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『コーダ あいのうた』TRUE COLORS FILM FESTIVAL X 東京大学UNiTe共同企画特別試写会&トークイベント

2022-01-15 更新

遥海(シンガー)、東京大学UNiTeメンバー(飯山智史:EMPOWER Project共同代表
、佐々俊之:ボイス・オブ・ユース JAPAN、菅田利佳:東京大学UNiTe前代表)、川俣郁美(日本財団)

コーダ あいのうたcoda ©2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS.
ギャガ GAGA★
1/21(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!

 1月14日(金)、TRUE COLORS FILM FESTIVAL特別企画として、SDGsの世界実現を目指して活動する学生団体・東京大学UNiTeが主体となった共同企画を開催。ろう者の家族の中でコーダ(<ろう者の親を持つ子ども>の意味)として生まれ「歌うこと」を夢見たの主人公の一家の愛と勇気を描いた、感動作『コーダ あいのうた』(1月21日 全国公開)<日本語バリアフリー字幕付>特別先行試写会や、本作でASL(アメリカ手話)監督として参加した、聴覚に障害があり、俳優でダンサー、教育者でもあるアレクサンドリア・ウェイルズ監督への東京大学Uniteメンバーによるインタビュー映像を上映。スペシャルゲストに国連障害者権利条約締約国会議のテーマソング歌唱が話題を呼び、SDGsをめぐる活動も行うシンガー・遥海を迎え、“多様性のある社会”ついて共に考えるトークショーが実施された。


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 メジャーデビュー曲「Pride」がヤクルトスワローズの山田哲人選手の登場曲に、「声」が同じく村上宗隆選手の登場曲に使用されるなど高い人気を誇り、国連障害者権利条約締約国会議のテーマソングも歌うなど幅広い活躍を見せる遥海。フィリピン人の母と日本人の父の間に生まれ、13歳のときに来日したが、当初は日本語ができずに苦労したという。しかし「音楽は小さい頃からずっとそばに空気のようにありました。(日本に来た頃は)あまりに状況が難しくて、いったん(音楽という)夢を忘れて勉強に集中してたんですけど、やっぱり歌うことが楽しいと思えて、気づいたら今にいたります」と語った。

 こうしたバックグラウンドがあるからこそ、映画の主人公・ルビーには深く共感する部分もあったようで「ルビーを見ていると、自分を見ているようでした。フィリピンにいた頃も(日本人とのダブルであるがゆえに他人と)『違う』と言われたし、日本に来ても日本語ができずにつらかったです。音楽が逃げ場であり居場所で、たくさんパワーをもらいました」と自らを重ねる。


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 川俣氏は、3歳の時の発熱をきっかけに聴力を失い、その後、学校に行く意味について悩んだ時期もあったという。そんな時、TVで幼いながらに両親の代わりに働くガーナの子どもたちの姿を見て「大変な状況にいる人たちを支援したい」と決意し、その後、手話で学ぶことができるアメリカの大学に進学。現在は海外で手話を学べる学校の設立や、手話に興味のある聴者が学べる環境を作る事業に従事している。

 本作を観て「言いたいことが山ほどある!」という川俣氏。主人公のルビーが、歌の教師から「歌っている時の気持ち」を聞かれ、言葉が出てこずに手話で思いを伝えるシーンについて「これは“言語”だ!と思いました。言いたいことやイメージを表現するには、まず自分の言語を持っている必要があります。つまり、ルビーは(聴者でありながら)手話を言語として獲得している。そこに感動しました」「手話は、音声言語をサポートするものという見方だったり、英語と比べてダメだという考えもあるけど、そうじゃないんだと。すごくインパクトのあるシーンでした」と興奮した様子で伝えた。

 また、映画を観ながら「これって“ろう者あるある”だ!」と感じるリアルな描写が数多くあったとのこと。「ろう者であることの良い面、苦しい面、(ろう者の)親が(聴者の)子に頼ってしまう背景などがうまく表現されていたと感じました」と言う。また、劇中たびたび登場する<I LOVE YOU>を意味する手話についても言及。ラスト近くのシーンで、ルビーが家族に向ける<ILOVE YOU>の手話は、家族の使う手話とは少し違い、指を交差させることで「REALLY(本当に)」という強調の表現が入っていたと指摘。これには観客も壇上の遥海、菅田氏も感動した様子で、遥海は、感動のあまり涙を浮かべながら「私も手話をやりたいって思いました!」と語った。

 東京大学UNiTeの前代表である菅田氏は、視覚障害を抱えているが、映画のルビーと同様に「私も音楽の力に支えられて生きてきました」と語る。5歳でピアノを始め、現在も点字楽譜で音楽を学んでいるそうで「音楽があったからこそ、障害の有無やいろんな違いを超えて、人々と思いを共有することができました。私にとって音楽がひとつの言語であり、音楽があれば違いを超えてフラットな立場で思いを共有できると感じています」と語る。

 司会も務めた東京UNiTeのメンバーで、国連機関とも協働して“協力者カミングアウト”を進める活動に取り組む「EMPOWER Project」の共同代表でもある飯山智史氏は「国際問題というと、政治や経済、軍事に目が行きがちだけど、文化芸術でこうした取り組みをしているところが新しい」と言い、菅田氏に改めて「文化芸術の力で、どう世界を変えていけると思うか?」と質問。

 菅田氏は「私自身、国際貢献や国連、SDGsといったものと文化芸術がつながるとは思っていなかったんですが、一見、難しそうに見えることと自分を繋げてくれるのも文化芸術の力だと思う。このフェスティバルや映画がもそう。ここにいらっしゃる皆さんとも、たくさんの違いがあるけれど、映画という媒体を通してこの場を共有できている。文化芸術が国連やSDGsの取り組みに果たす役割は大きいと思います」と力強く語った。

 最後に多様性のある社会の実現に向けたメッセージを求めると、遥海は「一人ひとりの違いを認識し、バックグラウンドを尊重し合えば、素敵な未来、平和な世界につながると思う。そのために、私にできることは、この立場を使って歌を届けていくことだと思っています」と語った。

 菅田氏は「違いに直面すると私たちはどうしても、壁を感じることがありますが、私たちはきっと、もっと多様な側面を持っているし、違いを超えて、文化芸術が私たちを繋げてくれると思います」と語り、最後は登壇者の皆で、劇中にも出てくる手話<I LOVE YOU>でポーズ! 温かい拍手に包まれてトークイベントは幕を閉じた。

 <CODA(コーダ)>は、Children of Deaf Adults= “耳の聴こえない両親に育てられた子ども”の意。また、音楽用語としては、楽曲や楽章の締めを表す=新たな章の始まりの意も。本作は2015年に日本でも公開されたフランス映画『エール!』のハリウッド版リメイクでもある。抱き合い支え合っていた家族が、それぞれの夢に向かって歩き始めることで、さらに心の絆を強くする──熱く美しい瞬間を共に生き、あなたの〈大好きな一本〉になる、爽快な感動作だ。


<サントラ情報>
 映画『コーダ あいのうた』のオリジナル・サウンドトラック日本盤CDが、2022年1月21日(金)の映画公開と同日の発売が決定した。サウンドトラックは、映画『ラ・ラ・ランド』でグラミー賞を受賞し、数々の映画音楽も手掛けるマリウス・デ・ヴリーズ作曲のオリジナル・スコア、劇中使用曲、さらにはエミリア・ジョーンズら出演者による歌唱楽曲、全18曲を収録。日本でのみCD化となる日本独自企画盤。


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<商品情報>
 映画『コーダ あいのうた』オリジナル・サウンドトラックCD
  UICU-1337 / 2,750円(税込)/ 歌詞・対訳・解説付
  発売・販売元:ユニバーサル ミュージック
  2022年1月21日(金)発売
  試聴・購入リンクhttps://umj.lnk.to/CODA_Soundtrack (外部サイト)
  サウンドトラック公式ページhttps://www.universal-music.co.jp/coda/ (外部サイト)



(オフィシャル素材提供)



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