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インタビュー

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『ラ・チャナ』オフィシャル・インタビュー

2018-07-14 更新

ルツィア・ストイェヴィッチ監督


ラ・チャナlachana
© 2016 Noon Films S.L. Radiotelevisión Española Bless Bless Productions
配給:アップリンク

ルツィア・ストイェヴィッチ監督

 クロアチア共和国ザグレブ生まれ。7歳でオーストリアに移住。ウィーンの高校を卒業後、1年間イタリアに住み、スコットランドのエディンバラ大学で建築デザインを学ぶ。
 その後、チェコ国立芸術アカデミー映画学部で1年間映画制作を学んでから、スペインのバルセロナの制作会社で働き始め、ガーディアン紙、ニューヨーク・タイムズ紙、グローバルポストなどに30本以上の短編ドキュメンタリーを制作してきた。
 またウィーンやグラーツ(オーストリア)、スクリーン・フロム・バルセロナ/ループ(スペイン)、エディンバラ・フェスティバル・フリンジ(イギリス)などのエキジビションでビデオ・アート作品の展示を行った。
 2014年、バルセロナでドキュメンタリー作品の制作を目的とした制作会社ヌーン・フィルムズを設立した。



 世界中の人々を虜にした伝説のフラメンコダンサー、ラ・チャナの波乱の人生を描くドキュメンタリー映画『ラ・チャナ』が、7月21日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開となる。この度、「このドキュメンタリーは、芸術への純粋な情熱と強い意志の力で、困難を生き抜いた1人の女性の驚くべき物語。ラ・チャナが体験した悲劇を通じて、ヒターノ・コミュニティーの女性だけでなく、世界中の若い女性が、夢のために闘う力と勇気を得るはず」と語る、ルツィア・ストイェヴィッチ監督のインタビューが到着した。


監督ご自身のフラメンコとの関わりは? ラ・チャナのことは以前からご存知だったのですか?

 ギターを弾く兄がフラメンコ音楽のコレクションを持っていましたし、私はフラメンコのレッスンに通っていました。だから今までもフラメンコは好きで身近に感じていましたが、多面的に理解するようになったのはスペインに住んでラ・チャナに出会ってからです。フラメンコは本当に奥深く、さまざまな意味合いと可能性を持つ見事な芸術です。ラ・チャナのことは、私がフラメンコを習っていたベアトリス・デル・ポゾから紹介されるまで知りませんでした。


この作品のコンセプトやスタイルはどのように作っていったのですか? 事前に台本は用意していましたか?

 撮影前に詳細な台本はなく、レイヤーを1層ずつ積み重ねていったイメージです。最初に取りかかったのは、確固たる事実の部分からでした。つまり、かつてラ・チャナの身に起こった出来事と、アーティストとして彼女が活躍していた過去の記録です。けれども、それをやっている間に、現在の彼女が抱える内面の葛藤に行き当たり、それこそが映画の推進力になりました。ドキュメンタリーの場合、柔軟性が必須ですし、事前に細かく決めてしまうと、撮影現場で見聞きすることに対しオープンさを失い、無味乾燥な作品になってしまいます。


ラ・チャナはどんな人ですか?

 一流のアーティストだけれども、控えめな女性でもあり、両極端を持ち合わせた人です。昔は大スターだったわけですから、まさかノーメイクでも撮影を許可してくれるなんて思っていませんでした。ところがパジャマ姿さえ撮らせてくれて、日常の自然な姿で、こちらが聞きたい質間にすべて気軽に答えてくれました。彼女の、素の自分を見せることに躊躇しないところ、そして抜群のユーモアセンスがあるところも大好きです。


lachana

ヒターノ文化にかなり接近していますが、どのように彼らの信頼を得ましたか?

 端的に言えば、時間です。たくさんの時間と根気を要しました。


ラ・チャナが引退せざるをえなくなった当時を思い出し涙を見せる場面がありますが、どこまで踏み込んで撮影するかは難しい判断だったのでは?

 確かに、虐待の問題をどこまで映画の中で見せるかは、判断が難しかったです。虐待についてのドキュメンタリーにはしたくなかったので、バランスを取らなければなりませんでしたから。もちろん、ラ・チャナの人生で虐待されたことは岐路の一つですが、もっと重要なのはその悲劇を乗り越えた彼女の強さです。彼女が配偶者から暴力を受けていたことを公にするのはこれが初めてだったので、後々になって彼女に問題が起きないように、私たちは虐待の詳細には触れないことにして、できる限り慎重に進めました。


lachana

本作で最も大きな課題は何でしたか?

 私はプロデューサーでもあったので、一番の難問はプロダクションの面でした。世界共通の普遍的な物語なのに、どうしても「スペイン・フラメンコの映画」というレッテルが貼られてしまい、資金集めに苦労しました。結果的には、個人の方々からの支援のおかけで完成までたどりつけました。


影響を受けた映画監督はいますか?

 映画にはさほど影響は表れていないと思いますが、『ラ・チャナ』を撮っていた間は、サラ・ポーリーの『物語る私たち』(12)がストーリーテリングの参考になりましたし、親密さを映像に捉えるという点ではザッカリー・ハインザーリングの『キューティー&ボクサー』(13)です。


観客に向けてのメッセージをお願いいたします。

 このドキュメンタリーは、芸術への純粋な情熱と強い意志の力で、困難を生き抜いた1人の女性の驚くべき物語です。ジプシーの女性について語られることはあまりありませんが、彼女が体験した悲劇を通じて、ヒターノ・コミュニティーの女性だけでなく世界中の若い女性が、夢のために闘う力と勇気を得るはずです。私の使命は、普遍的に訴える力を秘めた唯一無二の物語を提供するだけでなく、それを最大限受け止めてくれる観客のもとへ、きちんと届けることだと思っています。結局のところドキュメンタリーのパワーとは、その物語によって観る者が啓発され、力を与えられる点にあると思っているのです。



(オフィシャル素材提供)


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