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『バーニング・オーシャン』公開直前イベント

2017-04-18 更新

池上 彰、芦田愛菜

バーニング・オーシャンburningocean

配給:KADOKAWA
2017年4月21日(金)、全国ロードショー
© 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

 2010年4月20日、メキシコ湾沖で発生した[メキシコ湾原油流出事故]。世界中が固唾をのんで見守った史上最悪の事故は、海上に浮かぶ石油掘削施設[ディープウォーター・ホライゾン]内に流出した原油が爆発、凄まじい大火災を起こしたのだ。事故の後、約3ヵ月に渡って海に流出した原油の総量は490万バレル(78万キロリットル)、総被害額は616億ドル(約6兆円)と未曾有の大惨事となった。

burningocean 最先端テクノロジーの結晶であるディープウォーター・ホライズンで、一体何が起こったのか。なぜ、事故は起きたのか。突然の爆発に襲われ、施設内に取り残された126人は、どのように行動したのか!? 徹底的なリアリティと圧倒的な臨場感が観客を包み込む『バーニング・オーシャン』は、ニューヨーク・タイムズ記者による生存者への克明なインタビューを基にした海洋ティザスター大作。奇跡の生存者の一人、電気技師のマイクをマーク・ウォールバーグが演じ、カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチが共演。監督は、ダイナミックな演出と細部にまでこだわる演出に冴えを見せるピーター・バーグが担当している。

 4月18日の公開直前イベントで、ジャーナリストの池上 彰が今月から中学生となった芦田愛菜を生徒に特別講座を開催した。本作の題材となった史上最悪の石油事故、そして史上最大級の“人災”でもあったメキシコ湾原油流出事故を徹底解説。事故の経緯、エネルギー産業の現状、事故から学ぶ危機管理のあり方などを語る、貴重なスペシャル講座となった。


 盛大な拍手とともに2人が登壇。2010年4月当時、実際に事件の取材でメキシコに行ったという池上は「取材当時、現地にハリケーンが来て遭難しかかったことを覚えています。事故の背景に何があったのか、後ほど説明しますね」と挨拶。そして4月から中学生となり新生活のスタートを切った芦田は「今日は池上さんに解説していただくことを楽しみにして来ました。よろしくお願いします」と笑顔で挨拶をし、MCから超難関の入試に合格したことについて触れられると、会場からは「おめでとう!」という声が上がった。

 映画について池上は「そもそも石油ってどうやって取り出しているのか分からない人も多いのではないでしょうか。それがこの映画ではわざとらしい解説などを入れることなく、自然な形で理解できるような仕掛けが入っています。そして大きな災害がどうやって起きるのか、我々も身につまされる作品だと思います」、芦田は「絶対に防げなかったことではなくて、おかしいと思った時に行動をしていれば結果が変わっていたのでは、と思いながら観ていました。安全というのは、“たぶん大丈夫”ではなく“絶対大丈夫”でなくてはならないのだと思いました」とコメントした。

 そして池上から実際に起きた“メキシコ湾原油流出事故”の解説がスタート。「そもそも石油というのは地下にどんな形で存在しているのか分かりますか?」と芦田に質問。「液体ですか?」と答えると「液体であれば、“くみ上げる”という表現をしますよね? 実は石油とは、地下で何千気圧という圧力で封じ込められていて、石のような状態になっているんです。だから“石の油”と書くんですね。機械でそこまで掘って、石油に到達すると封じられていた油が気圧の差で一気に液体になって噴き出してくるんです。穴が開いてしまうとくみ上げる必要もなく勝手に噴き出してしまう、それが大変な問題を引き起こすんです。ではなぜわざわざ海底から石油を掘り出すのか。実は私が愛菜ちゃんくらいの年齢の時には“あと40年で石油がなくなる”と言われていたのですが、いまだになくなってはいません。これは新しい油田を見つける技術が発達し、海底からも石油を掘り出す技術が実現したからなんですね。石油の値段がどんどん高くなり、掘り出すためにコストがかかっても利益を上げられるようになったため、海底油田を掘り出すようになったんです」と解説した。

 「大きな油田が見つかると、中東では自分たちの味方をしてくれない国には石油を売らない、と言い始めました」と、第一次オイルショックの話題になると、芦田も「トイレットペーパーがなくなる、と言われたやつですよね?」とコメント。池上も嬉しそうに「さすがですね」と笑顔を浮かべる。

 中東に依存しない油田を探して、やがてメキシコ湾の油田が発見されました。ところがメキシコはハリケーンが多い地域なんです。映画の中で、“予定が遅れている”と言われていましたが、その原因はハリケーンなんですね。ところで、メキシコ湾で採れた原油はアリゾナあたりにある石油の精製工場で軽油や重油、タールとかLPGガスなどに分けられます。ところがハリケーンが近づくとその操業が止まってしまい、ガソリンが市場から減って手に入りにくくなってしまいます。すると当然、ガソリンの値段が跳ね上がりますよね。だから人々はハリケーンが近づくと先にガソリンを買って儲けようとします。NYの先物取引は世界の基準になっていて、そこでガソリンの値段が上がるとドバイでも上がる、そうするとその影響で日本のガソリンの値段も上がるんです。日本にその影響が来るまで1ヵ月から1ヵ月半かかります。つまり、どういうことかというと、メキシコ湾にハリケーンが来て石油の精製工場が停止すると、その1ヵ月半くらいあとに日本のガソリンの値段に影響が出る、ということなんですね」と、池上らしく身近な物事への影響を交えた鮮やかな解説に、会場からも感嘆の声が上がった。

 池上が「シェール革命って分かりますか?」と芦田に問うと、芦田は「頁岩……でしたよね……?」とコメント。池上は「さすが! よくご存じですね!!」と、さらに嬉しそうな笑顔。「頁岩という薄い岩がミルフィーユ状態になっているところにガスや石油が詰まっていて、それを取り出すことができるようになったんです。だからアメリカではあと100年は石油が持つと言われていますね。シェール層と海底油田で激しい競争が起きたりもしています。これまで、石油をめぐって、多くの戦争が起きました。私たちはまだまだ石油なしで生活することはできません。だからこそ、危険を冒してでも石油を取り出そうとしてしまうのですが、この映画は決してそんな危険を冒してはいけないと思わされる映画でした」と語った。

 「ちゃんと準備しておかないと、うまくいくことよりも失敗することのほうが多いですよね」と、芦田が相槌をうつと「この映画を観るとよく分かりますね。日常にもおなじ教訓が潜んでいる、とても他人事とは思えない映画です」と池上も同意。芦田が「“世界最大級の人災”とポスターにあるのですが、これはどういうことですか?」と質問すると「もっと大勢の人が死ぬ事故はほかにも起きています。この事故が特殊なのは、燃えてしまった海底の石油を止めることができない、ということなのです。石油は流出し続け、付近の海の生き物が全滅してしまう。さらに、メキシコの漁業で生計をたてていた人も大きなダメージを受けます。メキシコ湾は海流がぐるぐる回っているので、同様に石油もめぐり、その海水がヨーロッパまで流れて行ってしまうんです。それで人々はさらにパニックに陥りました」と答えた。

burningocean 「海はきれいになるのですか?」とさらに芦田が問うと、「ものすごい時間をかければ少しずつきれいにはなりますが、すぐにというわけにはいきません。とてつもない自然破壊につながる大事故となったんです」と回答。分かりやすい池上の解説に芦田は「映画を観て疑問に思った部分もあったのですが、池上さんに事故の背景やその後の被害も説明してもらえて、より理解が深まりました。もう一度映画を観たいです」とコメント。池上は「芦田さんは頷きながら“もっと知りたい光線”を出していて、こんな良い生徒がいるとついついうれしくなって話が長くなってしまいます。素晴らしい聞き手でした」と笑顔。

 最後に映画について「テレビドラマなどで、犯人について長々と解説したりする場面がありますが、この映画は自然な会話の中で全てが分かるようになっています。映画の脚本とはこうやって作るんだと、そんな意味でも楽しむことができました」、芦田は「私は映画を観て初めてこの事故を知りました。事故のことを知っている一人でも多くの人に観てもらいたいですし、知らなかったという人にはこの作品を機に、事故のことを知ってもらいたいです」と語り、イベントを締めくくった。

 『バーニング・オーシャン』は、メキシコ湾原油流出事故の経緯、施設内に閉じ込められた作業員126名の運命、被害の拡大を食い止めようとする現場作業員と彼らの決死の脱出を壮大なスケールで描いた海洋スペクタクル大作。ハリウッドが本気で挑んだ実話の映画化、史上最悪の石油事故を圧倒的リアリティと迫力で再現した『バーニング・オーシャン』は、4月21日(金)より全国公開となる。



(オフィシャル素材提供)



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