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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『彼らが本気で編むときは、』第67回ベルリン国際映画祭テディ審査員特別賞受賞!

『彼らが本気で編むときは、』
第67回ベルリン国際映画祭
テディ審査員特別賞受賞!

2017-02-21 更新

生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、荻上直子監督

彼らが本気で編むときは、kareamu

配給:スールキートス
2017年2月25日(土)、新宿ピカデリー・丸の内ピカデリーほか全国ロードショー!
© 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

 『かもめ食堂』(06)、『めがね』(07)などで日本映画の新しいジャンルを築き、その世界観から女性に圧倒的人気を持つ荻上直子監督がメガホンをとり、生田斗真や桐谷健太、ミムラ、小池栄子、門脇麦、りりィ、田中美佐子ら豪華キャストの共演が話題の『彼らが本気で編むときは、』。

 本作は、2013年にアメリカ留学から帰国したのち、セクシュアル・マイノリティの人たちへの対応が社会的にやや遅れている日本に違和感を抱いた荻上直子監督が、「トランスジェンダーの息子に、“ニセ乳”を編んで与えたお母さん」の新聞記事を目にしたことから着想を得て、自身でオリジナル脚本を作り上げた本気の意欲作。

 優しさに満ちたトランスジェンダーのリンコ(生田斗真)と、彼女の心の美しさに惹かれ、全てを受け入れる恋人のマキオ(桐谷健太)の前に現れた、愛を知らない孤独な少女トモ(柿原りんか)。桜の季節に出会った3人が絆を紡ぎながら、それぞれの幸せを見つけるまでの心温まる日々を描いた物語は、トランスジェンダーをテーマのひとつにしながらも、5組の「母と子」の多様な関係性を描く「家族の枠組み」を更なる大きなテーマに据えている。


 この度、第67回ベルリン国際映画祭において、パノラマ部門、ジェネレーション部門の2部門に選ばれる快挙を成し遂げた本作が、ベルリン映画祭で上映されたLGBT(セクシュアル・マイノリティの人たち)をテーマにした全37作品の中で、優れた作品に与えられる“テディ審査員特別賞”を受賞した。1987年に同賞が創設されて31年。邦画作品として初めて受賞の快挙! テディ賞は、全世界の映画祭の中で、もっとも権威のある、最高峰のLGBT賞である。


 本作のプレミア上映は2月15日(水)18:30(※現地時間)より行われ、生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、荻上直子監督が、レッドカーペットを歩んだ。

 世界三大映画祭(ベルリン、カンヌ、ヴェネチア)に初参加した生田をはじめ、桐谷、柿原らはベルリン訪問に大興奮! 一方、12年の監督作『レンタネコ』以来、5年ぶり4度目のベルリン国際映画祭正式出品となる荻上直子監督も感慨深い様子で笑顔を見せた。

 舞台挨拶の前に実施された公式記者会見では、多くの海外メディアから眩いばかりのフラッシュと質問が殺到する中、荻上監督が「この映画は、2年前に新聞に掲載されていた、『トランスジェンダーの息子に、“ニセ乳”を編んで与えたお母さん』という内容の記事を読んだことが映画作りのきっかけとなりました」と流暢な英語で挨拶。

 脚本に対して質問が及ぶと生田は「脚本を読んでとても興味を惹かれた。いろいろな要素が詰まっていて、りんかちゃんや桐谷さんに支えられて、とても楽しかった。この脚本と出合えて、とても嬉しかったです」と答えた。記者から「女性を演じるのは難しかったですか?」との質問が飛ぶと、「女性を演じることは経験してこなかったことです。仕草や声の一つひとつにこだわり、女性の魂を自身に込める必要がありました。桐谷さんやりんかちゃんにとても助けられました。二人がいたから、真のリンコになれました」と回答。

 リンコを心の底から支えるマキオを演じた桐谷は「リンコは自身が思っていることを表に出す女性。マキオは、リンコと出会って世界が一変したのです。彼女を愛し、彼女と一緒に居たい、という気持ちを持っている。その気持ちは僕にもよく分かります」と自身が演じたキャラクターを演じる上で自身を投影したことを語った。

 母親に置き去りにされ、叔父であるマキオの家でリンコに出会うトモを演じた柿原りんかは、「オーディションを受けた200人の中で一番良かった」と荻上監督に絶賛されるほどの逸材。「オーディションでの合格が決まったその日から、撮影が始まるのがすごく楽しみだった」と語っており、本作でも堂々たる演技を見せている。

 本作について、プログラミング・ディレクターは、「この作品はトランスジェンダーがどうというより、女性になるということはどういうことか。そして家族になることをテーマにした映画です」と話すと、荻上監督も「トランスジェンダーでもなんでも隣人になれるし、家族になれると思っています」と作品のテーマを説明した。

kareamu 同日18:30に行われたプレミア上映は、世界中から集まった観客で800席のシートは満席に! 上映前に行われた舞台挨拶では、まずはプログラミング・ディレクターから「素晴らしい作品をパノラマ部門に招待することができました」と観客に挨拶した後、荻上監督、生田、桐谷、柿原を舞台に呼び込んだ。場内は割れんばかりの盛大な拍手が沸き起こり、偶然にも今日が誕生日の荻上に対し、「また彼女がこの映画祭に来てくれて光栄です。しかも誕生日というおめでたい日に!」とディレクターが祝福。「今日はご来場ありがとうございます。またこの映画祭に参加できて、私のことを受け入れてくれて、とても嬉しいです」と監督も英語で挨拶。

 続いて、生田は「皆さま、こんばんは。この作品でリンコ役を演じました、生田斗真です。67回を迎えるこの映画祭に呼んでいただいて本当に光栄です。今日は楽しんでいってください。ありがとうございます」とネイティブな発音の英語で挨拶。二人が英語で挨拶する中、次にマイクを持った桐谷は、一歩前に出て、観客に投げキスを披露。会場が声援で答える中、「こんばんは、桐谷健太です。皆さんが英語で挨拶をしているので、僕は日本語で話します!」と大きな声で宣言すると、万国共通のその親しみやすいキャラクターに、会場は大きな盛り上がりに。「皆さんの前に立てて本当に嬉しいです。最高の作品となりましたので、今日は楽しんでください」とさらに盛り立てた。最後の挨拶となった柿原りんかは、「こんばんは、柿原りんかです。12歳です。ベルリン映画祭に来れてとても嬉しいです」とドイツ語で挨拶をし、観客から大きな拍手が巻き起こると、本人が一番驚いた表情を見せていた。

 上映後、本作に魅了された観客は総立ち。8分間のスタンディング・オベーションが巻き起こり、4人は大興奮の観客に万感の表情で感謝の礼を示しながら、会場を後にした。


 このわずか数年で、日本でも、セクシュアル・マイノリティの人たちの人権、差別撤廃が叫ばれるようになった。数年前までは考えられなかった、メジャー級の邦画で、人気絶頂の俳優、生田斗真と桐谷健太がセクシュアル・マイノリティのカップルを演じるという『彼らが本気で編むときは、』。荻上監督が「人生においても映画監督としても、荻上直子、第二章」と宣言してスタートし、生田斗真も「20年の俳優人生の中で、最も苦労した役であり、最も厳しい監督でした!」と語り、桐谷健太も「自分の俳優人生において、ターニングポイントどころか、ゴーイングポイント(※)になる作品!」と明言するほど、監督もキャストも熱い意気込みでのぞんだ本作。(※ 「ターンする必要はなく、真っ直ぐ突き進む時だ」ということ。桐谷独自の表現。)


 日本国内のLGBT人権活動はまだ産声を上げたばかりだが、LGBT人権について大変進んでいるドイツの地で開催されているベルリン国際映画祭の“テディ審査員特別賞”を、日本作品が受賞したことは、社会的にも、文化的にも、大変意義のある大きな第一歩となった。

 15日に行われたレッドカーペットやプレミア上映には、生田斗真、桐谷健太、柿原りんかのキャスト3人も参加したが、キャストが一足早く帰国したため、受賞式には荻上監督のみが出席。荻上監督の受賞のコメントが届いた。

kareamu 「ベルリン国際映画祭の全作品の中で、LGBTを題材にした映画に贈られる特別な賞なので、この“テディ審査員特別賞”は、非常に嬉しいです。でも私は、正直、トランスジェンダーの人がトランスジェンダーのことで悩んでいるだけの映画は作るつもりは最初から無くて、“女性として普通に”恋愛をし、仕事をし、生活を営んでいる“普通の女性”を描きたかったんです。差別されたり、理解されなかったり、陰口をたたかれたり、傷つけられたり、大きな悩みを抱えながらも、前向きに生きる“ひとりの女性”を、です。トランスジェンダーの人でも心は女性なのだから母親になれるかもしれないという夢を見られることや、血の繋がりがなくても親子になれる希望が持てることや、子どもを産まなくても母性を持てることや、さらに“その恋人”や“その家族”、“母親と子ども”の関係性を一番描きたかったんです。この映画が“さまざまな家族のカタチ”を受け入れたり、考えたりすることのきっかけになって欲しいんです。今まで持っていた“普通”の概念を見直すきっかけになれれば嬉しいです。この映画をみて、LGBTに対する理解を深めてほしいと心から願っています。ベルリン、Danke schön!(ありがとう!)」

 日本人としてただ一人の審査員である、今井祥子氏のコメントも届いた。「審査員全員一致での決定でした。審査員の中でも一番絶賛されたのが、『彼らが本気で編むときは、』が、子どもの目を通して、セクシュアル・マイノリティの家族を描いた点です。そして、観ているだけでお腹が空きそうな料理の数々や、日本に訪れたくなる美しい桜並木など、荻上監督の独特のディテールは、外国人審査員の心をさらに掴んでいました。日本作品でありながら、世界に十分アピールできる“家族の物語”になっていましたし、その証拠に、一般の観客の評判がもっとも良い作品だったことも、私たちが納得して“テディ審査員特別賞”を授けるのにもっとも相応しい作品だと思ったのです。」

 壇上でプレゼンターもつとめたパキスタン人審査員、サーダット・ムニール氏のステージでの受賞コメント。「小学5年生の少女の目を通じて、このレインボー・ファミリーに惚れ込んでしまった! 子役と、主演の役作りは実に説得力があり、心から楽しめました。」

 さらに、パノラマ部門のディレクターである、ヴィーラント・シュペック氏のコメント。「荻上直子の大ファンなんです。彼女のことは昔からよく知っています。なぜって彼女は今回でもうベルリン国際映画祭、4作品目ですからね。(主人公の3人は)普通の家族ですが、周りには普通と見られていない。『彼らが本気で編むときは、』を観る人に、普通とは何かということが問いかけられているのが、この映画の面白さのひとつでもあるんですよ。」


 日本でも、文部科学省選定作品として少年向き、青年向き、成人向きの部門に選出、さらに、日本国内で初めてパートナーシップ証明書を導入した、LGBT先進自治体である渋谷区および渋谷区教育委員会が本作を初の「推奨作品」とするなど、国内外で多くの評価と支持を続々と集めている。世界中を魅了する爽やかで心地よい極上のエンタテインメント作品『彼らが本気で編むときは、』は、いよいよ2月25日(土)より全国公開!


■テディ賞とは

 1987年に創設された、LGBT映画を表彰する賞。1992年からベルリン国際映画祭の正式な賞と認められ、ベルリン国際映画祭の審査員とは独立した審査員によって選ばれる。同様の賞としてヴェネチア国際映画祭にクィア獅子賞(2007年~)、カンヌ国際映画祭にクィア・パルム(2010年~)があるが、テディ賞はそれらの20年以上前から実施されている、最も歴史ある賞である。


映画『彼らが本気で編むときは、』

 (2017年、日本、上映時間:127分)

 ■脚本・監督:荻上直子
 ■出演:生田斗真、柿原りんか、ミムラ、小池栄子、門脇 麦、柏原収史、込江海翔、りりィ、田中美佐子、桐谷健太ほか
 ■配給:スールキートス

 ■公開
 2017年2月25日(土)、新宿ピカデリー・丸の内ピカデリーほか全国ロードショー!

 © 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

オフィシャル・サイト
 http://kareamu.com (外部サイト)


(オフィシャル素材提供)



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