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記者会見

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『僕の帰る場所』日本外国特派員協会 記者会見

2018-09-28 更新

藤元明緒監督、ケイン・ミャッ・トゥ(母親役)、渡邉一孝(プロデューサー)

僕の帰る場所passage-of-life 企画・製作・配給:株式会社 E.x.N
© E.x.N K.K.

 昨年の第30回東京国際映画祭アジアの未来部門にて日本人監督では初となる2冠を達成し注目された『僕の帰る場所』が、10月6日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開となる。

 世界的な関心事項である“移民“という題材を、ミャンマーでの民主化の流れや、在日外国人の家族を取り巻く社会を背景に描いた本作は、ミャンマー政府の厳しい検閲を通過し、企画から5年を経て完成した。

 監督は本作が長編デビューとなる新鋭・藤元明緒。演技経験のないミャンマーの人々を多数起用し、まるでドキュメンタリーを思わせる映像は、ミャンマー人一家の生活を優しく見守りつつ、シビアな眼差しを貫いている。

 東京国際映画祭「アジアの未来」部門ではグランプリにあたる「作品賞」と、監督賞にあたる「国際交流基金アジアセンター特別賞」を受賞。「ある家族の物語を繊細に語ることで、世界中の様々な家族のメタファーとなっている。フィクションを用い、現実の困難さを素晴らしく芸術的に描き、大変優れた映画的な価値と演技を持つ作品」と評された。また、オランダ・シネマジア映画祭では子役のカウン・ミャッ・トゥ(当時6歳)が心揺さぶる演技で最優秀俳優賞を受賞。7月に開催されたタイ・バンコクASEAN映画祭コンペティション部門では審査員賞を受賞し、「スクリーンに描かれたことがあまりない重要な人間的な課題の緊急性や、その現代性を表現した映画。ドキュメンタリーとフィクションの素晴らしい融合を特徴にもつ、率直な作品でもある。映画のもつ迫力は、調和のとれた出演者たちの魅力的なパフォーマンスによって、より強調されている」と日本人が監督したASEANの映画として評された。現時点でも、4つの賞、ほか、15ヵ国25以上の映画祭で招待上映され、アジアの話題作の1つとして注目を浴びている。

 この度、日本外国特派員協会にて記者会見が開かれた。


 本作が日緬合作作品であることから「なぜミャンマーとの共同制作を考えたのか」という問いに関して、プロデューサーの渡邉は「本作の共同プロデューサーで出演もしている俳優・來河侑希より、ミャンマーで映画を撮らないかと話があった。渡航経験もなく、ミャンマーのことを何も知らなかったので、インターネットや本などで調べ始めると日本人がアウン・サン・スー・チー女史や軍事政権については少し知っているが、どういう人たちがどんな場所で何を食べ何を話しているか、生活のことは知られていないことに気がついた。映画ならば、観客が感情移入する中でそれらの多くをスクリーンを通じて発見していく作品を作ることができる。民主化の方針や、経済的にも“東南アジア最後のフロンティア”として、国が開いていくことが注目されていたこともあり、資金もなく、映画のプロデュースもしたこともなかったが、国際共同制作企画の監督募集をした。その中で、唯一脚本まで書き上げてきたのが藤元監督。ミャンマーを短時間で調べ世界観をつくり上げたことに感心し、一緒に映画をつくることを決めた。結果、この映画のために会社とNPOをたて、多くの方々に支えられながら、製作委員会を作らない協賛と借金のみによる一社単独責任の体制を取り、5年の歳月をかけることになった」と誕生秘話について話した。

 続けて、今回の企画について「監督は日本人だが、国籍も文化も年齢も越えて、ミャンマー人の家族、子どもに共感し、作品の根本を見出したことが素晴しいと感じている。ファミリーレストランやコンビニに行けば外国の方々を多く目にしたりするが、東南アジアに限らずとも、日本人が外国人たちに感情移入していくことが圧倒的に少ない。映画館に行けば、その0(ゼロ)の体験が1(イチ)になる可能性がある」と本作の魅力について語った。

 15ヵ国25以上の映画祭で上映され、各国での反応を聞かれた藤元監督は「嬉しかったのはカウンくん(ボスタービジュアルの少年)に感情移入する人がとても多かったこと。日本とミャンマー2つの国の話だが、どの映画祭でも国籍関係なくカウンくんに感情移入してくれた。移民・難民を背景にした話でもあるが、家族の目線から見えること以外細かく説明しておらず、制度を説明するために役者が演じることになってしまう」と説明。また多くの人の心を掴んで離さないラストシーンについては「少年の物語に終始しない“家族”を捉えることについて、撮影現場で気づかされた重要なシーン。家族とは矛盾した人間個人の集合体」と監督が常に大切にしてきた“家族”というテーマについて言及した。

 また母親役として出演したケインは、子役であり実の息子たちでもあるカウンくん、テッくんが現在11歳と7歳(撮影当時7歳と3歳)となり、2人とも映画が好きで機会があればまた挑戦してみたいと思っていることを話した。

 なお、日本外国特派員協会にて80名以上の出席者を前に、本作が文科省選定作品となったことが発表された。
※文部科学省特別選定(成人向き)文部科学省選定(青年向き、家庭向き)

 東京公開初日10月6日(土)にはポレポレ東中野では初日舞台挨拶も予定しており、本日の登壇者に加え、主人公家族の兄弟カウン・ミャッ・トゥ、テッ・ミャッ・ナインなども登壇予定。(※詳細は後日発表)また、ポレポレ東中野では公開中全ての回が日英字幕付きで上映となる。



(オフィシャル素材提供)



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