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『英国総督 最後の家』オフィシャル・インタビュー

2018-08-02 更新

ヒュー・ボネヴィル


英国総督 最後の家eikokusotoku
© PATHE PRODUCTIONS LIMITED, RELIANCE BIG ENTERTAINMENT(US) INC., BRITISH BROADCASTING CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND BEND IT FILMS LIMITED, 2016
配給:キノフィルムズ/木下グループ

ヒュー・ボネヴィル

 1963年、イギリス・ロンドン生まれ。
 イギリスでもっとも人気を博する俳優のひとりで、映画、舞台、テレビで活躍。主な映画作品に、『ノッティングヒルの恋人』(99)、『アイリス』(01)、『ミケランジェロ・プロジェクト』(14)、『パディントン』(14)、『パディントン2』(17)など。主なテレビ作品に、イギリス・アカデミー賞(BAFTA)受賞作「TWENTY TWELVE(原題)」(11~12)、BBC放送の「W1A(原題)」(14~)などがある。
 大人気ドラマ「ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館」(10~15)のロバート・クローリー役でゴールデングローブ賞に1回、エミー賞に2回、ノミネートされた。
 公開待機作に『ブレス しあわせの呼吸』(17)がある。



 1947年、独立前夜、混迷を深める激動のインドで歴史に翻弄された人々を鮮やかに描いた真実の物語『英国総督 最後の家』が8月11日(土・祝)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショーとなる。この度、主権譲渡のため任命された新総督のマウントバッテン卿を演じた主演のヒュー・ボネヴィルのインタビューが到着した。


『英国総督 最後の家』は監督のファミリー・ヒストリーを元にしたリアルなストーリーですが、役のオファーがきたときの感想を聞かせてください。

 まず、役の話を頂いた時は、このマウントバッテン卿と私は似ても似つかないと思いました。仮にエレベーターに顔を挟んだとしても、ああいう面長な顔にはならないと、これはご本人(マウントバッテン卿)の娘さんにも言ったのです、「あなたのお父様は映画スターのような非常にハンサムな方ですが、私はそうじゃないから、いかがなものか」と。そう思っていましたが、監督からは別にこのマウントバッテン卿を真似できるような人、あるいはルックスが似ている人を探しているわけではなくて、その精神性を表現できる、そしてそのストーリーを語ることができる人を探しているというお話を頂きました。


イギリス人として、歴史上の人物として思い描いていたマウントバッテン卿と、本作が描くマウントバッテン卿というのは、同じ印象でしたでしょうか。それとも違いましたでしょうか。

 私たちの世代では、マウントバッテン卿はイギリス領インドの最後の総督であったという事実は皆知っていることです。そして彼は王族の中でもかなり重要な立ち位置にいて、たとえばフィリップ殿下を今のエリザベス女王(2世)に紹介する役目を果たしたとか、イギリスの王族の中でもとても際立った、ある種煌びやかな存在で、父親的な存在でもありました。またチャールズ皇太子の好きな大叔父であったということもありますし、そういったイメージは昔からありましたが、彼が第二次世界大戦の最中にどういった仕事をしていたかなどはもちろん詳細には知りませんでしたし、そのインド統治の終盤でどういった仕事をしたのかも知らなかったので、資料を読み進めていく中で、あの時期、あの時代にはこういった一幕があったのか、あの人はこういう人だったんだと改めて見えてきました。


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チャーダ監督は、徹底したイギリス的な礼儀正しさと公正さを具現化した男性としてマウントバッテン卿役にあなたをキャスティングされたそうですが、脚本を読まれて、クランクインまでにどのような準備をされましたでしょうか。

 この人物に関しては、正直に申しあげると、資料を読めば読むほど分からなくなってくるんですね。そういう準備の過程の中で思い知ったのは、“やはり歴史には一つの客観的な事実というのはないんだ”ということだと思います。ある物語やある歴史的事実をいろいろな人が語っているわけで、その人がシンさんっていう人であったり、ジョンストンだったりパテルだったり、いろいろな人が書くわけですけれども、その書く人によってさまざまな視点があったり色眼鏡で語られるわけですから、何が真実だか分からなくなります。マウントバッテン卿に関しても然りで、彼がどういったアイデンティティを持った人なのか紐解くのはなかなか難しく、人によっては「あの職には就くべき人でなかった」「能力は十分になかった」と言う人もいたり、あるいは「あんな途轍もない状況に投げ込まれて、ベストを尽くしたんだ」と言う人もいたりで、やはり真実がどこにあるのか分かりません。
 ただ役者として意識するのは、人となりがどうだったのかということで、これに関してはご遺族の方とお話をしましたし、総督を務めた後の晩年のホームムービーを見せてもらったりして、そういうところからさまざまな特徴をつかんだりしました。
 一つ分かったのは、非常に虚栄心がある方なんですね。プライドがとても高い方なんです。そして、考えるよりもまず行動、という主義を貫いた方。私に言わせるならば、彼はベストを尽くしたんだと思います。劇中でも誰かが言っていますが、「インドは既に燃えたぎる船なんだ」と。そういう中でベストを尽くしたと思います。彼が戦時中に愛用していた帽子を私も被ってみると、娘さんがアングルを直してくれました。「父は、ちょっとこう斜めに被る癖がありました」と。そのほうが映画スターみたいに見えると思ったようです。
 ここで歴史的に一番意識しなければならない重要なことは、あの時点まで英国の占領下にあったインドは様々な派閥に分かれていて、ジンナーはイスラーム教徒によるムスリム連盟、ネルーはヒンドゥー教徒主体の国民会議派、そして分離独立に反対するマハトマ・ガンディーがいて、その三者が一緒になって話すということがそれまではなかったんです。だから彼がその三者をとりもつことができた初めての人だという事実、これは大事なことだと思います。ただ、解決策は他にあったんじゃないかとか、分離独立は少し早まったのではないかという声もあるのは確かです。


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エドウィナ夫人を演じたジリアン・アンダーソンさんとの共演はいかがでしたか。

 彼女は本当に素晴らしい演技を見せてくれたと思います。私もご夫妻の映像素材は見ましたが、彼女はエドウィナのエッセンスを本当に上手く掴んでいて、崇高な演技を見せてくれています。とても知的な女優で、各シーンにおいてポイントをちゃんと理解し、徹底して役作りしていました。凛としていながらも、生き生きとして軽やかで、魅力的な笑顔を見せたり、とにかく素晴らしい女優だと思います。
 監督とジリアンと私でだいぶ話し合ってこの夫婦役に臨みましたが、話し合った成果はちゃんと映画に出ていると思います。このご夫妻が複雑な結婚生活を送ったことは誰もが認めるところですが、一つ確実に言えることは、インド独立後にとんでもない状況になったにもかかわらず、二人はベストを尽く意志は明確にあって、分離独立がなされた後も現地に残りました。そういう夫妻だったと思います。ジリアンは、あのキャラクターの精神性をうまく掴んで体現しました。もちろん、彼女自身、英国にルーツがあるということはありますが、見事な演技でした。


撮影中に最も印象に残ったエピソードがありましたら教えてください。

 総督の官邸は現在インド政府が所有している建物で、現在はホテルとなっているマハラジャの宮殿での撮影だったのですが、8月末のインドは非常に暑い季節で、エアコンを何台も回していたりして、我々も厚い衣装を着ている中での撮影で大変だったんですが、とりわけ何が大変だったかというと、ホテルが営業中だったんです。階段を降りた向こう側にプールがありましたが、映画の撮影だからといって営業を止めるわけにはいかないと。最初に総督がインドに来て、迎え入れられるシーンがありますが、赤いカーペットが敷かれ200人のエキストラが構えている中で、プールで泳ぎたいお客さんが2人ほどいたばかりに、いちいちカメラを止めなければならなくて、大変な撮影でした。


最後に、日本の観客へ一言、お願いします。

 インド・パキスタンの独立の時期というのは、歴史の中でも非常に重要で、いろいろな物語が語られています。その中でも、『英国総督 最後の家』のマウントバッテン卿の話は、重要なパズルのピースになるのではないかなと思います。ぜひお楽しみください!



(オフィシャル素材提供)


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