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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『HOMIE KEI~チカーノになった日本人~』

『HOMIE KEI~チカーノになった日本人~』初日舞台挨拶

2019-04-27 更新

KEI、北芝 健、サカマキマサ監督

HOMIE KEI~チカーノになった日本人~homie-kei 配給:エムエフピクチャーズ
ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中ほか 全国順次公開
© 「HOMIE KEI~チカーノになった日本人~」製作委員会

 アメリカ極悪刑務所を生き抜いた男・KEIを追ったドキュメンタリー映画『HOMIE KEI~チカーノになった日本人~』がヒューマントラスト渋谷にて初日を迎えた。初日舞台挨拶では、主人公・KEI、本作品に出演している元刑事・北芝 健、監督・サカマキマサが登壇、当時のヤクザと刑事の関係や日米の刑務所の違いについてなど語った。


 冒頭登壇したKEI氏は、「(このドキュメンタリーのプロジェクトを)始めてもう10年位経っているので、うちの子供も幼稚園から中学になっちゃいまして、自分も髭も頭も真っ白になっちゃって……」と挨拶。元刑事の北芝 健氏も「皆さんにお会いしたのは大体9年前」と感慨深けに挨拶。

 元ヤクザのKEI氏には歌舞伎町時代があったが、刑事側の北芝氏を本ドキュメンタリーに出そうと思ったきっかけを聞かれたサカマキマサ監督は、「僕は中野で育ったんですけれど、当時(1980年前後)小学校後半に『パックマン』などのインベーダーゲームが流行り始めて、僕は6年生位の頃には歌舞伎町のゲームセンターに通っていたんですけれど、その当時は今と全然違って怖かった。ヤクザの人なのか暴力団の人なのか警察の人なのか分からないんですけれど、今とは人種が違ったのを覚えていて、KEIさんと話をした時に、全く真逆の警察のほうの意見も聞いたら面白いのではないかと思ったのがきっかけです」と回答。


homie-kei

 北芝氏が歌舞伎町について「KEIさんと大体同じ時代に生きていました。当時と今は異質の世界」と言うと、KEI氏も、「当時は警察の人も持ちつ持たれつで今とは時代が違った」と付け加えた。北芝氏は、「親分さんが家に来てくれよと言う時は行っていた。いい日本家屋だったり、洋室だったりいろいろなのですが、部屋住みの青年たちも修練の時代だった。昔のしきたり通りの世界。警察学校も、殴られ蹴られ、唾を吐かれ、一人前なのに一人前じゃないよと警察学校に戻されたり、人間性を踏みつけられる。軍人、ヤクザ、警察は皆同じ体質。同じ人種。痛みに順応しながら下積みを終えて一本になるまではどこも一緒。下積みはかなりの暴力性がある日常だった」と当時を振り返った。


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 KEI氏が、「当時警察にお金をあげて融通を利かせてもらっていた」と言うと、北芝氏も、「拳銃がものすごく評価される。首なし拳銃が多い。所有者は誰だということになって、突き詰めていくと亡くなっていることが多いけれど、拳銃を手に入れたという評価は変わらない時代があって、今でいう忖度。貸借り」と説明。KEI氏によると、「親しい警察官の人が点数が足りない時、拳銃が出るとノルマが達成できるから、コインロッカーに入れておいてあげるという時代だった」とのこと。北芝氏によると、そういう警察はおびただしい数いたけれど、「1992年に暴対法ができて世の中がガラッと変わった」とのこと。北芝氏は今のヤクザについて、「なり手がいない。あの業界も労働者不足。高齢者ばかり」と話した。

 日本とアメリカの刑務所の違いについて聞かれたKEI氏は、「何が違うかというと、日本だと刑務官のほうが上。囚人は奴隷状態。アメリカの場合は、囚人のほうがおまわりより上。おまわりは囚人がいないと飯を食っていけないというのが根本的な違い」と説明。「自分がいたところは、州の刑務所じゃなくFBIの連邦政府の刑務所。毎週土日はロードショーをやっていた。刑務所でも外と同じ作品をやらないと暴動が起きてしまうんで」と話し、観客は驚きを隠せない様子を見せた。

 北芝氏は、アメリカの刑務所について研究したそうで、「刑務所の中でも、ブラックはブラックの一つの集団がある。ホワイトはホワイトだけれど、別枠として、チカーノと呼ばれているヒスパニックの枠がある。『ウエスト・サイド物語』は数十年前の映画ですけれど、あれに出てくるグループ分けと刑務所の中もほぼ一緒。どこかにつかないと死と同じ」と解説し、KEI氏も「ギャンブルしたり薬でもなんでもできるから、支払いがちゃんとできていれば殺されることはないけれど、支払いができなくなって、結局揉めて殺されてしまう」と驚愕の事実を話した。

 また、アメリカの刑務所の長所として、KEI氏は、「大学も卒業できるし、歯医者の資格も取れるし、やる気になればなんでもできる」ことを挙げた。北芝氏も、「アメリカの刑務所では博士号が取れる。自己実現するということが日本の刑務所にはない」と話した。


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 更生に関しては、KEI氏は、「覚せい剤に関しては止める気がないと止められないと思う」と話し、北芝氏は、「アメリカは冤罪がめちゃくちゃ多い。日本はアメリカに比べれば50分の1位。出てからも自分の生き方は変わらないと思っている人が多い。シャブやっても、自分だけ体が傷んで終わりだろうと。反省がないから止めない」と日米の違いを説明した。

 最後に本作の見どころを聞かれたサカマキ監督は、「KEIさんは普通の人とかなり違った人生なので、自分たちと似たところなど感じていただければなと思います」と話し、KEI氏は「この映画を観て、日本の良かった時代、バブルの前の義理人情があった時代を思い出してもらえれば」と話した。北芝氏も、「1989年の前って全然違う国だったんです。日本人自身の情緒が違うんです。バブルの頃に能力主義と言って、『金を儲けない奴はクズ』というふうになっちゃった。その前の時代に生きた人たちの情緒を味わってくれれば」と話した。



(オフィシャル素材提供)



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