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2021-11-02 更新


彼女が好きなものはkanosuki
©2021「彼女が好きなものは」製作委員会

イントロダクション

 ゲイであることを隠して生きる高校生の純と、BL好きであることを秘密にしているクラスメイトの紗枝。思いがけず接近した二人は、紗枝が純のセクシュアリティを知らないまま、“ふつう”の男女としてつき合い始めるが……。

 2019年に「腐女子、うっかりゲイに告る。」のタイトルでドラマ化されて話題を呼んだ、浅原ナオトの小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」。セクシュアルマイノリティの男子高校生と、BLをファンタジーとして享受していた女子高生が、生身の相手を通して自分や世間の壁に向き合うこの青春小説は、当事者の苦悩や生きづらさ、世の中の無知と誤解が引き起こす暴力、誰の心にも潜む無意識の偏見をひとつひとつ紐解いてみせる。それらと闘い、傷を負いながら自らの生き方を切り開いていく若者たちの物語が、このたび次世代期待のキャストで映画化。原作の問いかけを受けとめて一つのアンサーを見出した。

 異性と結婚し、子どもをもうけて、家庭を築く。自らのセクシュアリティを自覚する一方で、長くスタンダードとされてきたそんな幸せの形を諦めきれず、葛藤する主人公・純を演じたのは神尾楓珠。雑誌「ViVi」のNEXT国宝級イケメンランキング1位に選ばれ、圧倒的なビジュアルに裏打ちされた存在感で、激しくせめぎ合う十代の繊細な心を力強く体現し、生きた魂を刻みつけた。

 BLの世界に傾倒しながらも、恋人がゲイであったという現実を受けとめきれず、戸惑う紗枝を演じたのは山田杏奈。『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20)、『樹海村』、(21)『ひらいて』(21)と主演作の相次ぐ新鋭が、未知の世界を知って新しい扉を開ける恐れを思春期の輝きに変え、本領を発揮している。

 監督をつとめたのは、学生時代に自主映画からキャリアをスタートさせた、『にがくてあまい』(16)、『世界でいちばん長い写真』(18)の草野翔吾。撮影は『泣く子はいねぇが』(20)で第68回サン・セバスティアン国際映画祭最優秀撮影賞を受賞した月永雄太、照明は『万引き家族』(18)で第42回日本アカデミー賞最優秀照明賞に輝いた藤井勇、美術は『スパイの妻』(20)、『子供はわかってあげない』(21)の安宅紀史ら熟練のスタッフたちが集結し、瑞々しい青春映画の舞台を作り上げた。

 漫画からドラマ化された「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」や、タイのテレビドラマ「2gether」が国境を超えて人気を誇るなど、いまやパワーコンテンツとなったBL市場。しかし、エンタテインメントに昇華される一方で、私たちが生きる社会には多様な価値観を受け入れることへの根強い壁がある。大切なのは、少数派と多数派を被害者と加害者に分断するのではなく、どの立場であっても自分ごととしてとらえること。十代の登場人物たちが自分たちで踏み出したその第一歩は、大いなる勇気を与えてくれるに違いない。


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ストーリー

 高校生の安藤 純(神尾楓珠)は、自分がゲイであることを隠しているが、年上の恋人・誠(今井 翼)と密かに関係を持っている。幼馴染の亮平(前田旺志郎)や、シングルマザーの母・みづき(山口紗弥加)もそのことは知らない。周囲に合わせることで身を守り、平穏な学生生活を送るため、誰とも一定の距離を保っていた。

 あるとき純は、クラスメイトで美術部員の三浦紗枝(山田杏奈)が、男性同士の恋愛を描いたいわゆるBLマンガを買っているところに遭遇。中学時代に腐女子がバレて仲間はずれにされた経験を持つ紗枝は、学校ではBL好きを隠しており、「誰にも言わないで!」と純に口止めするのだった。

 ところが秘密を共有したことで二人は急接近し、いつしか純に恋愛感情を抱くようになった紗枝は、その思いを告げる。ゲイである自分ももしかしたら“ふつう”に女性とつき合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか――。一縷の望みをかけ、純は紗枝の告白を受け入れる。


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(2021年、日本、上映時間:121分)

キャスト&スタッフ

原作:浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)
監督・脚本:草野翔吾
撮影:月永雄太
音楽:ゲイリー芦屋
企画協力:KADOKAWA
企画・制作・プロデュース:アニモプロデュース

出演:神尾楓珠、山田杏奈、前田旺志郎、三浦獠太、池田朱那、渡辺大知、三浦透子、磯村勇斗、山口紗弥加、今井 翼ほか

配給
バンダイナムコアーツ、アニモプロデュース
12月3日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

■ オフィシャル・サイトkanosuki.jp (外部サイト)



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