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『トゥルーノース』トークイベント

2021-06-22 更新

清水ハン栄治監督×西野亮廣氏(キングコング)

トゥルーノースtrue-north ©2020 sumimasen
配給:東映ビデオ
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中!

 生存者証言を参考に、北朝鮮強制収容所の内情を描きつつ、過酷な環境で生きていく家族とその仲間たちが生き抜いていく姿を3Dアニメーションで描いた衝撃の感動作『トゥルーノース』が全国公開中。6月18日(金)、公開記念として丸の内東映②にて、清水ハン栄治監督と西野亮廣(『映画 えんとつ町のプペル』製作総指揮・原作・脚本)登壇のトークイベント付き『トゥルーノース』上映会が実施された。


 平日にもかかわらず、幅広い世代の観客が会場につめかけ、上映後の熱気冷めやらぬまま、清水ハン栄治監督と西野亮廣が大きな拍手に迎えられ登場しトークイベントがスタート。西野は公開前の試写ですでに本作を鑑賞しており、「すっごいおもしろかったです!」と感想を述べると、清水監督も「ありがとうございます。西野さんのリアクションがとても良くてありがたかったです。そして観客の皆さんのリアクションもとても気になります。今日ご覧になった皆さんいかがでしたか、涙した方もいらっしゃいますか?」と問いかけると多くの手が挙がり、清水監督もホッとした表情に。

 続いて清水監督から「西野さんと以前お話したときに、映画だけでなく、映画プラスアルファのことを考えている、と伺いました。僕の場合は映画とアクティビズムをつなげていこうと考えているんです」と投げかけられると、西野さんは「作品を生むだけでなく、育てる、熟成させることが大切だと思っています。例えば『ドラゴンボール』も『ポケモン』もアニメからでなく、ゲームから入った世代もいる。作品だけでなくサービスに落とし込むこと、それが作品における子育てのようなものかなと。でないと忘れられてしまう。知る人ぞ知る、という形になってしまうより、自分たちが作った作品をどうサービスに落とし込んでいくかが、非常に重要だと思うんです」とコメント。それに対し清水監督も「映画があってサービスがある、サービスがあって映画があるという良いループをつくることですね。僕は『トゥルーノース』という作品をアクティビズムにつなげていきたいと思っています。観て終わりなのではなく、そこからの派生に期待しているんです。実際に我々は北朝鮮の強制収容所に行くことはできないから、現在まさに今起こっている人権蹂躙を目撃している人が少ない。ですのでこの映画を通して、観客の方々に収容所などの目撃者になってもらおうと考えているんです」と熱く語り、西野も「なるほど!」と大きく頷いていた。


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 また『映画 えんとつ町のプペル』は6月14~19日に開催予定の「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門「L'officielle」にノミネートされ、その結果発表を数日後に控える。清水監督から「僕たちの共通点というと、共に初挑戦でアニメ界の世界最高峰・アヌシー国際アニメーション映画祭に自身の作がノミネートされたことですよね。ある意味、門外漢な二人ですが、作品が海外で受け入れられ、また映画単体で終わらせないということも共通していますね。西野さんは海外展開に関してはどうお考えですか?」と尋ねられた西野は、「これまでは一般的に、例えば人口が少なく国内マーケットが小さいために、外に向かう努力をしていた韓国とは違って、日本は国内でヒットしていればある程度食っていけるし、国内向けに作れば良いと思われていた。でもいよいよ逃げ切れないよね、と思っていて。というのも、僕が今テレビをつけるとすると、選択肢として地上波、Netflix、Amazonプライム、ディズニープラス、という4択がある。そこで例えば『愛の不時着』のような韓国ドラマは、どこかのTV局が作ったドラマなどと同じ商品棚に並んでいるわけです。しかもかなりの制作費がかかっている。そういう制作費もかかりグローバルなコンテンツを一回見てしまうと、もう後には戻れないというか。やはり世界を狙わずに生き残る道はないんじゃないか、と考えたりします」と西野。


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 清水監督も「その考え、とても共感します! そして危機感も共有しています」としたうえで、「同じファン層に向けるだけのコンテンツを作って、それを繰り返していると、世界から見て色気のないものになっていくのではないか。実は自分のスタジオ名に“すみません”とつけたのは、先に謝ってしまった上で、門外漢でも海外展開含めどんどんチャレンジしてしていこうと思っているんです。いろいろなものを作ることでノイズを作り、揺らいだところに文化が膨らんでいけばと考えています」とその覚悟を語った。

 さらに、今後、映画を届けていく方法の話に移ると西野は、「『映画 えんとつ町のプペル』のときにすでにやったのですが、例えば作品を観たいという子どもたちの団体を募集して、一方でその団体にこの映画を観せたいという大人たちを募り、映画をプレゼントというかギフト化していくという試みをしました。自分自身も蜷川実花さんの監督作を観たときに感動して「10万円くらい払いたい!」と思ったくらいなのですが、実際には1800円しか払うことができない。この作品に5万円払いたい人は5万円払える受け皿のようなものを作っていくことも必要では」と持論を述べた。これには清水監督も「革新的ですね」と驚きつつ、プロデューサーでかかわった『happy - しあわせを探すあなたへ』がアメリカのスターバックスからの提案で、クリスマス限定でコーヒー購入者のレシートに作品が観られるQRコードを掲載し、無料で観られる試みを実施、大反響となった経験を持つ清水監督も「僕は『トゥルーノース』が日本だけでなく他の国々でのアクティビズムにも広がっていくために劇中の言語を英語にしました。今の時代、正攻法だけでなく、いろいろな方法で海外展開もチャレンジしていきたい」と強くコメント。幅広い視野を持つ二人だからこそ、アイデアと話は尽きないイベントとなった。


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(オフィシャル素材提供)



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