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作品紹介

2016-11-20 更新


古都koto
© 公益財団法人川端康成記念會/古都プロジェクト


イントロダクション

 パソコンや携帯電話で、世界中の誰とでも一瞬でつながることができる現代にも、昔ながらの暮らしを守っている人たちがいる。2020年の東京オリンピック開催に向けて、“本物の日本の心とは何か”が世界から問われている今、日本の真の伝統を未来へと引き継ごうとする人々を描く物語が完成した。“日本の美と精神”を表現することに生涯をかけ、日本人として初めてノーベル文学賞を受賞した川端康成の傑作「古都」の新たな映画化だ。

koto 過去にも岩下志麻と山口百恵の主演で、1963年と1980年の2度にわたって映画化されているが、今回がこれまでと大きく異なるのは、原作の“その後”が描かれる“現代版”であること。舞台は京都とパリ。時は生き別れになった双子の姉妹、千重子と苗子が最後に会って別れてから20数年後。それぞれに娘が生まれ、すっかり大人の女性になった二人は、新たな葛藤を抱えていた。千重子は代々続く呉服店を娘の舞に継がせるつもりだったが、舞から思わぬ抵 抗を受ける。北山杉で林業を営む苗子は絵画を志す娘の結衣を快くパリに送り出したが、結衣が自分の才能に疑問を持ち始めていることに気づく。娘と同じ年の頃、千重子も苗子も人生の岐路に立ち、迷っていた。あの時の自分が下した決断に想いを馳せながら、二人は娘の未来のために何をしてやれるのかを問いかける──。

 千重子と苗子を一人二役で演じるのは、今や日本を代表する演技派女優の地位を確立した松雪泰子。繊細で思慮深い千重子と、おおらかでチャーミングな苗子を完璧に演じ分けたのはもちろん、着付け、茶道、京言葉、京料理の稽古を重ねてこの役に臨んだ。千重子の娘の舞には橋本 愛、苗子の娘の結衣には成海璃子と、若手ながら凛としたその存在感で、既に本格派の女優として認められている二人の共演が実現した。その他、千重子の夫に井原剛志、養父に奥田瑛二と、実力派が脇を固める。

koto 小説「古都」のもう一人の重要な主役は“京都”である。文豪が遺した世界観に恥じない“ほんまもん”を追求するために、京都府と京都市の映画企画としては初めての後援を得て、オールロケを敢行。茶を点てるシーンでは、裏千家今日庵からの全面的な協力で、国宝級の茶道具が用意された。また、華道のシーンでは池坊専好次期家元、座禅のシーンでは妙心寺退蔵院の松山大耕副住職が自ら出演している。さらに、千重子の呉服店は、実際に室町で呉服店を営む町家を借りて撮影、松雪と橋本が着用する着物には総額2000万超に上る、こだわり抜かれた逸品がそろえられた。

 現代版として、日本の文化が海外へと発信される様子を描くため、もう一つの古都パリでもオールロケを実現。美しい街並みだけでなく、パリに暮らす人々のリアルな姿も捉えた監督は、ハリウッドで映画製作を8年間学び、帰国後もアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督などの現場に参加したYuki Saito。一度外へ出た国際的かつ新たな視点で京都に真正面から向き合い、日本の精神を五感で体感できるかつてない映像を完成させた。

ストーリー

koto 京都室町に先祖代々続く佐田呉服店。店を継いだ日から20年間、佐田千重子(松雪泰子)は同じ場所で変わらない生活を送っていた。古くから付き合いのある職人が次々廃業する変わりゆく時代の中で店をどうしていくのか、室町に生まれた宿命を娘の舞(橋本 愛)に背負わせていいものか葛藤の中で生きていた。大学生の舞は、就職活動の時期に差し掛かり就職活動をするの友人との会話にも入りきれず、店を継ぐべきなのか迷っていた。

koto 一方京都のはずれ、北山杉の里で林業を営む中田苗子(松雪泰子/二役)。千重子と同じ顔をした苗子は生き別れた双子の妹。苗子もまた深刻な経営悪化に陥っていた。苗子の娘の結衣(成海璃子)はその美術の才能を活かし北山杉を使い何か新しいことが出来ないかとフランスに留学。しかし留学先で他の学生との力の差を感じ、無力感に苛まれていた。それを感じとった苗子は娘に会うためにパリ行きを決意する。

 呉服屋の娘の舞もパリで開催される日本文化を披露するイベントに参加するためにパリへ向かうこととなった。母から娘へ受け継がれる伝統。今、京都の伝統に生きる2組の母娘の人生が初めて交差する――。


(2016年、日本、上映時間:117分)

キャスト&スタッフ

監督:Yuki Saito
原作:川端康成「古都」(新潮文庫刊)
脚本:眞武泰徳、梶本惠美、Yuki Saito
題字:小林芙蓉
出演:松雪泰子、橋本 愛、成海璃子、蒼れいな、蒼あんな、葉山奨之、栗塚 旭、迫田孝也、伊原剛志、奥田瑛二ほか

配給
DLE
11月26日(土) 京都先行、12月3日(土) 全国公開

オフィシャル・サイト
http://koto-movie.jp/ (外部サイト)

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