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舞台挨拶・イベント

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『犬ヶ島』公開記念スペシャル・ナイトイベント

2018-05-24 更新

ウェス・アンダーソン監督、コーユー・ランキン、ジェフ・ゴールドブラム、野村訓市

犬ヶ島inugashima
配給:20世紀フォックス映画
© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

 全世界で大ヒットし、アカデミー賞®最多9部門ノミネート、最多4部門受賞の『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)を手掛けたウェス・アンダーソン監督が贈る、近未来の日本を舞台にした映画『犬ヶ島』が5月25日(金)に日本公開となる。

 この度、本作の舞台となった日本での公開を記念し、ウェス・アンダーソン監督が13年ぶりに来日! そして監督とともに本作を引っ提げ来日したコーユー・ランキン、ジェフ・ゴールドブラムとともに日本への大いなる愛をファンの前で語り尽くすトークイベントを実施した。


 前作『グランド・ブタペスト・ホテル』では第87回アカデミー賞®で作品賞、監督賞、美術賞ほか5部門にノミネートされ、この度公開される最新作では第68回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞するなど世界的に高い評価を受ける天才監督ウェス・アンダーソンが13年ぶりに待望の来日を果たすということもあり、会場には観客やマスコミ人が殺到!

inugashima いまかいまかと豪華布陣の登場を待ちわびていると、舞台後方から本作の監督を務めたウェス・アンダーソン監督と主人公のアタリの声を吹き替えたコーユー・ランキン、アタリとともに冒険を繰り広げるヒーロー犬の一匹・デュークの声を吹き替えたジェフ・ゴールドブラム、ウェスが信頼する友人で、本作では日本人ボイスキャストのキャスティングのほかに、本作の原案にも参加した野村訓市の4名が登場。客席を通ってステージへ進むと、大歓声が巻き起こり、会場の熱気は瞬く間にボルテージMAX! 会場からは大きな声援と、うれしさのあまり涙を流す人が続出!

 今回、映画のプロモーションとしての来日が初めてとなるコーユーは「皆さん、初めまして。コーユーです。よろしくお願いします! この素晴らしい映画に出演することが出来て、映画のおかげで日本にも来ることができてとってもうれしいです」と元気よく挨拶し、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』以来、約2年ぶりの来日となったジェフは「すごく温かい歓迎ぶりでうれしいよ! 日本に来るのが本当に大好きだから、今日もこの素晴らしいチームと来日することができて最高の気分だ」と、ファン一人ひとりに笑顔で手を振りながらコメント。

 野村は「初めまして、野村訓市です。今回の映画ではいろんな仕事を雪だるま式にやって、気づけば3年費やしました。ウェスの映画はビジュアルも素晴らしいけど、それ以上に本当にいい物語も描かれています。僕は3年だけど、監督は6年もかけたので、ぜひ楽しんでご覧ください」と挨拶し、最後に、2005年に公開された『ライフ・アクアティック』以来、約13年ぶりに念願の来日を果たしたウェスは「このアイデアが浮かんだ日から、こういった舞台で日本の皆さんの前に立って、こうやってお話することをずっと楽しみにしていたんだ。この映画の日本は僕のイマジネーションで出来ていて、日本の文化や日本の方々、そして何より日本の映画にインスピレーションを受けている。日本人のみんなからすると慣れ親しまない部分もあるかもしれないけれど、とにかくみんなには楽しんで欲しいと思っているよ。今日は本当に来てくれてありがとう!」と大盛り上がりの会場に感極まった様子で挨拶した。

 日本を舞台の映画を作ろうと思ったきっかけについて問われたウェスは「まず、僕が初めて観た日本映画は『タンポポ』で、そのあとも黒澤 明監督の『羅生門』なんかも観ていた。僕は10代のころから40年近く日本の映画を観続けて、ずっと日本映画に影響を受けてきたんだ」と、持ち前の日本映画愛を明かし、「2004年にはじめて来日したとき、本当に日本が大好きになったよ。その時は絶対に日本を舞台に映画を撮りたいという気持ちで日本を離れたんだ。今回の作品はストップモーション・アニメーションになったから日本で撮影できていないことはちょっと予想外だったけれど(笑)、でも、今回はクン(野村訓市)がサポートをしてくれたおかげで、素晴らしいコラボレートが実現できたと思っているよ」とコメント。

 さらに、RADWIMPSの野田洋次郎、村上虹郎、渡辺 謙、夏木マリといった錚々たる日本人ボイスキャストも出演している本作。“クンが担当したからクンから説明するよ”というウェスの言葉と共に日本人ボイスキャストをキャスティングした野村に話が移ると、「ウェスは、一度付き合い始めると家族みたいに接してくれる人。全員同じホテルに泊まるし、一緒にディナーも食べるし、ワインも飲む。だから日本のキャストを集めるときもどこかお互いを知っていて、監督と決めたキャラクターの年齢や背格好にマッチしていて、さらに、僕の言うことを聞いてくれそうな人を集めて声をかけました(笑)。ウェスは秘密主義だから彼らに細かい情報を与えてあげられなくて、簡単な役と台詞だけ話してもらって、録音した音を毎回ウェスに聞いてもらいOKをもらうって感じでした」と収録の流れを説明。続けて、「例えば、(野田)洋次郎は、ウェスに声を聞かせたら“彼はニュースキャスターだ”って言うんで、“君はニュースキャスターになった”って洋次郎の声を録り直したりもして(笑)。映画を観ても分かりにくいかもしれませんが、この声は誰かなって見つけながら観るのも楽しいかなって思います」と、豪華日本ボイスキャストにまつわる意外な裏話を明かした。

 そして、今回ウェスに見出され、主人公に大抜擢されたコーユーは、アフレコ収録を振り返って「ウェス監督はとっても優しくて落ち着いている人。僕は本当に緊張していて、アフレコも難しかったけど、落ち着いたウェスと過ごすと、僕も落ち着いた気持ちでアフレコすることができました」と隣のウェスと目を合わせながら安堵した様子でコメント。またアフレコで苦労したことを聞かれると「全部です」と困った様子で即答し、その可愛らしさから会場には和やかな空気が流れた。

 また『ライフ・アクアティック』(05)、『グランド・ブタペスト・ホテル』(14)に出演し、ウェス作品常連組の一人ともいえるジェフは「ウェスは6年、クンは3年この映画に関わったっていうけど、僕は脚本が送られてきて、それを読んで、彼と仕事するのはスリリングで大好きだからすぐOKして、そのあと2時間だけ、たった2時間だけレコーディングをしたんだ。しかも、監督はNYにいたからアフレコの演出も遠距離で演出されたんだよ(笑)」とユーモアたっぷりにコメントし、会場からは笑いが起きた。

 キャスト陣たちが完成した映画を観たのはベルリン国際映画祭のオープニング上映だったようで、ジェフは「僕はほかの犬たちとは一緒に収録ができなかったんだけど、映画を観たら、僕らの音やキャラクターがジグソーパズルのようにぴったりとはまっていて、うれしいショックを受けたんだ! 細かいところまで作りこまれていて、魔法をかけられたような素晴らしい経験ができる映画だった。ウェス監督映画史上の出来栄えだよ」と圧倒された様子。

 続けて、コーユーも「2月のベルリンで初めて観たときは感動しました。ストップモーションと思えないくらい色や音もすごくて素晴らしいです」と太鼓判を押した。

 通常に比べ膨大な時間と手間のかかるストップモーション・アニメーションによって製作された本作だが、劇中で使用されたパペットはなんと総数1000体越え! 画面の前で実際に俳優が演じる実写映画も幾度となく制作してきたウェス・アンダーソン監督だが、パペットを使用したストップモーション・アニメーションの魅力について問われると、「僕がストップモーション・アニメーションで一番好きなのはパペットやセット、そして小道具を作るそれぞれの職人と仕事ができること。映像技術は日に日に進歩していくなかで、僕は長年続いているこの古風な撮影方法に携わることが夢だったから、『ファンタスティック Mr.FOX』で初めてストップモーション・アニメーションを撮った時に、夢が叶ったと思ったよ。特にアニメーターの仕事は素晴らしい。ボイスキャストによってパペット半分の命が吹き込まれるけれど、もう半分はアニメーターの手によるんだ。ただ物体のパペットを彼らが動かすことによって、パペットがモノを考えたり、モノを感じる、ひとつの生き物になるんだ。それぞれの職人の力がこのストップモーション成功の秘密だと思う」と目を輝かせた。

 ここで、特別に観客から直接来日ゲストへ質問ができることに!


“孤独”という観点でいつもウェスの映画をみています。“孤独”でいることは好きですか?

ウェス・アンダーソン監督: いい質問をありがとう。孤独について考えることはよくあるんだ。この映画も沈黙や静かなシーンが多い。主人公のアタリは両親がいなくて友達もいない。それに映画の中では、一人の少年には荷が重すぎることを、孤独の中で挑戦していく姿が描かれていくし、この映画の中でも“孤独”は大きな位置を占めているとも言えるね。いつかは孤独という部分にちゃんとフィーチャーした映画を作りたいとも思っているよ。


監督の映画に出てくる雰囲気が好きなのですが、独特のインスピレーションがどこから湧いてくるんでしょうか? 僕はいま学生なのですが、学生の時にインスピレーションを受けた本など教えてください。

ウェス・アンダーソン監督: 質問してくれてありがとう。ぼくは映画を作るときにリストを作るんだ。例えば、『天才マックスの世界』ではフランス映画でルイ・マル監督、フランソワ・トリュフォー監督の作品、そして『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は音楽で、モーリス・ラヴェルやヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコなどをリストアップしていった。きっと映画を作るときに僕のそれぞれのインスピレーションが化学反応を起こして、無意識ながらに映画に反映されているんだと思うんだ。映画において作り方のコツは特にないけど、あるとしたらそこかもしれないね。


inugashima イベントも大いに盛り上がり、終盤に差し掛かってきたころ、なんとスペシャル・ナイトを記念して、登壇ゲストのサインが入ったポスターが客席にいる観客のうちのたった4名にサプライズ・プレゼントされることに! ウェス、コーユー、ジェフ、野村のそれぞれが引き当てたくじで選ばれた観客たちは、大声をあげて喜び、なかには感極まってまたもや涙を流す人々も見受けられた。

 最後に観客に向けて、コーユーが「『犬ヶ島』は本当に素晴らしい映画なので、ぜひ観てください!」、ジェフが「今日は来てくれてありがとう! もう映画を観た人もきてくれたようだね。観てない人はぜひとも劇場で観てね。楽しかったよ!」、野村が「これから映画館で観る人は気に入ってくれたら最低10人には良かったと伝えて、コネイガを広めていいなとと思います」、そして最後にウェスが「正直言って、僕は今日この場を共有できただけで、それだけでうれしいんだ。映画をたくさんの方に観て欲しいと思うけど、PRをすることはあんまり得意ではなくて……。でも日本が好きで作った映画だから、皆さんがこの作品を観て楽しんでくれれば本当にうれしいな。日本の文化や日本の人々への敬愛を感じ取ってもらえれば幸せです。今日は来てくれて本当にありがとう!」と、それぞれが思い思いの気持ちをたっぷりと語った。

 久しぶりで、そして念願の来日に興奮が収まらない様子のウェスは、「次は言葉をショートにして話すように頑張るね!」と言いながらも自分のトークになるとマシンガントークが炸裂! その性格をよくわかっている野村は「全然答えが短くなってない(笑)」と突っ込みを入れ、またジェフもウェスのマシンガンっぷりを真似し、それをコーユーが笑顔で見守るなど、ウェス・アンダーソン組特有のにぎやかな雰囲気に包まれていた本イベント。豪華キャスト陣による垂涎モノのレアトークとたっぷりのファンサービスの数々に会場に集まった観客大満足のなかイベントは幕を閉じた。



(オフィシャル素材提供)





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