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『草の響き』公開記念舞台挨拶

2021-10-09 更新

東出昌大、奈緒、斎藤久志監督

草の響きkusanohibiki ©2021 HAKODATE CINEMA IRIS
配給:コピアポア・フィルム 函館シネマアイリス
新宿武蔵野館・ヒューマントラストシネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中 ほか全国順次公開

 佐藤泰志の小説、五度目の映画化として、数々の映画賞を受賞し話題を呼んだ『きみの鳥はうたえる』(18)に続き、函館の映画館シネマアイリス代表・菅原和博によるプロデュースのもと製作された映画『草の響き』。東出昌大を主演にむかえ、『空の瞳とカタツムリ』(19)、『なにもこわいことはない』(13)の斎藤久志監督がメガホンをとり、2020年に佐藤泰志の没後30年企画作品として製作がスタートし、いよいよ10月8(金)より全国順次公開中となった。そして、本日10月9日(土)、その公開を記念した舞台挨拶が開催され、主演の東出昌大、奈緒、斎藤久志監督が登壇した。


 まず東出は佐藤泰志原作の5度目の映画化に出演することになった気持ちを聞かれ、「原作では僕の演じた和雄は、独身の設定ですが、脚本には妻がいて妊娠している。それが大きな違いですが、その脚本が素晴らしかったです」と出演の理由を話した。続けて、撮影ロケ地となった函館の街の印象を問われると「空が広くて、路面電車が走っていて、少し寂し気なところもある一方、西日の柔らかい光が心に残っています」と語った。

 奈緒は原作には登場しない妻・純子の役作りについて問われると、「監督には(いわゆる)お芝居をしないでくれとずっと言われていたので、初日からその壁にはぶつかりましたし、純子として(東京を離れて夫と共に)函館にいるっていうことはどういうことなんだろうと撮影中もずっと模索し続けて手探りで過ごした記憶があります」と語った。更には、役作りのために、撮影前に一人で函館に行ったというエピソードを披露。「タクシーで、いろいろと函館をまわったのですが、運転手が偶然にも斎藤監督と同じサイトウさんでご縁を感じました(笑)。九州出身の私からすると、北海道の海は印象が全然違いました。一種の神々しさと恐ろしさのようなものを感じて、函館は、人がすごく優しい反面、独りでいる時のさみしさは非常に辛いかもしれない。そんな風に純子は函館で過ごしていたのかもしれないと思ったりしました」と話した。

 また大東駿介演じる和雄の親友、研ニと三人で過ごすシーンについて問われると、斎藤監督から「あるシーンについて、別の撮影をしている時に、撮影が無い東出さん、奈緒さん、大東さんの三人が集まって俳優たちだけで本読みをやっているのを美術部の人から聞いたりした。函館に合宿しての撮影だったので、ずっと一緒にいる時間があったことは大きかったのでは」と語った。東出は「監督から言われていた芝居をせず、なるべくナチュラルにカメラの前にいるということを俳優たちはみんな意識していたのではないかと思います」、奈緒は「和雄という役を理解したい私の気持ちと、純子が夫を理解したいという気持ちがリンクしていくなかで、友人役の大東さんがいてくれることで、いろいろな気持ちに気づくことができました」と話した。


最後のメッセージ

 斎藤久志監督:この映画にももちろん、テーマがあり、物語はありますが、映画はそれだけでは出来てないと思っています。例えば走っている和雄の後ろに風景があり風が吹いている。それらが映画を作っているのだと思っています。どうかこの映画に映っている函館の街を5.1CHサラウンドで体感しながら観て欲しい。

 奈緒:私自身、この時にしか撮れなかったもの、それは函館の景色もそうですし、一つひとつ奇跡のような瞬間が集まっている映画だと思っています。皆さんの大切な五感でこの映画を受け取って下さったら嬉しいです。

 東出昌大:考えるより感じたほうがこの映画は深く受け止められるのではないかと思います。きっといい映画です。いわゆる名シーンみたいなものを力を入れて撮っているみたいなタイプの映画ではありません。緩い大河のような、ずっと続いていく日常を定点カメラで捉えたような映画です。だからこその魅力がこの映画にはあります。それぞれが思った大切なものを持ち帰っていただければ幸いです。



(オフィシャル素材提供)



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