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『ちょっと思い出しただけ』
大ヒット御礼舞台挨拶

2022-03-05 更新

伊藤沙莉、大関れいか、松居大悟監督

ちょっと思い出しただけchoiomo ©2022『ちょっと思いだしただけ』製作委員会
東京テアトル
大ヒット公開中

 映画『ちょっと思い出しただけ』の大ヒットを記念して、東京・渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷にて舞台挨拶が開催された。伊藤沙莉、大関れいか、松居大悟監督が登壇し、事前にSNSを通じて寄せられた質問などに答え、リアルなトークを繰り広げた。


 伊藤と大関は今回が初めての共演だが、実は数年前にある映画のオーディションで顔を合わせたことがあったという。伊藤はその時の“出会い”について「大関さんが足を骨折されていまして……。歌を歌うオーディションだったんですけど、メチャクチャうまくて、私は(当時、大人気だった)大関さんのVine動画も見てたので『大関れいかだ!』って(笑)。オーディションの後、一生懸命歩いて駅に帰ろうとしていたので、私は車だったので『送りましょうか?』って声を掛けたんです。そうしたら『いいんですか!?』って。『どこまでですか?』と聞いたら、『代官山でバーベキューやるんで!』って答えられて、『骨折してるのにバーベキュー行くんだ!?』って(笑)、もともと好きだったけど、もっと好きになりました!」とまさかの出会いを嬉しそうに振り返る。


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 松居監督は2人の共演シーンについて「昔からの“友だち”感が出ていて助かりました」と語り、大関は「(伊藤さんが)自然とそういう空気を作ってくれるんです。すごくやりやすくて、勝手に『私、伊藤さんと昔からの友だちなんだな』ってシーンの後も、なれなれしくしゃべりかけちゃうような感じでした」と現場の空気を作ってくれた伊藤への感謝を口にする。伊藤はその言葉に「バーベキューまで送ったら、もう友だちでしょ(笑)!」と笑顔で応じていた。

 大関が初めて松居組に参加したのが2015年公開の『私たちのハァハァ』だが、松居監督は当時の大関さんについて「あの時は高校生で、芝居をちゃんとやるのも初めてに近くて……セリフを覚えてくるということも知らず『台本って覚えないといけないの?』というのを前日に話したりしてました(笑)」と初々しいエピソードを明かす。松居監督によると、本作『ちょっと思い出しただけ』で大関が演じた“さつき”は、『私たちのハァハァ』で演じた“さっつん”と同一人物という裏設定があったとのこと。大関は『私たちのハァハァ』と同じ役名の人物を演じるにあたり、「最初に聞いたときは『え?』と思ったけど嬉しくて。あの時(=『私たちのハァハァ』)は、演じるとかもよく分からずに『これでいいのかな?』と思いながらやってたけど、今回は同じ役だからこそ、ちゃんとしていこうって思えたし、成長もあったのかなと思います」とうなずく。


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 池松壮亮が演じる照生の誕生日を1年ごとに遡っていく形で6年の歳月を描いている本作だが、1年ごとに時計が映るシーンでは、時計の長針は全て「7分」を指している。この質問に松居監督は、「初めて気づかれた気がします」と驚いた様子。続けて「本作のそもそものきっかけとなったジム・ジャームッシュ監督の映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』でも、5つの都市を舞台にした物語で示される時刻が、全て“●時7分”だから、本作でも同じように“7分”にした」と『ナイト・オン・ザ・プラネット』へのオマージュであること明かし、「そして、この7分が8分になったら、葉(伊藤)が(過去を)ふり返っていたけど、前に進もうとするという思いを込めました」と作品に対してのこだわりを告白。


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 また、照生の誕生日のみが描かれる本作だが、照生と葉が付き合っていた間の葉の誕生日を2人はどのように過ごしていたのか?という質問も。松居監督は「全然、(照生の誕生日とは)違った雰囲気になっていると思う。照生の(プレゼントの)渡し方が下手なのも面白い」と言えば、伊藤も「プレゼントが全部、的外れなのも面白いと思います」と想像を膨らませていた。

 さらに、葉を演じていて共感度が高かったシーンを尋ねられると、伊藤は「葉ちゃんには共感しかなかったし、いままでで一番『演じている』感覚がない役でした。それは、松居監督が事前に私をインタビューしてくれて、私の恋愛観とかも入ってるからかなと思う」と語り、その上で「『分かる!』と思ったのはケンカのテンションかな? もう(2人の仲が)終わりに近づいていると、怒鳴り合いとかにならず『ダメだ……、話にならない』という感じに私もなるのかな」と語る。松居監督はこの描写についても「もともとは照生がムスッとして『もういっか……』と言ってたんですけど、伊藤さんと打ち合わせする中で、伊藤さんが『私は(もう終わりだと)言っちゃうけど止めてほしい』ということを言ってて、それはいいなと思った」と伊藤の恋愛観を劇中に深く取り入れて、2人の喧嘩シーンの流れが出来上がったと明かす。

 伊藤は、その時に発せられる「追いかけてこないのかよ!」というセリフについて「足をケガしてるし、私は自動車だから無理で、後から振り返って『無理だよな』と思うんだけど、そういうのがポロっと出ちゃうところが恋愛のよくあることで、そこもリアルだなと思いました」としみじみと語る。

 さらに、松居監督はこのシーンは、その後に異なる時系列で出てくる水族館でのシーンの「なんで逃げるの?」「なんで追いかけてくるの?」という2人のやりとりとの“逆転”を狙ったものだと説明。大関は「そのシーン、メッチャ好きです! このセリフ自体、恋愛だなと思います。恋愛も追いかけたら逃げちゃうものだし、2人のじゃれ合っている感じも、本当は深い意味があるなと思いました」と嬉しそうにうなずいていた。

 大関は既に2回、自ら劇場に足を運んで本作を鑑賞したというが「映画を観て、自分の過去の恋愛思い出したりするけど、イヤな思い出し方はしなくて『あんなことあったな』『分かる! 分かる!』という感じで、良い余韻に浸れるんです。きっと、何回でも観たくなる作品ですし、まだ熱々の頃の2人の会話も1個、1個、セリフを追って観てほしいです!」と力強くアピール。

 伊藤は「本当に余韻が楽しめる映画だと思いますし、2回目がさらに面白い映画って素敵だなと思います。この映画を観て、皆さんも恋愛だけでなく、ちょっと思い出すことがあったり、思い出す人がいたりすると思います。少しでも自分に肯定的になれたり、『また明日から頑張ろう』と思うきっかけ、背中を支えてくれる作品になっていたらと思います」と語りかける。

 松居監督は「映画を観た人の言葉でまたこの映画を育ててもらったなと感じています。この2、3年でいろいろなものが奪われたり、失われたりして、イヤなことのほうが多いけど、でもこうして映画館に来たり、友達と話せるってことが、昔よりも貴重で嬉しいことになった気がします。こうして苦しいからこそ光が見えるような映画にしたつもりです」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。


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(オフィシャル素材提供)



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