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鬼才・万田邦敏監督待望の新作
『愛のまなざしを』推薦コメント解禁!

2021-11-06 更新

愛のまなざしをaimana
©Love Mooning Film Partners

 『接吻』で各賞を受賞した鬼才・万田邦敏監督待望の新作、仲村トオル×杉野希妃×斎藤 工×中村ゆり×藤原大祐の映画『愛のまなざしを』。公開を前に、蓮實重彦(映画評論家)、秋吉久美子(女優)、濱口竜介(映画監督)、横浜聡子(映画監督)、真魚八重子(映画評論家)、三宅 唱(映画監督)、二ノ宮知子(漫画家)、中原昌也(ミュージシャン・小説家)から推薦コメントが届いた。

 妻を亡くしたことで、もう二度と誰も愛せないと思いつめ、生と死のあわいを彷徨うように生きる精神科医の前に現れたのは、彼を救済するかのような微笑みをたたえた女だった。堰を切ったかのように女に溺れていく男、愛を求め続けても誰からも返されることなく孤独の果てを彷徨ってきた女。二人はそれぞれの日常を捨て、激しく求めあう。しかし、女には別の顔が存在した……。男が信じた愛は、そこに確実に存在したのか。そしてそれは「愛」そのものであったのか――。

 これまでも強烈な自我を持つ女性を軸に、狂気ともいえる愛を描いてきた鬼才・万田邦敏監督が、カンヌ国際映画祭にてW受賞した『UNloved』、比類なき傑作『接吻』に続き、共同脚本・万田珠実と三度目のタッグを組んだ。「愛」の本質を見つめ、人間の性とエゴをあぶりだした愛憎サスペンスが誕生した。

 精神科医・貴志を演じたのは、万田監督作品『UNloved』『接吻』でキーパーソンを好演した仲村トオル。貴志からの愛を渇望する綾子役は、監督、プロデューサーとしても精力的に活動する杉野希妃が演じ、女の業を表現した。死んだ姉に焦がれ、綾子の登場により翻弄されるも真実をつかもうとする内山 茂役には、監督、プロデュースなど肩書を超えて活躍する斎藤 工。映画やドラマ、舞台でしなやかな演技力が光る中村ゆりが、6年前に亡くなった貴志の妻を演じる。貴志の息子・祐樹役として十代の繊細な心の揺れ動きを表現した藤原大祐は、オーディションで役を掴み、本作で映画デビューを飾っている。その他、片桐はいり、ベンガル、森口瑤子など、ベテランが脇を固める。また音楽を長嶌寛幸が担当、愛の不確かさを見事表現した。

 愛なのか、憎しみなのか、もはやその区別さえ失ってしまった境界線に生きる男女の物語は、多くの映画作家により綴られてきた。その線上に位置づけられることになるであろう『愛のまなざしを』は、女の愛の強靭さを見抜き、その覚悟を見せつける、強烈な愛の物語となった。


推薦コメント

蓮實重彦(映画評論家):
 そのショットの無駄のない連鎖によって、『愛のまなざしを』の万田邦敏は世界でもっとも聡明な映画作家の一人であることを証明してみせた。このファムファタルのサスペンスに向かい合う俳優たちもまた、聡明きわまりない。あとは、観客の聡明さが問われるのみである。


秋吉久美子(女優):
 ヤバい女に関わるな!
 例えそれが仕事だとしても……。
 ミイラ(患者)にハンドリングされるミイラ取り(精神科医)。
 血の滴る心理ゲーム。
 観終わってからも脳がストーリーを反芻し、痺れ続けた。


濱口竜介(映画監督):
 亡妻を演じる中村ゆりの台詞が屹立している。これは罪悪感に苛まれる仲村トオルの幻影であり、言葉は彼自身の潜在意識が与える責め苦としてあるが、一方でこれは(おそらく)万田珠実の手による台詞であり、それを万田邦敏が受け取り演出している。結局、言葉は「男のもの」「女のもの」「誰のもの」という所有を離れた場所で響き、誰の胸にも痛いほど突き刺さる。最高だ。万田映画だ。やがてこわれゆく仲村トオル、必見!


横浜聡子(映画監督):
 己を激しくぶつけ合う登場人物たちの姿が、はじめは苦しかった。
 互いに補い殺し合いだんだんと消えていく己に代わって、いつの間にか彼らの間に生まれていた不思議な秩序に、最後はなぜだか安らぎを覚えた。


真魚八重子(映画評論家):
 情念の言葉と、情念を押し殺す演出。そしてそれが、万田夫妻の映画を芸術たらしめている理由である。


三宅 唱(映画監督):
 二人の出会いの場面が気になる。
 二人以外の人物たちのまなざしも気になる。
 いやそもそもファースト・カットからして気になる!


二ノ宮知子(漫画家):
 現実なのか精神世界なのか。本当なのか嘘なのか。みんな誰かを愛してるし憎んでいる。絵画を見ていたら、いつの間にか中の世界に引き込まれていて、出口が分からなくなった人みたいになって楽しんだ。


中原昌也(ミュージシャン・小説家):
 こんな時代とはいえ、陰険過ぎる世界に爆笑してしまいそうになり……笑えないのはこれが醜悪過ぎてリアルな恐怖映画だから…だが、この作品に登場するすべての人々が純然たる「愛」に満ちた万田監督の優れた演出によって目の前に存在しているのだと気づいてからは、世界が美しくて逆に最後の最後まで涙が止まらなくなった。



(オフィシャル素材提供)



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