせてみたいなと思いまして、選んでみました。
北川景子:今まではモデル出身ということもあって、派手な役とかギャルっぽい役が多くて、自分としてはそういうほうが遠いような感じがしていたので、今回は、私も弟がいたりして設定なども近いですし、そういう役でもう一度監督に呼んでいただけるというのはすごくうれしかったんですけど、衣装合わせのときに「今回はダサくするから」って言われて、どういう風になるのかなとすごく楽しみでした。思ったとおりの楽しい撮影で、また全然違う役で呼んでくださいという感じです。
松本梨菜:呼んでもらってうれしかったし、楽しい撮影をやらせてもらいました。船の上で騒いだりするシーンがあって、そのときはいつもどおりにはしゃげたから楽しかったです。
田辺修斗:役が僕と重なっている部分のほうが多いと思います。やんちゃなところなんか。(MCに「監督が“目がいい”とおっしゃっていましたが」と言われ)……なんか、分かんないです、目ですか……。眼はなんにも意識してないです(笑)。
天海祐希:私、この原作が出たときに読んでたんですよ。“うわぁ、これ、面白いな~。でも、これを映像にするのは難しいのかな”と思ったんですけど、お話をいただいて「やる、やる、やる! やらせてください!」って(笑)。すごくうれしかったです。
豊川悦司:僕、怒ったら怖いです(笑)。
天海祐希:でも、普段は見たことないですよ。

-----豊川さんと天海さん、1997年の『MISTY』以来の共演で、久しぶりに再会した印象をお聞かせください。

豊川悦司::再会は春から始まったんですけど、“相変わらずデカいな”という(笑)。肩の位置と首の位置が大体同じくらいなんで、ハグしやすかった昔を思い出しました。
天海祐希:“黒いな”と思いました(笑)。
豊川悦司:『MISTY』でも鹿児島県の屋久島で撮影してまして、今回も1ヵ月弱沖縄にこもっての撮影ということで、“この人と共演するときはどこかにこもらせられる”というイメージがあります。次はどこになるのやら、ちょっと怖いです。
天海祐希:ええ、島に行かせられる感じですね。
豊川悦司:今日はすごくドレッシーです(笑)。
天海祐希:そのとおりです。よろしくお願いいたします(笑)。

-----こんな風に仲の良いお二人ですが、台風でホテルに閉じ込められたときはどんな風に過ごされたんでしょうか?

天海祐希:何にもすることがなかったので、ただひたすら寝ていました。停電したものですからクーラーも消え、ケータイでメールしようものならすぐ電池がなくなるじゃないですか。そうすると充電しにロビーまで行かなければいけないので、本当に何にもせずに、暑かったのでシャワーをチョロチョロと浴びながら、ベッドの上でダラ~っとした一日半くらいでした。で、夜は薄暗い中でロビーでみんなに会ったりして。でも本当に、そういうことも含め、楽しい経験でしたし、そういうことも一緒に乗り越えられたので、その絆が画に出ているんじゃないかなと思います。

-----お互いに変わったと思うところ、変わっていないと思うところを教えてください。

豊川悦司:まぁ、ちょっと背が伸びたかなという……(笑)。
天海祐希:ホントなんですよ。微妙に伸びてて、それが怖いです。(豊川に向かって)分かりました?

-----豊川さん、相当日焼けされていますが、日焼け対策はされなかったのですか?

豊川悦司:基本的には、今回は女優さんも含めてほとんどノーメイクでやっていたと思います。僕も何もしなかったので、ご覧のとおり真っ黒になりましたけど。(天海に向かって)日焼け対策は何かされていましたか?
天海祐希:撮影の順番がありましたので、焼けちゃいけなかったんですよね。一生懸命プロテクトして、ちょっと日に焼けたところを撮るときには足まで全部塗られて、子供たちは「海に入りたい!」と言いながら、最後のほうまで入れなかったんですよ。すごく可哀相でした。最後の最後になって、「もう焼けていいよ」と言われたのは、残り2~3日の頃でした。海にも満足に入れなかったのが、母としては可哀相だなと思いました。景子ちゃんは?
北川景子:私は最後まで焼けちゃいけない設定だったので、ずっと日傘で頑張ってたんですけど。
天海祐希:でも、焼けましたね。頑張ったんですけど。

-----豊川さんはすごいですよね、人間がここまで黒くなるのかって。

豊川悦司:(襟川)クロさんに言われたくないですよ(笑)。
天海祐希:今日はオセロな夫婦と言われてます(笑)。

-----最後になりますが、監督、この映画は強い絆で結ばれている家族のドラマですが、監督はこの物語をどんな風にとらえていらっしゃいますか?

森田芳光監督:やっぱり人間、安住の地というのかな、例えば日本で生まれ育っていても、イタリアが本当は安住の国じゃないかとか、スペイン、あるいはブラジルじゃないかとか、きっとあると思うんですよね。日本国内でもあると思います。自分は東京で生まれ育ったけど、実際は沖縄のほうが合うんじゃないかとか、北海道じゃないかとか。そういう自分の安住の地、どこへ行ったらいいのかということを見つけさせてくれる映画になったと自負しています。劇中、二人で行こうとする夢の島があるんですけど、皆さんの心の中にもそうした夢の島がどこかにある気がするんですね。それを、映画を観終わった後にそれぞれ感じてくださればいいかなと思っています。

ファクトリー・ティータイム

これまで見たこともないほど真っ黒けだったトヨエツ様。ツボをおさえたジョークも健在で、天下の二枚目仕様のときとは一味違うちょっぴりおもろい親父なトヨエツ様もたまらない、と思わせられる映画および会見だった。
(文:Maori Matsuura、写真:Kei Murakami)


関連記事

Page Top