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『デトロイト』ジョン・ボイエガ特別動画インタビュー

2018-01-18 更新

ジョン・ボイエガ


デトロイトdetroit
© 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
配給:ロングライド

ジョン・ボイエガ

 1992年、イギリス、ロンドン生まれ。
 アイデンティティ・スクール・オブ・アクティングで演技を学んだ。ジョー・コーニッシュ監督『アタック・ザ・ブロック』(11)で注目される。
 2014年のTVシリーズ「24:リブ・アナザー・デイ」などを経て、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)のフィン役に抜擢され、世界中にその名を知られる存在に。その続編にあたる2017年12月公開『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(17)にも出演している。
 主な近作には『ザ・サークル』(17)、SF大作の続編『パシフィック・リム:アップライジング(原題)』(18)などがある。



 女性初のアカデミー賞®監督賞に輝いた『ハート・ロッカー』、作品賞を始め5部門にノミネートされた『ゼロ・ダーク・サーティ』と、新作を発表する度に大センセーションを巻き起こしてきたキャスリン・ビグロー監督。徹底したリアルな描写による圧巻の臨場感、先が読めない骨太でスリリングなストーリーテリングで、常に観客を圧倒してきたビグロー監督の最新作は、1967年7月23日に起きたアメリカ史上最大級の<デトロイト暴動>渦中に起こった「アルジェ・モーテル事件」を描き出す。

 デトロイト暴動発生から3日目の夜、銃声の報を受けて現場に急行した白人警官たちは、アルジェ・モーテルに居合わせた8人の若者たち全員を容疑者と断定し、暴力的な強制尋問を始める。密室と化した室内で一体何が行われていたのか。そして、被害者たちはどんな運命をたどることになるのか。キャスリン・ビグロー監督は、これまで歴史の闇に封印されていた“戦慄の一夜”を徹底してリアルに再現、映画史に残る40分間の衝撃的な映像を完成させた。

 2018年のお正月映画として公開された『スター・ウォーズ/最期のジェダイ』が、1月10日現在、世界興収は12億ドル(約1365億円:Box Office Mojo調べ)、シリーズ史上2位の興収を記録し、期待通りの大ヒットを続けている。この映画で、シリーズを通し物語の重要なカギを握るメインキャラクターの一人、フィンを演じているのが、英国出身の実力派俳優ジョン・ボイエガだ。4月には、ハリウッド超大作『パシフィック・リム:アップライジング』の公開が控える超売れっ子俳優のボイエガが、自らのキャリアで最も重要だと考え出演を決めた作品が、キャスリン・ビグロー監督作品『デトロイト』だ。事件当時、警備員として現場に居合わせ事件を解決に導くため奮闘するメルヴィン・ディスミュークス役を、現在も存命のディスミュークス本人の協力のもと見事に演じきった。実在の人物を演じるという重責を果たし、演技派俳優としての存在感をさらに高め続けるジョン・ボイエガの特別動画インタビューをお届けしよう。


 今回のインタビューは、脚本を初めて読んだ印象から始まった。「オーディションでは即興的な演技と、(シドニー・ポワチエの)『夜の大走査線』のワンシーンを見せた。デトロイト暴動のことは知っていたが、アルジェ・モーテル事件のことは知らなかった」と語る。

detroit 自身でリサーチを進める過程で似た事件が多発していると認識したが、本作で描かれる恐ろしい尋問と現場に居合わせたディスミュークスのことを考えると胃がムカつく(吐き気をもよおす)気分に陥ったという。「本作は観るのもつらいが、脚本で読むと気分が悪くなるほどつらいものだった。でも、心に響く作品になると確信できた」と、『ハート・ロッカー』でアカデミー賞®を受けたマーク・ボールの脚本から発せられるメッセージを真摯に受けとめた。

 同世代の若手俳優が多く出演し、肉体的にも精神的にも追い込まれていく過酷な撮影現場では数多くの苦労が伴った。「みんな一丸になって撮影に臨んだ。撮影は長く厳しいものになると分かっていた。文句も出ず、こんなに協力し合えた現場は初めてだった」とし、理不尽な暴力的尋問が続く、衝撃のシーンの撮影に臨んだと語る。カメラがオフの時にはキャストたちと、「内容が内容だから、共演者たちの表情を見ながら、“大丈夫?”“辛くない?” と、常に確認していた。時には心が回復するのを待つこともあった」と、誰もが互いに支え合い、誠心誠意作品に向き合ったと述懐する。

 「アルジェ・モーテル事件」後も同様の事件が多発し、半世紀の時を経ても変わらないアメリカ社会について、「とても悲しく、不幸な状況だが、昔の公民権運動にも通じる新しいムーブメントが起きている」と、“ブラック・ライブズ・マター”(黒人の命は大切だとする運動)などを受けて、「変化を起こすために暴力には訴えない方法で正義を目指す」ことこそ重要だとし、「『デトロイト』は過去から学び、未来に生かすべき」作品だと力を込める。

 人気コミック「ナルト」ファンとしても知られるボイエガ。一転して、日本の話題になると人なつっこい表情で会話が弾む。

 「昔から日本が大好き。小さな頃からアニメや漫画を見ていた。お寿司を食べに行くと“アリガトウゴザイマス”と丁寧に挨拶している」と流暢な日本語を披露。お気に入りは、「猫カフェが大好き。食べ物ならラーメンかな」と満面の微笑み。来日の機会があれば、「山間部に行って町の雰囲気や農場を見たい。新幹線に乗って東京に戻ったらオタク文化をいろいろ体験したい」と、日本愛に満ちたコメントが続いた。

 そして最後に、当時の関係者として製作時にアドバイザーを務めたディスミュークス氏について「どんな風に育ったか幼少期の話もしてくれた。モーテルの状況も正直に教えてくれた。思い出したくない事件だろうけど、冷静に話してくれた」と、つらい経験を語ってくれたことに感謝の言葉で結んだ。

 ビグロー監督は、俳優たちに即興的で、まるで事件現場にいるかのような演技を求め、リアルで迫真のシーンを創り上げることに成功した。撮影時から尋常ではない緊張感を感じたボイエガは、暴動の混乱に乗じて横行する略奪から店を守ろうとした警備員メルヴィンを体現。暴動の鎮圧に乗り出した州警察にコーヒーを差し入れ、白人に媚びを売っているかのように誤解されてしまう。そして、自ら急行した事件現場では窮地に陥った若者たちを救おうと奮闘するが、その行動は空回りし、遂には事件の容疑者として刑事たちに連行されてしまう。取調室で白人警官に容疑者だと詰め寄られ、今にも泣きそうな表情で口に手を当てて途方にくれる演技は鮮烈だ。演技派として進化したジョン・ボイエガの迫真の演技、そして映画史に残る“衝撃の40分間”を見逃してはならない。




(オフィシャル素材提供)


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