インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート!

Cinema Factory

Cinema Flash


舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『ウクライナから平和を叫ぶ』

『ウクライナから平和を叫ぶ~ Peace to You All ~』初日舞台挨拶

2022-08-06 更新

ユライ・ムラヴィツJr.監督(ZOOM出演)、南圭介(MC@劇場)

セイント・フランシスpeacetoyouall ©All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televízia Slovenska
配給:NEGA
渋谷ユーロスペースにて緊急公開中 ほか順次公開

 ドキュメンタリー『ウクライナから平和を叫ぶ~ Peace to You All ~』の初日舞台挨拶がユーロスペースにて8月6日(土)に実施され、スロバキアよりZOOMでユライ・ムラヴェツJr.監督が参加した。「宇宙戦隊キュウレンジャー」鳳ツルギ役やNHK高校講座「地理総合」出演の俳優・南 圭介が司会を務め、本作撮影時のエピソードや、今年2月のロシアの侵攻以降ウクライナを取材した現実などを聞いた。


 冒頭監督は、日本公開初日を迎え、「まず来ていただいてありがとうございます。信じられないくらい幸せです」と挨拶。

 本作を作った理由に関しては、「自分たちが住んでいるスロバキアは、もともとはチェコスロバキアという国で、ソ連圏の国でした。旧ソ連圏の国々には、似たところやエキゾチックなところがあると思って大変興味を持って写真を撮っていました。僕には戦争写真家としての経験もあり、当時争いが始まった時に、歴史的な出来事を撮影に行って記録したいという情熱があったので、この映画が始まりました」と話した。

 映画冒頭は、2013年にウクライナで起こった大衆デモ・ユーロマイダンの写真から始まる。ユーロマイダンについては、「危険な場所でもあって、少し広場を離れると警察とプロテストをしている人の争いが起こっていて、連れ去られたりする可能性もありました。両親に1989年にチェコスロバキアで起きた革命について聞いていたので、革命についても思いをめぐらせました。両親から革命時は連体感があったと聞いていたんですが、ユーロマイダンでも人々の間の連体感を感じました。困ったことがある人たちに周りの人が助けていました。ユーロマイダンを撮った写真はチェコの国際的な賞も受賞したので、この映画へのモチベーションに繋がりました」と話し、「当時10名ほど撃ち殺されて亡くなったんですが、このような大きな戦争になるとは思っていなかったです」と今年のロシアの侵攻は予想外だったと告白した。

 監督は本作の撮影で2015年4月にドネツクに向かった。「2015年当時はたくさんのメディアが向かっていたけれど、スロバキアからは僕が最初でした。当時分離共和国側に行けてよかったです」と回想。

 本作撮影中、ドネツク人民共和国情報省によって入国禁止ジャーナリストとして登録され、入国できなくなった時については、「どちらかというと幸運だったんじゃないかと思います。そもそも還してもらえただけでも幸運です。もっと悪い結果になってもおかしくなかったです」と当時の危機的な状況を説明。監督は、その後ウクライナ側の人々の取材を開始した。

 どのようなこだわりを持って被写体を選んだかについては、「出てきた人たちは偶然に出会った人たちです。一人だけ、最初の方に出てきた、残念ながら亡くなってしまった若者たちの携帯の管理をした女性については、探しました。彼女については本で知ったので、その作家さんの助けを借りました。当時の様子を再現するために、ご本人の顔は見せずに電話だけで撮影をしました」と裏話を披露。

 監督は今年2月から5月までウクライナに続編の取材に行った。「本作で映っている場所の多くは既になくなってしまっています。ドンバスはタイムカプセルのような50年前の旧ソ連時代のような印象を受けるんですが、現在大変な戦いが行われているので、劇中ピアノを弾いている女の子やスクーターに乗っているおばさんがいたところは完全に崩壊されてなくなっています。また、マウリポリは跡形もない状況です。銃撃戦が行われているので、大きく環境が変わってしまいました」と悲しそうに報告した。

 本作の日本の公開では、監督が2014年と今年にウクライナにて撮影した写真を使用した2種類のチャリティTシャツを販売して、売上金の一部をウクライナ大使館に寄付する。「僕はウクライナとコンタクトがあるので、戦争が始まってからたくさんの人がウクライナに寄付をしたいと連絡してくれました。長年働いていたので、ウクライナのどういう人にお金を預ければ有効に使ってもらえるかも分かりました。微力なりともウクライナに寄付金を送れることは大変嬉しいことです」と話した。

 販売中のパンフレットには、本作製作時に監督が撮った写真だけでなく、今年撮影した写真も掲載されている。使用されている今年の写真はカラーだが、本作の劇中で使用しているモノクロ写真とカラー写真とは、どう使い分けているかという質問には、「白黒写真を世界で一番美しいアート形態だと思っているので、そういう形で撮ったものが多いです。現代の戦争を撮る時はデジタルでカラーで撮っています。というのも、モノクロ写真の撮影には作業時間を要するので、戦場で撮る時はデジタルになります」と説明した。

 最後に、監督より、「現在ウクライナでは大変フェアではない不正義なことが起こっていますが、まずはどのようなことが起きているのか知っていただくこと、学ぶことが大事だと思います」とメッセージが送られた。

 渋谷ユーロスペースでの公開を皮切りに、8月26日(金)にシネリーブル梅田(大阪)、名演小劇場(名古屋)、9月2日(金)にフォーラム仙台、アップリンク京都、八丁座(広島)、9月3日(土)にキネマ旬報シアター(柏)、9月9日(金)にシネ・リーブル神戸(兵庫)、シネマテークたかさき(群馬)、シネマクレール(岡山)、9月10日(土)に厚木の映画館kiki、9月16日(金)に静岡シネギャラリー、9月24日(土)にシネマディクト(青森)、9月30日(金)に福山駅前シネマモード、近日には上田映劇(長野)、シネ・ピピア(宝塚)と、続々上映劇場が決定している。



(オフィシャル素材提供)



関連記事
特報&場面写真、国際政治学者・グレンコ・アンドリーの推薦コメント解禁
トークイベント
トークイベント

Page Top